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    ★    ★    ★

『さあ、まだまだレースは続いています。第9ターン。次にゴールするは誰でしょうか。さあ、先頭集団がゴールに入ってきた。おおっと、最後の最後で、ゴール線上の加速器によってエリシア・ボック選手が加速したあ!?』
「最後だからって気を抜いちゃダメってことだね。ほれ、加速だあ。ずっと、これやってみたかったんだよなあ」
 本来の加速係だった神戸紗千が、嬉々として加速スイッチを押しました。
『ゴール! 最後の加速で、エリシア・ボック選手が5位に入りました。続いて、6位にクリスティー・モーガン選手。7位に綾原さゆみ選手&アデリーヌ・シャントルイユ選手がゴールしました』
「薄氷を踏む勝利でした。数多のライバルに勝てて光栄でしたわよ!」
 ゴールするなり、エリシア・ボックが御神楽陽太にメールを送りました。参加した仲間たちの中ではトップです。そのため、思いっきり自慢げです。
「さゆみ、脇とか裾とか直して、早く早く」
 ゴールして落ち着いたとみるやいなや、アデリーヌ・シャントルイユが、綾原さゆみの乱れたレオタードをあわてて直しに入りました。
「ええと、あなたも似たようにものよ」
「えっ? ええーっ!?」
 綾原さゆみに指摘されて、あらためて自分の格好に気づいたアデリーヌ・シャントルイユが、真っ赤になってしゃがみ込みました。
『さあ、続々と選手がゴール目前へとやってきています。8位はルカルカ・ルー選手。9位はイコナ・ユア・クックブック選手です』
「ミルディア様、もうここでしか挽回の場面はありません。わたくしの指示するコースで、アクセルを一杯にしてください」
「よおし! 久々にリミット無視の全速全開やりますかあ!」
 和泉真奈の指示に、ミルディア・ディスティンが燃えあがりました。
「って、これちょっと速すぎ! 前の人逃げて逃げて! 人形邪魔邪魔! ぶつかる!にゃー!」
 加速しすぎたミルディア・ディスティンが、源鉄心やスープストーンをぶっちぎって、御神楽舞花に迫りました。途中思いっきりジェイダス人形の群れにぶつかって、手近な一体をだきかかえています。
『ミルディア・ディスティン選手、激しい追い込みで御神楽舞花選手と共に10位にならびました。抜かれた源鉄心選手&トレリン選手、12位に順位を下げています。おっと、ここに来て、ダリル・ガイザック選手、やっとエンジンがかかったか、もの凄い追い上げで、マックススピードを叩き出しています。のんびりしすぎているスープ・ストーン選手&ナウディ選手を14位に追いやって、源鉄心選手&トレリン選手に迫る13位に浮上しました。最下位は、引き続きノーン・クリスタリア選手となっています。さあ、現在走行中の選手の順位です』

 5.107 エリシア・ボック
 6.105 クリスティー・モーガン
 7.103 綾原さゆみ&アデリーヌ・シャントルイユ
 8. 98 ルカルカ・ルー
 9. 94 イコナ・ユア・クックブック
10. 81 ミルディア・ディスティン
       御神楽舞花
       ジェイダス人形群
12. 77 源鉄心&トレリン
13. 75 ダリル・ガイザック
14. 71 スープ・ストーン&ナウディ
15. 64 ノーン・クリスタリア

    ★    ★    ★

『いよいよ、レースも第10ターンとなりました。平均的なスピードで、すでにゴールできる時間です。さあ、先頭集団、イコナ・ユア・クックブック選手、御神楽舞花選手、猛スピードでデッドヒートを繰り広げる。だが、これは、イコナ・ユア・クックブック選手の方がやや速いか。おおっと、御神楽舞花選手、ゴール地点の加速器を利用したか!? 続いて、ルカルカ・ルー選手も加速される』
「加速だね。いいね、やってやるぜ!」
 神戸紗千が、容赦なく御神楽舞花とルカルカ・ルーを加速させました。
「負けられない……」
「これは……、まずい、速すぎるわ!」
 御神楽舞花とルカルカ・ルーが、対照的な反応を見せました。イコナ・ユア・クックブックに勝つために、賭に出た御神楽舞花でしたが、思いっきりオーバースピードに達してコースアウトしていきます。対照的に、ルカルカ・ルーは可能な限り減速しました。そのため、ほとんど加速は得られなかったかわりに、ギリギリでゴールを通りすぎます。
『勝負を制したのはイコナ・ユア・クックブック選手だ。8位で、今ゴール。続いて、7位にルカルカ・ルー選手。残念ながら、御神楽舞花選手はコースアウトでリタイアとなりました。おおっと、ミルディア・ディスティン選手も加速ゾーンに入ったか?』
「加速!? 仕方ないなあ。これで最後だからな」
 テンク・ウラニアが、ミルディア・ディスティンを加速しました。ミルディア・ディスティンが、一気にゴールへと近づきます。
『ミルディア・ディスティン選手、10位のまま、ゴール目前へと達しました。それを追うのは、11位の源鉄心選手&トレリン選手です。続くスープ・ストーン選手&ナウディ選手、ふかふかベッドが一気に加速されたか?』
「こんな物でレースに参加するなんて、どれだけ加速できるか興味深いですよね」
 ふかふかベッドの上のスープ・ストーンたちを見やって、ショワン・ポリュムニアが加速スイッチを押しました。けれども、案の定、大した加速が得られません。
『スープ・ストーン選手&ナウディ選手、なんとか先行する源鉄心選手&トレリン選手に追いつきかけた。現在12位です。さあ、激しい追い上げを見せたダリル・ガイザック選手でしたが、またも息切れしてしまったか。速度が落ちたところへ、ノーン・クリスタリア選手が追い上げてきます。最下位争いに終止符が打たれるのはいつになるのでしょう。さあ、現在の順位です』

 8.111 イコナ・ユア・クックブック
 9.104 ルカルカ・ルー
10. 97 ミルディア・ディスティン
       ジェイダス人形群
11. 83 源鉄心&トレリン
12. 82 スープ・ストーン&ナウディ
13. 77 ダリル・ガイザック
14. 75 ノーン・クリスタリア