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第4試合

 
 
『第四試合に参りましょう。
 イーブンサイド、小鳥遊美羽、ベアトリーチェ・アイブリンガー、グラディウス
 オッドサイド、イブ・アムネシア、月詠司、トラボル太
 舞台は、氷原のようです。激しくブリザードが吹きまくっています。
 視界の悪い中、爽やかな鈴の音を響かせてトラボル太の登場です。もはや、サンタコスプレを楽しんでいるとしか思えません。
 対するグラディウスはどこにいるのでしょう。
 限りなく視界が悪いため、先に敵を発見した方が有利と思われます。
 おや、何か光った。
 グラディウスです。吹雪の中、金色の光を放って雄々しく立っています。
 おおっと、トラボル太がグラディウスに気づいた。これはまずいか。
 あれ? トラボル太、なぜか手を合わせています。もしかして、金色なので大仏と勘違いしたか。宗教が違いますがいいのか?
 さすがに、グラディウスもトラボル太に気づいた。
 動きにくい天候のため、ミサイルを一気に発射します。風にあおられてやや散りつつも、ミサイルがトラボル太の頭上から降り注いだ。
 トラボル太の周囲でいくつかの爆発が起こり……いや、トラボル太が盛大に爆発しています。どうやら、ミサイルによって、積んでいたグレネードが誘爆を起こしたようです。跡形もありません。
 勝者、グラディウスです』
 
    ★    ★    ★
 
「あーん、私のトラボル太があ〜」
 めそめそするイブ・アムネシアに、月詠司がちょっと困った顔をする。
「まあ、こんなものですか……。ええっと、イブくん、ほら、駐機場を見てください。本物のトラボル太は無事ですよ」
 シミュレータなので、実機が壊れたわけではない。携帯で駐機場の映像を見せられたイブ・アムネシアが、無事なトラボル太の姿を見つけだした。
「でも、黒い〜!!」
 色がアイス色じゃないと、イブ・アムネシアが叫んだ。
 
 
第5試合

 
 
『第5試合に参ります。
 イーブンサイド、ネフィリム三姉妹
 オッドサイド、斎賀昌毅、マイア・コロチナ、フレスヴェルグ
 これまた、パワードスーツ隊と第二世代機の戦いという極端な試合です。はたして、ネフィリム三姉妹に奇跡の勝機はあるのでしょうか。
 舞台は、空京のようです。
 すでに、ネフィリム三姉妹は市街地に散って身を隠しています。
 今、太陽を背にフレスヴェルグが降下してきました。空京デパートの屋上に慎重に着陸します。
 おや、フレスヴェルグ、しきりに周囲を回頭して索敵をしています。未だ敵を見つけられていないのか。もしかして、敵がパワードスーツだと気づいていないのか?
 このままの位置では目立ちすぎると感じたのか、フレスヴェルグが道路へと下りました。ゆっくりと空京大通りを進んで行きます。
 おっと、いきなりフレスヴェルグの頭部に攻撃が命中した。すぐさま反応したフレスヴェルグが、クローアームで攻撃がきたビルを横に薙いだ。
 おおっと、赤い爆炎と共に何かがバラバラになる。
 も、モザイクです。モザイクがかかりました。セラフ・ネフィリムがクローアームの直撃を受けたようです。ひとたまりもありません。
 さらにエクス・ネフィリムを発見したフレスヴェルグ、バスターライフルの銃口をむけた。
 おおっと、フレスヴェルグの動きが止まった。怯える子供に銃口をむけてしまって、メインパイロットの斎賀昌毅が激しく動揺しているようです。
 その隙に、先に立ちなおったエクス・ネフィリムが、フレスヴェルグの胸部にギロチンアームを叩き込んだ。ふいをつかれたフレスヴェルグが、大きく装甲を剥がされて後ろによろけます。
 そこに、ディミーア・ネフィリムが現れた。長女の仇とばかりに、エクス・ネフィリムと連携してロケットランチャーを同時に叩き込んだ。装甲が損傷していたフレスヴェルグ、コックピットを集中攻撃されて沈黙しました。
 勝者、ネフィリム三姉妹です』
 
    ★    ★    ★
 
「だから、子供の相手は苦手なんだ。くそう、相手がイコンだったら躊躇することもなく思いっきりいけたものを……」
 どちらかというと、イコンよりも斎賀昌毅の弱点を突かれたというところか。
「うーん、生身の人間相手ではさすがに難しいですね。経験値をもらったとでも思っておきましょうよ」
 そう言って、マイア・コロチナが斎賀昌毅を慰めた。