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リアクション
■□■4■□■ リア充攻防戦
そのころ、パーティー会場では。
リョージュ・ムテンに密告された、
姫宮 和希(ひめみや・かずき)とミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)、
風森 望(かぜもり・のぞみ)に密告された、
音井 博季(おとい・ひろき)とリンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)、
リンゼイ・アリス(りんぜい・ありす)に密告された、
セルマ・アリス(せるま・ありす)とオルフェリア・クインレイナーについて、
復活したアルバ・フレスカが判決を言い渡していた。
「リア充は全員、処刑します!」
「って、タダ飯食わせてくれるパーティーじゃなかったのかよ!?」
「姫やん、こいつら、なんだかヤバいぜ!」
「ミュウには指一本触れさせないぜ!」
和希は、ミューレリアと手に手を取って走り出す。
★☆★
「リンネさんは僕が守ります!」
ファイアストームで炎を出現させ、博季はリンネをお姫様抱っこする。
「きゃ……」
「人の恋路を邪魔する方は馬に蹴られて死んでしまえと昔から言われています!」
博季はそのままの状態で走り出した。
「ところで、リンネさん」
「なあに、博季くん?」
「二人っきりになれましたね」
「う、うん、ある意味そうだね?」
「せっかくですし、普段できないお話をしませんか?
ご趣味ですとか、勉強していない時の話とか、いろいろ……」
「って、そういう場合じゃないと思うよ!?」
リンネは思いっきり恋人にツッコミを入れる。
★☆★
「リン……俺に復讐したいって言うのはわかっていた。
だが、なんなんだこの人達は!?」
「『他の方に迷惑をかけない』という、セルの頼みを聞いた結果ですよ?
この密告は合法であり、誰にも迷惑をかけていません。
あなたへの報復は遠慮なく行わせていただきます」
セルマを、リンゼイは普段通りの笑顔で見つめて言う。
「私が地球であなたへの恨みに燃えている間に
あなたは女性といちゃラブなんかして!!」
「いくら恨まれてるからってリア充であることとそれとは関係ないだろう!!」
「口答えは許しません。リア充爆発しろ!」
逃げ出すセルマを追って、リンゼイは物を投げつけたりする。
だが、他の人には被害が及ばないように気を付ける。
「くれぐれも、兄以外の人には攻撃しないように……って、聞いてくれてませんね」
リンゼイは、リンチ部隊の様子を見てつぶやく。
「リア充は空気の鉄槌を受けとけぇ〜!」
ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)が、腕をぶんぶん振り回しながら追ってくる。
「って、別に空気じゃないと思いますが……」
「うるさい! 密告されるなんて目立ってうらやましいよ!
あたしだって、あたしだって、パラミタ歴はそれなりに長いんだから!」
セルマになだめられるが、ミルディアの怒りは収まらない。
「というわけで、軽くシメにきたよ。
大丈夫! 跡が残らない程度に軽く殴るだけだから!」
「って、結局、殴るんじゃないですか!?」
「セルー、見つけましたよ!」
「うわああ、リン!?」
リンゼイにも追いつかれてしまうセルマだが。
そこに、新手が現れた。
「はいはーい、皆さん仲良く、スイーツを食べてくださいねっ」
ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)が、
リア充狙いで、ハート形ミルクマカロンを配って歩いていたのだった。
「え? ありがとうございます、でもこんなときに……」
うっかりうけとってしまうセルマを見て、ネージュがニヤリと笑う。
「ふふふふ、ひっかかりましたね?」
「がるるるるるるるじゃた」
白髪ショートの少女、ジャタの森の精、じゃたが、
獣の本性をむき出しで襲い掛かってきたのだった。
「この季節のじゃたは、冬眠から目覚めたばかり。
つまり、空腹で、狂暴化してるのですよ!」
ネージュが解説する。
「みつけましたよ、リア充……って、ああ!?」
「がるるるるるるじゃた」
セルマを追ってきたアルバ・フレスカがじゃたに襲われる。
「アルバ・フレスカさんには特別にあらかじめプレゼントしておきました。
2018年のクリスマスに角でつかれたのは忘れてないですから」
「ぎゃああああああ」
ネージュは、媚薬の効果で裸リボン姿の静香を襲っていたところを、
アルバ・フレスカにアリスの角で目をつかれたのである。
「詳しくは、『おとこのこうちょう!』をご覧ください!」
カメラ目線でネージュが言う。
「がるるるるるじゃた」
「って、うわああああああああ!?」
アルバ・フレスカを噛みまくったじゃたは、
今度はセルマを襲い、マカロンを奪って湖に突き落とした。
しかし。
「オマエ、マカロンのにおいするじゃた」
「え?」
ネージュは、まだマカロンを多数所持しており、じゃたの格好の標的となったのだった。
「がるるるるるるじゃた」
「空中で回転して噛みついてくる……お約束のじゃたファング!?
お星様は我々の業界ではご褒美です!」
ネージュはお星様になった。
★☆★
「ここはまかせときな! リア充はおっさんが守ってやんよ!
ってか、薔薇学強制転校とかさせねーよ!?」
ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)が、
和希とミューレリア、博季とリンネをかばって立ちふさがる。
「すまねえ、恩に着るぜ、ラルク!」
和希たちが走り去ると、ラルクはミルディアに詰め寄られる。
「あーっ、ずるいよ、ラルクさん! 砕音先生とあんなに仲良くて!
砕音先生は女子生徒の憧れの的だったんだよ!
