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すいーと☆ペンギンインベーション

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すいーと☆ペンギンインベーション
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リアクション

「これは俺のせい……なのか?」
 ローグ・キャスト(ろーぐ・きゃすと)聖夜 靴下マン(ほーりーないと・くつしたまん)に願ったことで開催されたはずの武道大会。
 それがいつの間にか惨状となっている。
「俺はここまでは望んでいないのだが……もしかして、他の誰かの願いか?」
 的を射た考え。
「ローグ殿、いかがされた?」
 ダイヤモンドの 騎士(だいやもんどの・きし)はローグに問いかける。
「私は市民の護衛を行います。ローグ殿は避難誘導を」
 そういい残し、襲い来るDSペンギンと観客との間に割って入る。
 確かに言うとおり、今は思考時間を割いている場合ではない。
「このままじゃ寝覚めが悪い。とりあえずは事態の収拾だな」
 ローグは隣にいるはずの夏來 香菜(なつき・かな)空京 たいむちゃん(くうきょう・たいむちゃん)に言う。
「ダイヤモンドの騎士が護衛してくれている。二人共、避難誘導をするぞ」
「わかったわ」
 返事をするたいむちゃん。だが、香菜の返答はない。
「おい、香菜?」
 訝しく思い視線を向けると、果敢にもDSペンギンに挑もうとしている姿があった。
「あなたたち! 皆が困っているじゃない! 今すぐ止めっ、きゃあ!」
 注意の声空しく、すいーつびーむを放たれうずくまる香菜。
「無事ですか、香菜殿?」
 ダイアモンドの騎士のおかげでビームは逸れてくれたが、今後も上手くいくとは限らない。守るべき対象が多すぎるのだ。
「おいおい、今は少しでも避難させるのが先だ。おまえもわかってるだろ?」
「それは……わかってるわよ」
 残酷な言い方だが、非戦闘員はこの場に居ても足枷になるだけ。
「なら、おまえのすることは決まっているだろ」
 多少キツイが、頭に血が上った香菜にはこのくらいが丁度いい。
「ローグさんの言うとおりです。香菜さん、行きましょう」
「……ええ」
 たいむちゃんに促され、渋々頷く香菜。
「みなさーん、避難口はこちらでーす!」
「慌てないで! こらっ、押さないの!」
 二人の誘導で避難は進行を早める。
「しかし数が多いな……何か策を講じなければ」
 ローグも思案しつつ誘導へ加わった。


「ペンギンが、せめてきたぞっ」
 元凶の三人目、桐生 円(きりゅう・まどか)
「DSペンギンめ! かっこかわいくなってしまって! 誰のせいだ! 僕のせいだ! 畜生!」
 握るこぶしは、怒りか、羨望か。
「これは元の飼い主が誰だったか教えてあげないと!」
 円は連れてきたペット【DSペンギン】を指し示す。
 彼らは右手に出刃包丁、左手に本マグロを持っていた。
 そして始まったのは本マグロの解体ショー。
 おろされて行く魚。どんどんと切り身が増える。
「さあ君達、餌をあげていたのは誰? 恩を少しでも思い出しなさい!」
 円の放った【名声】は、DSペンギン達を躊躇させた。
 が、良く考えれば食べ物はそこらじゅうに転がっている。
 頷き合うDSペンギン達は、一斉に『すいーつ☆キャノン砲』を円に向ける。
「ちょっ、何でなの!?」
 すいーつびーむが放たれる寸前、長柄の何かが横から伸びてDSペンギンを吹き飛ばす。
「あら、つついただけですのに……」
 それはロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)の構えた槍だった。
「ふうっ、セリナを護衛につけててよかったよ」
「円さん。私、それほど戦闘が得意とは言えないんですよ?」
「超重武装で何を言うか」
「これでもか弱い乙女には少し危険です」
「いやいやいや」
 嘯くセリナに突っ込みを入れてしまう。
 でも、こんな所で押し問答をしている場合ではない。
「そうだ、ボクはやることができたんだ」
「何です?」
「こいつらを指示してるヤツがいるはずなんだ。さしずめコウテイDSペンギンってところだね。ボクはそいつを倒して、もう一度頂点に返り咲くんだよ!」
「どうしてわかるの?」
「勘!」
 言い切る円。
 そんな不確かな情報でも、【円ぺラーペンギン王】の円が言うのならその通りなのだろう。
 セリナは頷く。
「わかりました。でも早く見つけてくださいね。か弱い乙女には――」
「もうそれはいいよ!」