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第6試合

 
 
『第6試合は、富永佐那、北条氏康のクレーツェトの不戦勝となっています』
 
 
第7試合

 
 
『では第7試合を開始いたします。
 イーブンサイド、フェルクレールト・フリューゲル、十七夜リオ、メイクリヒカイト‐Bst
 オッドサイド、コア・ハーティオン、龍心機ドラゴランダー、グレート・ドラゴハーティオン!!
 戦いは、アトラスの傷跡、火山ステージです。
 小さな噴火を繰り返す火口の縁に、コア・ハーティオンと龍心機ドラゴランダーがいます。そこへ、龍帝機キングドラグーンが現れます』
「いくぞ、ドラゴランダー、キングドラグーン、緊急合体フォーメーションだ!」
 コア・ハーティオンが叫んだ。
『これは、合体フォーメーションなのでしょうか。何やら、合体コールサインを叫んで龍帝機キングドラグーンがグレート・ドラゴハーティオンに変形していきます。
 やや遅れ気味に空に現れたメイクリヒカイト‐Bstが、その変形を見つめ……あれれ?』
「黄龍合体! グレート・ドラゴハーティ……うおおぉぉぉぉ!?」
『ああっと、グレート・ドラゴハーティオン、メイクリヒカイト‐Bstのミサイルの直撃を全身に受けて倒れた。
 容赦ありません、メイクリヒカイト‐Bst。スーパーロボットお約束の合体名乗りシーンの隙を見逃すことなく突いてきました。
 ふいをつかれたグレート・ドラゴハーティオン、機能障害を起こしたか、動くことができずにそのまま火山の中に落ちていきます。おおっと、大噴火だ! 本来なら、変形合体した後の背景で格好よく爆発するはずだった火山が、皮肉にも止めとなりました。グレート・ドラゴハーティオン散りました。
 勝者、メイクリヒカイト‐Bstです』
 
    ★    ★    ★
 
「撃っちゃったけどよかったのかなあ?」
「変形合体時に敵が待ってくれるというのは、スーパーロボット物のお約束ですから、リアルロボットが従う必要はないと思います」
「まあ、油断大敵ではあるんだけどね」
 ちょっとコア・ハーティオンのことをかわいそうに思いつつ、フェルクレールト・フリューゲルにむかって苦笑いする十七夜リオであった。
 
    ★    ★    ★
 
「なんだか、二人ともこんがり焼けちゃってるよお」
 精神的にこんがり焼けたコア・ハーティオンと龍心機ドラゴランダーを前にして、ラブ・リトルがちょっと心配そうに言った。
『シミュレータだから、大丈夫よ。はい、撤収、撤収。早く戻って、この二人を精神面から叩き直すわよ!』
 本物の龍帝機キングドラグーンでコア・ハーティオンたちを回収しながら、高天原鈿女が容赦なく言った。
 
 
第8試合

 
 
『第8試合は、第二世代機同士の戦いとなりました。
 イーブンサイド、カチェア・ニムロッド、緋山政敏、黒月
 オッドサイド、湊川亮一、高嶋梓、ウィンドセイバー
 舞台は、コンロン山中の秘湯ステージです。
 ウィンドセイバー、お湯の中から登場しました。黒月、ステルスモードで接近か、まだ姿が見えません。何かの経験を120%生かしているようにも思えます。
 おっと、ウィンドセイバー、ビームウィングを展開して、機体を高速回転させながら飛翔した。温泉のお湯が激しく周囲に飛び散った。
 黒月です。お湯を浴びて、ステルスモードの黒月が居場所を暴かれました。
 すかさず、ウィンドセイバーが上空からツインレーザーライフルを叩き込みます。間一髪、黒月がスラスター全開で脱出した。カチェア・ニムロッドパイロットのバーストダッシュも併用したようです。おや、黒月、少し動きが鈍い、中で何か揉めているのでしょうか。ステルスモードを解除すると、機体を安定させ直しました。
 立ちなおる隙を与えまいと、ウィンドセイバーがツインレーザーライフルで攻撃を続行します。脚部に被弾するも、黒月もツインレーザーライフルで反撃を開始します。
 両者、空中で激しく位置を変えながらの撃ち合いを演じます。これは互角か。
 黒月、やや接近してノイズグレネードを発射。急速後退するウィンドセイバーがバスターライフルでそれを撃ち落としました。火力ではウィンドセイバーが圧倒していますが、黒月の回避能力も高く、決め手とはなっていません。普段、よほど回避訓練を行っているのでしょうか。
 ウィンドセイバー、サンダークラップをのばした。どうやら、敵の動きを止めるためにあえて懐に呼び込むつもりのようです。
 黒月、誘いに乗るかのように接近する。武器はソードブレーカー一本だ。これは無謀か?
 おおっと、黒月、奥の手を出してきました。エナジーバーストです!
 ウィンドセイバーもリミッター解除します。
 光につつまれた黒月が、ウィンドセイバーのサンダークラップをはねのけてソードブレーカーを突き入れる。ウィンドセイバーの頭部が撥ね飛ばされた。これは勝負あったか。
 いや、待ってください、ウィンドセイバーのギロチンアームが黒月の腹部を深々と抉るように突き入れられています。
 黒月の脱出装置が作動する。
 ああ、カチェア・ニムロッドパイロットだけです。緋山政敏パイロット、逃げ遅れたか。
 ウィンドセイバー、腕が抜けません。黒月が爆発、ウィンドセイバーも巻き込まれました。両者の破片が、地上へと降り注ぎます。
 相討ち、相討ちです!』
 
    ★    ★    ★
 
「まだまだ、上はたくさんいると言うことか。最後でしくじったな」
 悔しそうに、湊川亮一が言った。だが、それが明日の糧だ。
「でも、充分なデータもとれました。今後、いろいろと応用できると思います」
 しっかりと結果を記録した、高嶋梓が言った。
 
    ★    ★    ★
 
「どういうつもりよ!」
 シミュレータから下りたカチェア・ニムロッドが緋山政敏に詰め寄った。
「いや、名演技だっただろう?」
 なんだか自画自賛しながら、緋山政敏が格好をつける。
「もう、戻れそうにないか……。カチェア、お前だけでも。――ぽちっとな。あばよ、ダチ公」
 敬礼するまねをして、緋山政敏が小芝居を再現する。結局これがやりたかっただけなのか?
「面白かったよー」
 久我浩一のそばでうろちょろしていた彩音・サテライトが、パチパチと拍手してくれた。観客、一名である。
「おお、面白かったか。どうだ、この後でデー……!」
 皆まで言わせずに、カチェア・ニムロッドが緋山政敏の襟首を掴んで、パーストダッシュで激しく地面の上を引きずりながら去って行った。