でも、あっというまにラルクさんと婚約しちゃうし!」
「え? あ、そういえば俺もリア充扱いなのか?」
「リアクションでも大活躍で、ロイヤルガードだし、許せないよ!」
そう言って嫉妬するミルディアだが。
「ま、まあ待てよ。
ミルディアだって、けっこうリアでは活躍してんだろ?」
「がるるるるるる、リアで活躍してるリア充のにおいがするじゃた」
ラルクが言い、じゃたもミルディアを新たな標的として定める。
「え? ちょ! ちょっとまっ……あー!!」
「がるるるるるるるじゃた」
ミルディアも、じゃたにより、ぶっ飛ばされるのであった。
さらに、ラルクはじゃたに噛まれる。
「筋肉がぶがぶじゃた」
「くっ、なんて強敵だ……俺が食い止めてる隙に!」
★☆★
しかし、そのころ、逃れた和希とミューレリアは。
狭い掃除用具入れに無理やり入って密着していた。
「ちょっと、狭いね」
「お、おう……」
ミューレリアは、和希の体温を求めるように、そっと、身体を密着する。
(姫やんの体温……心臓の音が聞こえる。
私の心臓の音も聞こえてるのかな?)
「ミュウ……」
2人の鼓動が早くなる。
お互いの呼吸の音、心臓の音、温かくてやわらかい身体……。
そんなものを感じながら、幸せに浸る2人だったが。
★☆★
「がぶがぶがぶじゃた」
「はなせええええええ」
すぐ近くではラルクとじゃたの戦いが繰り広げられているのだった。
★☆★
そこへ。
「ヒャッハアー!」
「はなせよこらああああああ」
15歳くらいの少女の姿の分霊、聖ワレンティヌスを捕縛した南 鮪(みなみ・まぐろ)が、
パンティーを振り回しながら現れた。
「幻生物の山で、会う奴会う奴パンティーを渡してたワレンティヌスだが!
俺とはずっと前から深い中だからなアー」
「パンツ返せつってんだろうが!」
「そうだなァ〜? こいつは俺の四番目か五番目ぐらいのコレだからなァ〜」
鮪は、小指を立ててみせる。
「オトナの関係を何度したか判ったもんじゃねえぜ!
ちっちぇえレベルで争ってるお前らとは住んでる次元が違うぜェー!」
「てめー、何、誤解を招く発言してやがる!?」
しかし、誤解といえば、
もっとすさまじいレベルで進行させようとするものがいた。
もちろん、本人は本気なのだが。
土器土器 はにわ茸(どきどき・はにわたけ)であった。
「見てみい帝世羅さん、どいつもこいつもわしらの事を妬んどるわ」
国頭 武尊の密告で、帝世羅さんこと、
ティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)との関係を主張しているのだった。
「そうじゃろうそうじゃろう、悔しかろう悔しかろう、
何せわしらは婚姻関係じゃけえのう! ガキどもの恋人ごっことは次元が違うんじゃ」
「離れてください!
わたくしはあなたのような方と結婚した覚えはありませんわ!」
「いやよいやよも好きの内じゃけえのう。
ただの照れ隠しっちゅうのは判っとるんじゃぁ。
帝世羅さんは世間様の事を考えんとイカン立場じゃけえのう」
はにわ茸は、嫌がるティセラにまとわりつく。
「ここは、老若男女、俺の愛で満たしてやるぜェー。
全員のパンティーを俺のものにし、
ワレンティヌスのパンティーと履き替えさせてやるぜェー!」
鮪は、その場にいる全員のパンツを奪うつもりであった。
「まずはリンネからだァー!」
「なんですって!?
リンネさんを汚すのは許しませんよ!」
博季が立ちはだかる。
「……リンネさん。
この騒動を切り抜けたら、僕とデートしてくださいね。ほら、もうすぐ桜も咲くし……。
凄く綺麗で見晴らしもいいところ、見つけたんです」
「ダメだよ、博季くん! それは、死亡フラグだよ!?」
「先に行っててください。
僕は大丈夫だから。音井博季も男の子!
リンネさんの前では、かっこつけたいんですよ……なんて。……その、愛してます! リンネさん!!」
「博季くーん!」
鮪に突撃する博季だったが。
「ヒャッハアー! お前のもちゃんとうばってやるからそうがっつくなよ」
「うわあああああああ!?」
しかし、鮪は博季にワレンティヌスのパンティーを履き替えさせたのだった。
「リ、リンネさんは僕が守ります……たとえ、女物の下着を身につけたとしても……」
博季は、ゆらり、と立ち上がる。
「だ、ダメだよ博季くん! これ以上、変態の相手を本気でしたら、
博季くんの純粋なイメージが……」
「心配しないでください、リンネさん!
リンネさんのし、し、し、下着を……取られるくらいでしたらっ!」
博季は、赤面して叫ぶ。
自分の下着より、リンネのことの方が大事なのであった。
「あっ、鮪! また他人のパンツを奪ってやがるのか!」
「この状況でなんて奴だ!」
和希とミューレリアがたまらず飛び出してくると。
「ヒャッハアー! 飛んで火にいるパンティーだゼェー!」
「うわああああ!?」
「ぎゃああああ!?」
鮪は、和希とミューレリアもワレンティヌスのパンティーに履き替えさせたが。
「履き替えさしゃいいってもんじゃねーぞ!」
「少なくともノーパンで暴れるよりマシだぜ!」
「てめー、俺のパンツ何枚持ってるんだよ!?」
「ヒャッハア〜!?」
和希とミューレリアとワレンティヌスにより、鮪はお星様になった。
「いいかげんにしてくださいな!」
ティセラも、はにわ茸をビックディッパーでぶっ飛ばす。
「帝世羅さん、わしだけを逃がすとは、そんなにわしの事を愛してくれたんじゃのう」
「だから、違いますのにー!」
はにわ茸の発言を律儀に否定するせいで、決して本人には聞きいれられないティセラであった。
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