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40)蓮見 朱里(はすみ・しゅり)

蓮見 朱里(はすみ・しゅり)
アイン・ブラウ(あいん・ぶらう)の夫婦は、
トッドさんと再会を果たした。
そして、今回は、生後6ヶ月の娘・ユノを連れている。

【VDカップル】この腕の中の幸せ

「またお会いできてうれしいわ。
お子さんたちを育てる生活は大変なこともあると思いますが、
ご家庭を持つことで、どんな時、幸せを感じられますか?」

「家の中が子供たちの笑顔に溢れていること、
そして子供たちの成長を間近に感じられること……かな?」
娘の顔を見ながら、朱里は言葉を続けた。
「私自身は小さい頃に両親を亡くして、
唯一の肉親だったお祖母ちゃんに育てられたから、
家族というものにすごく憧れていたし、
またお祖母ちゃんが私にくれた愛情を、子供たちにも受け継いであげたい」
朱里の言葉にトッドさんがうなずく。
「実際の子育ては色々と大変なことも多いけど、
そんな時、夫や子供たちが色々と支えてくれて、
家族の絆とか、団結といったものが、より深まったような気がするんです」
アインは、朱里と視線を交わし、微笑を浮かべた。
「だから私にとって大切な人は、家族。
アインやユノはもちろん、
養子のピュリアや健勇も、
血がつながってなくても、かけがえのない大切な存在なんです」
「なるほど。
お母様として、いっそうたくましくなられたようね」
「ありがとうございます。
皆がいるから、私も一緒に成長できるのだと思います」
朱里は、しっかりとうなずいた。

「次は、瀬山 裕輝さんの質問です。
『僕私のおススメ又は自慢したいアイテムやスキル』は?」

「やっぱりこの指輪かな?」
朱里が、左手のアインのエンゲージリングを示した。

「空京デパートでこの指輪を買ってもらった日に、
これからもずっと一緒にいようって誓いあって……それがそのまま「婚約指輪」になったの。
決して高価ではないけれど、
私にとっては何よりも大切な宝物。だからあの日からずっと、肌身離さずこの薬指に……」

「朱里、改めてそう言ってくれてうれしいよ」
アインが、いとしげに妻の肩を抱いた。

「ふふ、ごちそうさまだこと。
では、おすすめのスキルはあるかしら」

「「幸せの歌」ですね。
味方の援護は勿論、
闇に操られ無理矢理戦わされていた人、
行き場を失くし彷徨う魂……そんな人々の救いを願い、
仲間と共に歌い続けたこの歌が、私にとってはやはり一番思い出深いんです」

「朱里さんの歌声、きれいでしょうね。
子守唄もすてきなのじゃないかしら」
トッドさんがうなずいた。

「では、アインさんにも質問するわね。

リイム・クローバー(りいむ・くろーばー)さんの質問です。

皆様は夢のために誰かと争う事をどう思いまふか?
相手を打ち負かし、そして自分の道を進むのは果たしていいことなんでふか?

とのことです」

「夢の内容にもよるが、誰かと争わなければならない局面は確かにあるかもしれない。
だが大切なのは『本来の夢を忘れないこと』
競い合う中で『争う以外の方法』を見出すこともあるだろう。
逆に争いに敗れ挫折したとしても、そこから何かを掴む事もあるだろう」
優しく、教え諭すように。
強い瞳でアインが続けた。
「忌むべきは本来の志を忘れ、
他人を踏みつけ見下す快感に酔いしれ、自らの悪意や自惚れを正当化してしまうことだ。
そうして悪へと堕落し、多くの人を傷つけた輩を、僕は何人も見てきている」
契約者としての戦いの中には、そうしたこともあった。
けれど。
「ライバルといえども、同じ夢を追う『同志』としての敬意を忘れないこと。
互いに競い合い認め合うことで生まれる友情もあるだろう。
君自身の夢の為に頑張ってほしい」
守るものを、愛する者を得た騎士は、そう言って笑みを浮かべた。

「どうもありがとう。
あなた達のような方が、きっとこれからも多く出てくるのでしょうね」
「家族の絆は、不変ですし、普遍ですから」
朱里は、ユノを抱き、アインに支えられて、トッドさんにそう言った。