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リアクション
「うーん。あの気味悪い物体はどうしたもんでありますか?」
唸るような吹雪のつぶやきに、ルカが応える。
「こうするんだよ!」
イコンをブーストさせ【追加行動】、そのまま敵へと踏み込んでいき――。
「罪も無い人を巻き込みやがって!」
コードの叫びと共に、【ファイナルイコンソード】が放たれた。
彼女たちの隣では。
佐那が、ファスキナートルを囚われの機晶姫たちへ近づける。
「いま助けますからね」
イコンを人間形態・ドリェヴニーに変形させると、【旋風回し蹴り】で蹴り上げる。まずは一段目。イエロー側の鎖が絶たれる。
間髪入れずに、そのまま二段目の蹴りを振り下ろす。ピンク側の鎖を絶つ、ブラジリアンキックを完成させたのは、ファイナルイコンソードだ。
ほぼ同時に繰り出された、神の剣技。ふたつのファイナルイコンソードにより、ついにD棟の戦いへ、終止符が打たれた。
☆ ☆ ☆
「いやいや、まいっちゃったよ。まさか捕まるなんてね」
イエロー役の巨大ロボットから出てきたのは、松本 恵(まつもと・めぐむ)であった。
「黄瀬 春香(きせ・はるか)として、ここで売り出しをやってたんだけどね。工場長に、「氷漬けになるのはレッド。鎖でつながれるのはブルー。ピンクなんていない」って言ったら怒られちゃって」
また何か変な事言ったかなぁ? という表情で、恵は頭をかいていた。恵は間違ったパラミタレンジャーの知識を披露したことで、工場長の癪に触れ、捕まってしまったようだ。
「なにはともあれ、助けてくれてありがとう! これで僕も、パラミタレンジャーとして戦えるよ!」
そう言って恵が取り出したのは、変身ブレスレット。
『レッツチェンジ、パラミタレンジャー!』の合図とともに、恵はパラミタイエローに変身した。
「う〜ん。なにが起きたんだろう……」
ピンク役の巨大ロボットから、人質の『マシマロ・スクォーツ』が顔をだす。彼女は、同じように捕らわれていた恵を見るなり、全身を震えさせて怯えていた。
「あっ……あっ……化け物!?」
マシマロ・スクォーツは、アイドル春香のファンだったのだ。しかし、プラント内に残された幻覚をもたらす霧により、春香の姿が化け物に見えてしまう。
「ちょ、ちょっと落ち着いて」
恵が、慎重にマシマロをなだめる。
「大丈夫。心配いらないよ」
ゆっくりと話しかける恵。その優しげな声は、幻覚のなかにあってさえ、機晶姫の耳に心地よく響いたようだ。
「その声は……春香さん?」
「そう。だから安心していいんだよ」
恵の慈愛に満ちた語らいは、すみれ色の霧が晴れるまで続いていた。
☆ ☆ ☆
「しかし、ここもずいぶん派手にやったな」
メルヴィアが、戦艦の食い込むプラントを見上げながら苦笑した。
「我ながら、見事な陽動作戦であったであります!」
反省するどころか、自信たっぷりに胸をはる葛城吹雪。とはいえ、実際に戦果をあげているのだから、文句のつけようがなかった。
「結果オーライだな。こうして、犯人のひとりも捕まえたことだし」
彼女が移した視線の先には、ルカとコードに連れられる女秘書がいた。
「ところで。コードはたしか、イコンでの実戦は初めてだったな」
「はい」
「……よくやった。次も期待しているぞ」
褒められたコードは、頬を緩めることもなく、ただ静かに頭を下げた。
いっぽう、ルカは女秘書に手錠をかけながら辛辣に言う。
「しっかり生きて、罪をつぐないなさい」
がちゃり。と手錠をかけると、そのまま護送車へ放り込んだ。
「これからの人生に目を背けちゃ駄目よ。現実の方が、よっぽどドラマティックなんだから!」
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