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リアクション
【3】スーパードクターのサマーホリデイ……5
雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)はため息を吐きながら彷徨っていた。
今日は露出の激しいいつもと違って、通販で買ったフリフリのゴスロリ衣装でなんだか大人しめな彼女である。
と言うのも、『ハロー、シボラ!(第2回/全3回)』の11ページで言われた言葉の所為だ。
『よく分かんないけど、脱いで勝ちならそういう業界いけば? ここは、撮影会なのよ』
「そういう業界……、そういう業界って……、ぐすん」
私はただ、セクシーをアピールしていただけなのに。
そりゃあ、最終的にはそういうことに持ち込みたい……けどね、それをメインにしたいわけじゃないのよ。
やっぱり男の人ってがっつかない、清楚でゆるふわな愛され系が好きなのかしら……。
「……ん、あれはドクター?」
仕事のあとの一杯に勤しむ彼に、医者=玉の輿の理論で興奮するリナリエッタ。
「だ、だめだめ、がっついちゃだめ……、男の人は肉食動物より草食動物が好きなんだから……」
奇跡的な自制心を発揮し、リナリエッタはドクターに相談を持ちかける。
「ドクター……、男の人って、自分から攻めてくる女の子と、受身の女の子、どちらがお好きなんでしょうか……」
「ぶっ、げほっげほ!」唐突なそれにむせ「な、なにを訊くかと思えば……」
「帰ったら裸エプロンで迎えてくれる女の子と、頼んで初めて裸エプロンになってくれる子、どっちが好みですかぁ?」
それは男にとって非情に難しい命題である。
「裸エプロンで迎えてくれる子はフォーッて感じで盛り上がりそうだ。明るいエロスが期待出来る……しかし、頼んでなってくれるほうも捨てがたい。こっちのほうが確実に恥じらうだろうな。男と言うのは、なにより女子が恥じらう様が大好物なのだ……が、でも、そういう子はいざエロイことしようとすると、恥じらい過ぎてむしろ面倒なパターンが……」
「どっちなの?」
はっと気付けば、リナリエッタはドクターの膝の上に!
ふぅーと甘い吐息を絡ませ、首筋に回される伸びた腕……定評のあるドクターの愚息も昇天!
「君、今夜はこのあと……」
「本当すいませんね。この子はすぐ女の武器を使いたがる糞ビッチなもんで……」
とそこに男装の麗人ベファーナ・ディ・カルボーネ(べふぁーな・でぃかるぼーね)が嫌なタイミングで割り込む。
彼女もまた祭りを彷徨っていた。
男尻神輿バトルと聞いて、褌男子をぺちぺちぺろぺろする祭りかと勘違いするほどに人生も彷徨っていた。
「初めまして、あなたが色々と悩みを聞いてくれるスーパードク……」
「ああ!?」
「……な、なんか悪いことしました?」
むしろ糞ビッチは好物であるドクターとしては、ベファーナの乱入はウザイこと山の如しである。
「今日の仕事はもうしまいだ、帰れヅカ女」
「ええー……、最初のほうで『医の道を志した時から、休息とは無縁と覚悟している』って言ってたじゃないですか」
そんな物言いもシャットダウン。
とにかくリナリエッタをなんとかしたくなったドクターは、お洒落なバーに行こうとしきりに口説く。
「く……っ、完全に色香に迷ってる……!」
そう言うと、彼女はサッと背後を奪い、ぺろぺろと得意の舌技でドクターの首筋を攻め立てた。
「な、なにを……!?」
「糞ビッチに惑わされるなんて情けないですよ。ドクターのような人はこちらの世界に来るべきです」
意味深な発言をするベファーナ……と、おもむろにドクターは彼女の手を握りしめた。
舌技が功を奏し……たのかどうかは知らないが、ベファーナもなんとかしたくなったようである。
「君も悩みがあるんだろう。さぁ来たまえ、じっくりお洒落なバーで相談を聞こうじゃないか」
「はれ……、いいんですか?」
2人を連れ夜の繁華街に繰り出すドクター。
数時間後、ベファーナの秘密に気付き泡噴いて倒れることになるのだが、それはまた別のお話。
スーパードクターのサマーホリデイは始まったばかりだ。
この世に心を病む患者がいる限り、スーパードクターの戦いは終わらない。
次の戦場に立つその日まで。休め、スーパードクター梅! 寝てろ、スーパードクター梅!
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