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リアクション
ヴァイシャリー家の近くにある病院に、マリザ・システルース(まりざ・しすてるーす)が運ばれて、もう一ヶ月以上が過ぎた。
(ファビオと一緒に行ったのは、コウだけなのだろうか? 他にもいるとしたら、その者達の状況は……)
同じ症状で、病院に運ばれている人はいないか、看護士に尋ねてみたところ、マリザよりもっと悪い症状で、運ばれた女性がいるいう話を聞くことが出来た。
百合園女学院の白百合団の団長のパートナーだそうだ。
団長の風見瑠奈が行方不明になった時期と、コウがファビオと一緒に行った時期や、パートナーロストの症状が現れた時期は一致しないため、ファビオと一緒に行ったメンバーではないようだが。
(コウ……死んだら駄目よ)
マリザの体調は回復することはなく、自力で動くこともできない状態が続いていた。
コンコン。
ドアが叩かれ、少女が1人現れた。
「こんにちは……。具合が悪い中すみません」
百合園の制服を纏った少女だった。
「初めまして、佐野 ルーシェリア(さの・るーしぇりあ)です。今日は白百合団の仕事ではなくて、別のお願いがあって来たんですぅ」
意識はあるが、マリザはまともに声も出せない状況だ。
申し訳ないと思いながらも、ルーシェリアは一通の手紙を取り出した。
「実は、ダークレッドホールに向かった橘美咲さんから、ファビオさん宛てのお手紙を預かっていたんです。ですが私、ファビオさんとは面識がなくて、住んでいる場所も知らないんですぅ。なので、マリザさんに紹介していただけないかと思って、来ました」
「どんな、内容……?」
掠れた声で、マリザが尋ねてきた。
「ええとぉ……美咲さんがダークレッドホールに突入する直前に書いたもので、ファビオさんに行ってきますというお知らせと、必ず戻るので待っていてくださいといった内容のようです」
彼女はファビオに待っていてくれと言っていたけれど……。
悩みながら、ルーシェリアは言葉を続ける。
「私はファビオさんにも救助の協力をお願いできないかと思ってるんですぅ」
ルーシェリアの言葉に、マリザは悲しげに首を左右に振った。
「彼は、行けない……わ」
「直接行くことは、美咲さんも望んでないと思うんですぅ。だけど、古王国の騎士さんに、何か少しでも手を貸していただけたら、白百合団として助かりますぅ……」
「……彼、が……今、どんな、状況にある、のか……私にも、わからない。
だけど、その手紙は……渡す機会が、あるかもしれないから」
「はい、お願いしますぅ。ここにおいておきますね」
ルーシェリアはサイドテーブルの上に、美咲から預かってきた手紙を置いた。
「それでは、白百合団の仕事に戻りますぅ。体調が悪いところ、本当にすみませんでした。そして、ありがとうございますぅ」
ルーシェリアは頭を深く下げて、マリザに謝罪と感謝をして病室を後にした。
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