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シャンバラ一武闘大会

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シャンバラ一武闘大会
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リアクション

 

第七試合

 
 
『続いては、鳴神 裁(なるかみ・さい)選手、そして、初登場、魄喰 迫(はくはみの・はく)選手です。なお、先ほど敗退した瀬山裕輝選手に、これ以降解説としてお越しいただいております』
『よろしくな! お互い楽しもうぜ!』
 たたたたたたっと武舞台に駆けあがってきた魄喰迫が元気よく言った。お尻が見えそうなミニ着物から、銀色のふさふさ尻尾をフリフリさせている。シンボルは、胸につけた青紫の薔薇の花だった。
『おお、可愛いやんか。頑張りいや』
 シャレード・ムーンからマイクを奪って、瀬山裕輝が言った。
『でもお、女はやっぱり色気ですわあ』
 そのマイクをさらにひったくって、セラフ・ネフィリムが言う。
『ええっと、そういう戦いはまた今度にしてください。さあ、試合開始です』
「ふふふふ、あたしのこの手が闘気に燃える、あっち、あちちと悲鳴をあげる!」
 魄喰迫が、必殺技のために入った。
「なんの。そちらこそ、変幻自在の風の動きを捉えきれるかな?
 鳴神裁(物部 九十九(もののべ・つくも))が同様に必殺技の態勢に入る。
「たたたたたたた!」
 なんと、お互いに七曜拳が炸裂した。
『これは、両選手まっこう勝負にでました。はたして結果は。武舞台に立っていられるのはどちらか!』
「ふふふ……、ふわああ〜」
 不敵に笑っていた魄喰迫が、グルグルと目を回してばったりと倒れた。
『うっうっうっ、痛かったけど耐えましたよお』
 魔鎧状態のドール・ゴールド(どーる・ごーるど)が、半分泣きながら鳴神裁(物部九十九)に言った。
『勝者、鳴神裁選手です』
『やはり、足技も持っていたのと、防御が高かったのが勝因でしょう』
 湯上凶司の言葉に、瀬山裕輝が適当にうんうんとうなずいた。
 
 
第八試合

 
 
『対戦者なしですので、次の試合に参ります』
 
 
第九試合

 
 
『次の試合は、超 娘子(うるとら・にゃんこ)選手対、ジェイムス・ターロン選手です。
 おお、ジェイムス・ターロン選手、おもむろにテーブルの用意を始めました。マグロです、マグロの塊がテーブルに載っています』
「さあ、準備は整っております」
「ニャニャニャニャ……。正義のヒロインは、ストイックなのにゃ」
『言いつつ、超娘子選手、よだれだらだらです。これは危ないか』
「でしたら、これで、ほれほれほれ」
『おおっと、ジェイムス・ターロン選手、今度は猫じゃらしを取り出した。これはもうダメか』
「その手は桑名の焼き蛤なのにゃあ!!」
『超娘子選手、ロケットパンチを放った。ジェイムス・ターロン選手、吹っ飛ばされる。超娘子選手、かろうじて勝利しました』
「まぐまぐまぐ……」
『ああっと、戦利品のマグロを囓っています……って、解説の三人、一緒に食べに行くんじゃない。戻ってこーい!』
 
 
第十試合

 
 
『さあ、今度は双方共に問題児、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)選手と猪川 勇平(いがわ・ゆうへい)選手の登場です。
 第一回戦で、佐々木弥十郎選手は雨を降らせて、猪川勇平選手はブリーフを被って、共に厳重注意を受けております。けれども、今回は両選手とも真面目に戦うようです』
「ふっ、さっきのはあくまでも仮の姿。それじゃ、始めようか
『猪川勇平選手、白竜鱗剣「無銘」をブンブンと華麗に振り回してデモンストレーションをします。
 対して、佐々木弥十郎選手、静かにたたずんでいます。まさか、また何かの奇行を企んでいるのでしょうか。
 さあ、試合開始です。
 猪川勇平選手、煉獄斬で先制するも、これは読まれていた。佐々木弥十郎選手、軽く避けました』
「だったら、メテオストライクだ!」
『猪川勇平選手、今度は剣を直接投げつけようとします。ああ、しかし、佐々木弥十郎選手の魔法詠唱の方が早い。吹き荒れる魔力の嵐が、猪川勇平選手の身体を翻弄します。あっけなく胸の薔薇の花が散ったあ。
 勝負ありました、佐々木弥十郎選手の勝利です』
 
