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リアクション
「さて、本物とその御一行さん達。俺様を倒しに来たんだろ? もう3人やられたけど、大丈夫か?」
勝ち誇ったようなドヤ顔を浮かべる偽者に、一同イラっとした空気に包まれ、所々から「アッシュ如きが生意気な……」と呟き声が聞こえる。
「おい、敵偽物だからな? 何でアッシュ如きってなってるんだ?」
アッシュ(本物)がツッコむが聞いちゃいない。注意しておくがいじめではありません。
「しかしアイツ、弱くないぞ……流石偽者とは言え俺様がベースなだけはあるな……」
アッシュの言葉に『寝言は寝て言え』と口にこそしないが、皆がジトっと睨む。
「さっきの様子だと、あの眼はもしかしたら何かしらの状態異常を引き起こすような物なのかもしれないぞ……どうしろっていうんだよ」
「ふふふ、ここは私に任せて貰いましょうか」
アッシュが呟くと、ルイ・フリード(るい・ふりーど)が腕を組み、前に立つ。
「お、おい何か策とかあるのかよ? アイツの目には――」
「状態異常を引き起こすかもしれないのでしょう? ですが、視線は私は大歓迎です――では、いきますよ!」
ルイの言葉に、深澄 桜華(みすみ・おうか)が「おうとも!」と頷き後に続く。
「あ、何だ? ただ突っ込んでくるだけとか、俺様も舐められてるな」
呆れた様に言う偽アッシュに、ルイは不敵に笑う。
「ははは! 舐めてなんていませんよ、偽者さん? その視線、頂きますよぉッ!」
そう叫ぶと、ルイは来ている衣類を脱ぎ捨てた。残った物は全裸、ではなくパンツ一丁――否、それも違う。
そこに残ったのは、パンツと筋肉という名の鎧を纏った、ルイ・フリードである。
「さぁ、この肉体! 筋肉! この鍛え抜かれた人体という名の美を堪能するがいいッ!」
偽アッシュの前で自らの筋肉を見せつけるかのよう、いや、見せつける為にポーズを決める。ポーズを決める度にルイの各筋肉が躍動する。先輩今日もキレてるっす。
「もっと! もっと視線を下さい! もっと穴が開くほど見てくださいッ!」
汗を光らせた笑顔を偽アッシュに向ける。爽やかと暑苦しさ、矛盾した二つが合わさり、カオスが生じる。何だこれ。
「遠慮はいりません! さぁこれからが本番ですよぉッ! ミュージックスタァーットォウッ!」
ルイの掛け声と共に、桜華が音楽をかける。
マス☆パラ/作詞・作曲:匿名希望
(M・U・S・C・L・E マッスル!!)
(M・U・S・C・L・E マッスル!!)
呼べば応える鍛えたボディ
早く動かせと急かすマッスル 準備は完了
見よ、この隆起した上腕二等筋(ナイスバルク!)
見よ、この割れた腹筋を(ナイスカット!)
ポーズを決めれば 歓声の雨あられ
人体の造形美 ここにあり
(セリフ)何、まだ足りないと?OK皆のその熱い想い受け取った!
まだ魅せますよ ご覧あれ
むんっ! この盛り上がった僧帽筋はどうです(今日もキレてるっす!)
はぁっ! この大腿四頭筋の切れ込み具合はどうだぁ!(先輩キレが半端ないっす!)
飛び散る汗はダイヤモンドの輝きの如く美しく
筋肉の造形美 ここにあり
ルイの歌声と共に、桜華が「ほっ、よっ」と横で手拍子を着けていた。
「まぁだまだぁッ!」
更にルイは【マッスルオイル】を塗りたくり、身体がオイルの効果で引き締められる。
すると筋肉は更にキレを生み、美しいカットを生じさせた。
正しくビューティービルディング。略してビュービル。本当何だこれ。
結果、観ていたアッシュ(本物)達が状態異常(【混乱状態】)に陥った。
「ありゃ一体なんなんだ」と頭を抱え、どうしたものかと困り果てる。こっちに被害を出してどうする。
「ふはははは! どうですか偽者さん――ぬ!?」
ルイが爽やかで暑苦しい笑顔を向けると、偽者は慈愛に満ちた視線を送っていた。
(何と言う目……あれは敵に送る視線ではない……まるで子を見つめる母……慈しむ様な愛にあふれた視線……ッ!)
それに気づいた瞬間、ルイの全身に電流の様な物が走る。
(何でしょうかこれは……今、私はこの視線を気持ちいいと感じている……!?)
ルイの全身が震える。見られているという事による快楽による震え。それに戸惑いつつも、ルイは受け入れていた。
(もっと……! もっと私を見てほしい……! その視線で私を貫いてほしい! もっと! もっとだ!)
ルイの顔が恍惚としたものに変わる。快楽に支配されたその身体は最早ルイの意志で動かない。ただ、快楽を求めるだけである。
今、ルイは偽アッシュの視線により、【ヘヴン状態】に陥っていた。んな状態異常ないって? 考えるな、感じろ。
「さぁ、もっと貴方の視線を私にゅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
結果、完全に隙だらけになり、偽アッシュの目からビームの前に散ったのである。踊る事に夢中だった桜華も一緒に巻き添えに。
だがルイ敗北により、皆の【混乱状態】も解けたので結果オーライなのかもしれない。
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