リアクション
エピローグ
『幸運の湯』
効能:不幸体質治します
『ひらめきの湯』
効能:ニュートンもびっくりのひらめきをあなたに
『恋愛成就の湯』
効能:あなたの恋愛叶えます
「……………………………………なんだこれ?」
完成した湯るりなす。後は施設のエネルギーを起動させればいつでも営業できるという状態。施設の中を見て回った瑛菜は肝心の各温泉で絶句する。
「この但し書き前村長が置いていったらしいけど……」
アテナも苦笑い気味にそういう。
「ここは神社か何かか」
温泉をなんだと思ってるのかと瑛菜は言う。普通の温泉もあるが、変な但し書きが置かれた温泉部屋も結構ある。
「……まぁ、前村長はそのうち問いただすとして……」
「まずはエネルギー通して完成祝だね」
温泉に入りたいとうずうずしている契約者も多いとアテナはそう言う。
「じゃあミナホ。スイッチつけて」
湯るりなす。そのできた施設に機晶エネルギーを通す瞬間。
「はい」
瑛菜の後押しをうけ、ミナホはスイッチを押す。
「……って、あれ?」
ぽちぽちとスイッチを連打するが湯るりなすに明かりはつかない。
「あの〜……村の機晶エネルギーが全部止まったんですけど……」
混乱するミナホのもとにそんな更に混乱する情報を村人は持ってきた。
「で、ミナホ。どういうこと?」
「ニルミナスなんですけど、実は村全体の機晶エネルギーは全て同じ制御装置で管理していたんです」
「……で?」
「そこに、いきなり大きな機晶エネルギー求める施設ができて、制御装置がびっくりしちゃったんですね」
「…………で?」
「湯るりなすに機晶エネルギーを使わなければ大丈夫そうです」
「大丈夫じゃないだろ、できた湯るりなすはどうなるんだよ?」
「……営業見送りですか?」
「あたしに聞くな!」
「なんていうか……やっぱりミナホちゃんって色々残念だよね」
はぁとアテナは大きくため息を付いた。
『調度良かったわ。あなたに伝えれば良さそう」
「……ミナホさん……いえ、今は粛正の魔女ミナと名乗ってるんでしたか」
自分のもとにやってきた相手、粛正の魔女ミナに前村長―ハーム―はそう言う。
「伝えたいことっていうのはなんですか?」
『嬉しいわ嬉しいわ。やはりあなたは話が早い』
「……それでなんです?」
『明後日、あのユニコーンを殺すわ』
「伝えたいことというのはそれだけですか?」
『いいえいいえ。同時にアルディリスへの扉も開くの』
「……そうですか」
『儀式について知ってる人間が向かうだろうから気をつけてね』
「向かわせるの間違いでしょう」
ミナが自分では戦えないことをハームは知っている。だからこそ儀式のことを餌にして邪魔なユニコーンを殺そうというのだろう。そしてなによりそのことを伝えることで……。
『それじゃ明後日。私に会える契約者はいるのかしら? 楽しみだわ楽しみだわ』
そんな言葉を残し静かな笑い声を響かせてミナはハームの元を去る。
「…………すべて相手の思惑通りだとしても、のるしかありませんか」
ハームはこのことを契約者に伝えることを決意した。
「村と温泉と音楽と」お楽しみいただけたでしょうか。
ニルミナスですが皆さんのお陰で随分賑やかになってきたと思います。
また、今回できた湯るりなすですが、どういった施設なのかリアクションだけではよく分からないと思います。無事に営業開始しましたら主な仕様についてマスターページで公開する予定ですのでお願いします。
そして次回は問題発生シナリオになります。狙われたユニコーン。村の抱える秘密。そういったものに焦点を当てたシナリオになると思います。