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リアクション
「うわ〜。触手が絡まってうごけないよぉ」
「ちょっと弾。しっかりしなさいよ!」
弾の操縦するシヴァが、テンタクルの枝に捕らわれてしまった。ねばねばとした液を垂らす触手に、フォレストドラゴンが悶えている。
「え〜ん。まさか、僕の妄想がこんな形で実現するなんて……」
うなだれる弾だったが、これは味方にとって好都合だった。
テンタクルに残された枝は、すべてシヴァを拘束するために使われていたからだ。
「敵の攻撃手段を封じたワ。今がチャンスヨ!」
アリスの合図に合わせて、アキラがピヨに【破岩突】を命じた。どっぷりと太ったお腹で、テンタクルの幹に体当たりする。
ぐらり、と巨木が揺れたかと思うと、そのままゆっくりと倒れていく。
バキバキという激しい音を立てて、粘獣テンタクルは崩壊した。
「よっしゃー! ……って、あれ」
アキラが怪訝な顔で目を凝らす。テンタクルの根本から、人影が走り去っていくのがみえたのだ。
「あいつが女秘書ヨ! 捕まえテ!」
「ま、任せて!」
アリスの指示に応えたのは、弾だった。彼はシヴァを発進させた。
回り込んで退路を絶つと、人影を慎重につまみ上げる。
はじめは暴れていた女秘書だが、シヴァの爪で切り裂かれるのを恐れ、すぐにおとなしくなった。
「ふふっ。ここはヒーローらしく、バシッと決めたいものね!」
エリカがにやにやしながら、ぐったりする女秘書に向けて叫ぶ。
「月にかわって、おしりペンペンよ!」
「ちょっとエイカ。セリフが違うし、そもそもヒーローじゃないよ!」
「まあ、この際なんでもいいのよ」
エイカは女秘書のおしり目掛けて、【サンダーブラスト】を放った。
☆ ☆ ☆
「人質が無事でなによりだ。……ちょっと、花粉症がつらそうだが」
助け出した『ミント・スクォーツ』を介抱しながら、エヴァルトが言う。
「ありがとうございま……くしゅんっ」
ミントの可愛らしいクシャミは止まらなかった。
「ところで。せっかく改造したんだから、このまま植物園にすればいいのにね」
アキラの提案に、大きく頷いたのはベルトラムだ。
「それはいいね!」
賛成票をもらえて、ちょっと嬉しそうに微笑むアキラのとなりでは。
「よくやったワ。ピヨ。エライ、エライ」
アリスが、ジャイアントピヨの頭をなでていた。
「こうして敵を倒してみると、本当のヒーローになった気分ね」
動かなくなった粘獣テンタクルの前で、エリカが悦に浸っていた。
「パラミタレンジャー、参上! なんてね。う〜ん、燃えるわ!」
そう言って彼女はポーズをとる。そのとき、うっかりして【ファイアストーム】を放ってしまった。
巨木に引火した炎は、瞬く間にプラント中へ広がっていく。
「エイカ! 本当に燃やしてどうするんだよっ」
「……あらら」
「テヘペロしてる場合じゃないよ! 早く逃げないと!」
誤魔化そうとするエイカを急き立て、弾はすぐさま脱出を図る。フォレストドラゴンを飛ばしながら彼は叫んだ。
「みんなも、早く逃げてください! 爆発しちゃいます!」
「うわっ。なんかヤバいことになってる!」
一同はあわてて外へと向かった。
炎は巨大ロボットを覆い、爆弾に引火して……。
ドーン!
飛び出した彼らの背後で、プラントが大爆発した。
その爆発は、『パラミタレンジャー』のオープニングシーンを彷彿とさせるほど、見事なものだった。
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