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第9試合

 
 
『第9試合は、ゲブー・オブイン、バーバーモヒカンシャンバラ大荒野店のキング・王・ゲブー喪悲漢の不戦勝となっています』
 
 
第10試合

 
 
『第10試合の開始です。
 イーブンサイド、秋月葵、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』、Night−gaunts
 オッドサイド、村雲庚、壬ハル、ソルティミラージュ
 舞台は廃墟遺跡です。どよんと、ちょっと怪しい雰囲気が漂います。
 慎重に、ソルティミラージュがフィールドに入っていきます。銃剣つきビームアサルトライフルを構え、崩れかけた遺跡を背にして進みます。
 はたして、Night−gauntsはどこにいるのでしょうか。
 何か、不気味な囁きが聞こえる気もしますが……。
 おおっと、遺跡の一つが崩れました。中から、Night−gauntsが現れます。いきなり無尽パンチで腕をのばして攻撃してきた。ソルティミラージュが隠れていた遺跡をパンチで貫く!
 ソルティミラージュ、かろうじて避けました。
 この雰囲気を嫌ったか、ソルティミラージュ、一気に勝負に出た。全身が発光し、廃墟を明るく照らします。その光に、Night−gauntsがよろけたか。何か、ネコの鳴き声のような物が聞こえた気もしますが……。
 ソルティミラージュ、突っ込んだ!
 Night−gauntsの装甲を木っ端微塵にして……おおっと、モザイクがかかりました。何か、放送に耐えない物が映ったのでしょうか。謎です。
 ともあれ、勝負ありました。勝者、ソルティミラージュです!』
 
    ★    ★    ★
 
「だから、なんで、クトゥグァとイタクァまでデータ申請したんだもん!」
 シミュレータから出て来た秋月葵が、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』に文句を言った。
 戦いの最中、コックピットを走り回った使い魔の猫たちが邪魔で、回避が遅れたのだ。結局、それが致命傷となった。
「だから、キャストオフして、身軽にしようとしたではないか!」
 フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』が言い返す。
「そのおかげで、モザイク処理されちゃったじゃない。危なくSAN値直葬だったんだもん」
 なんだかよく分からないが、Night−gauntsの装甲の下の素体は、永遠の謎のようである。
 
 
第11試合

 
 
『失礼いたしました。
 さあ、第11試合に参りたいと思います。
 イーブンサイド、松平岩造、フェイト・シュタール、龍皇飛閃
 オッドサイド、綺雲菜織、有栖川美幸、不知火・弐型
 舞台は、世界樹となります。
 それぞれが格納された枝のうろから、両者が出て来ました。
 不知火・弐型、背部のイコンホースを射出するとビームサーベルを抜いて前進。龍皇飛閃、牽制のイコンホースを無視すると、こちらも接近戦を挑むべく前進しました。
 龍皇飛閃、ブラスターフィストで敵の粉砕を狙いますが、これはリーチの差で少し不利か?
 高低差を利用して巧みに格闘を避けた不知火・弐型、ビームサーベルで龍皇飛閃に斬りつけます。龍皇飛閃、イコン用光条サーベルを抜いてそれを受けとめた。
 龍皇飛閃、猛攻を加えますが、機体スペックでわずかに上回る不知火・弐型、それに耐え抜きます。
 不知火・弐型、いったん下の枝に逃げて、バスターライフルを構えた。一気に決めるつもりか。
 おおっと、不知火・弐型のイコンホースが、背後から龍皇飛閃に体当たりをしました。衝撃で、龍皇飛閃が光条サーベルを落としてバランスを崩す。このまま決まるかと思われたところで、龍皇飛閃、バランスを崩したまま下にいる不知火・弐型に突っ込んでいった。両者激突。互いに組み合うような体勢となります。
 龍皇飛閃、必殺のブラスターフィストを不知火・弐型に叩き込む。不知火・弐型もビームアサルトライフルを発射するが、長砲身が徒となって龍皇飛閃の機体にむかない。
 不知火・弐型の機体で爆発が起こりました。同時に、龍皇飛閃の背部が大きく溶けています。イコンホースだ。不知火・弐型のイコンホースが背後でリフレクターを展開し、ビームを反射した。
 勝敗は……。おおっと、誘爆です。両者、誘爆して吹き飛びました。結果、相討ちです!』
 
    ★    ★    ★
 
「まだだ、まだ終わら……」
「もう終わってます!」
 さっさとシミュレータから出てくると、有栖川美幸がさっさとマスクを脱いで、ほっとしたように深呼吸した。
 
    ★    ★    ★
 
「おしかった。だがみごとな散り際だ!」
 観客席では、一際力強く旗を振りながら、ドラニオ・フェイロンが叫んでいた。