 
第十一試合

 
 
『はい、それでは次の試合に参りたいと思います。日堂 真宵(にちどう・まよい)選手対、アルディミアク・ミトゥナ(あるでぃみあく・みとぅな)選手です。
 おおっと、試合開始早々、アルディミアク・ミトゥナ選手、しきりに胸を押さえています。これは苦しそうだ』
「このたっゆんめ、死ね、死ね、たっゆんなんか全て滅びてしまえ。ひゃっははははは!!」
『日堂真宵選手、またもや呪い攻撃です。一歩も動かず、藁人形を踏みつけています』
「その程度の呪い、跳ね返してみせます」
『おお、アルディミアク・ミトゥナ選手、どうやら星拳を召喚するようです。これは、逆転かあ?』
「だったら、こっちを叩くまでよ!」
『日堂真宵選手、何やら別の藁人形に針を突き立てた。アルディミアク・ミトゥナ選手、呪詛から解放されて元気に胸をゆらします。だがあ、代わりに帽子についていた紙風船が破裂したあ。
 なんと、日堂真宵選手、紙風船に呪いをかけました。汚い、これは汚い。けれども、勝ちは勝ちです。勝者、日堂真宵選手!』
「まだよ、まだだわ。たっゆんなんて……」
 血走った目で、日堂真宵が再びアルディミアク・ミトゥナの藁人形を踏もうとした。
「はい、そこまでです。それ以上やると、お星様になっちゃいますよー」
 フルチャージされた星拳ジュエル・ブレーカーを日堂真宵の額にピタリと押しあてると、アルディミアク・ミトゥナが自分の藁人形を回収した。
 
 
第十二試合

 
 
『続いての試合は、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)選手と、初登場神代 明日香(かみしろ・あすか)選手です。
 ベアトリーチェ・アイブリンガー選手、前回と同じように、空飛ぶ箒パロットに乗っての登場です。これは油断なりません』
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたしますぅ。みなさんも、よろしくですぅ」
 神代明日香が、ベアトリーチェ・アイブリンガーと観客に丁寧にお辞儀をする。
 不思議の国のメイド服の胸には、赤い薔薇が飾られていた。多分、白薔薇に赤いペンキを塗ったものではないと思う。
『さあ、試合開始です』
みなさん、お願いですぅ
『おおっと、神代明日香選手、一気に召喚獣を召喚した。武舞台の上に、サンダーバード、フェニックス、ウェンディゴ、不滅兵団が所狭しとならびます』
「それならば、一気に行かせてもらいます!
『ベアトリーチェ・アイブリンガー選手、伝家の宝刀、剣の結界を発動させた。
 おお、健気です、不滅兵団、自らの身を盾にして神代明日香選手を守りました』
「ありがとうですぅ。それなら、こちらもいくですぅ!」
『神代明日香選手、炎の聖霊を呼び出してベアトリーチェ・アイブリンガー選手にぶつけた。だが、しかし、ここで空飛ぶ箒パロットの力が発動。もろトラップカードです。炎の聖霊の力が、神代明日香選手にむかって跳ね返されました。
 ああっと、健気です。ウェンディゴ、自ら炎に飛び込んで消滅し、マスターの身を守りました』
「そこです」
『ベアトリーチェ・アイブリンガー選手、鬼払いの弓を神代明日香選手にむけて放った。神代明日香選手、間一髪、空飛ぶ魔法で遥か上へと逃げます。上へ……。あの神代選手、見えてますよ……』
「えっ、きゅぅぅぅぅ〜!」
 ニーソの間から丸見えになっている紐パンに気づいて、神代明日香があわてて地上に降りてうずくまった。
「今度は逃がしません」
 再びベアトリーチェ・アイブリンガーが弓矢の狙いを定める。だが、そこへフェニックスとサンダーバードが割って入った。
 あわてて回避行動を取りつつも、ベアトリーチェ・アイブリンガーがちょうど立ちあがった神代明日香の胸の薔薇だけを真上から正確に矢で射貫いた。
『危なかったです、神代明日香選手。たっゆんだったら大怪我をしているところでした。
 勝者、ベアトリーチェ・アイブリンガー選手です』