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第3回ペットレース

 
 
『さあ、やって参りました、本日のメインイベント。第3回ペットレースの開催です!』
 空京大学の校庭の陸上トラックに作られた特製コース前の放送席で、シャレード・ムーン(しゃれーど・むーん)が高らかにペットレース開催を宣言しました。
『では、走者を紹介したいと思います。エントリーナンバー1番、コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)さん所属のローゼンクライネさん!』
『今度こそは、上位入賞を狙います!』
『コハク・ソーロッドさん、気合いが入っています。
 なお、ローゼンクライネさんは、オリヴィエ博士改造ゴーレムの一体で、金髪碧眼の美少女ゴーレムです。ゴスロリドレスが色っぽいですが、これはコハク・ソーロッドさんの趣味……ではなくて、ベアトリーチェ・アイブリンガーさんの趣味だそうです。そうですよね?
 過去の成績は、第1回が14位、第2回が32位です。
 いつもマイペースの走りで、あまり順位はふるってはいないようですが、今回は雪辱なるでしょうか。
 さあ、次の参加者は、エントリーナンバー2番。フォン・ユンツト著 『無銘祭祀書』(ゆんつとちょ・むめいさいししょ)さんの、クトゥグァちゃんとイタクァちゃんです!』
『シャンバラ最強の称号を持つ我に使えし僕もまたシャンパラ最強のペット。今度こそ優勝して、その力を天下に示そうぞ!』
『フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』さん、気合いが入っています。
 クトゥグァちゃんとイタクァちゃんは、二匹とも黒猫で、いつもはフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』さんの肩に乗っているそうです。
 よく似た二匹ですが、尻尾に赤いリボンをつけて、右肩に乗っているのがクトゥグァちゃんで、クールなようでいて意外と素直だそうです。
 そうすると、左肩に乗っている青いリボンをつけているのがイタクァちゃんですね。ちょっとおすまししています。飼い主のフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』さんのお話では、ツンデレだそうです。
 いつもは、だらりと肩で垂れているそうですが、やるときはやる使い魔だそうです。
 過去の成績は、第2回で3位に入賞しています。今回も期待できるのでしょうか?
 ちなみに、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』さんのパートナーである秋月葵さんのマカロンちゃんは、第1回に7位という成績を残しています。
 さあ、続いての登場は、エントリーナンバー3番。前回の覇者、エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)さんのフォルテシモ君です』
『ふっ、今回も、他のペットたちにフォルテシモの胸を貸してあげますわ。これも、王者の余裕ですわ』
『エリシア・ボックさん、大胆にもポーズを作ってワイングラスをかたむけながら、他の選手のペットたちを挑発します。さすがは、前回優勝者としての自信の表れでしょうか。ちなみに、第1回は36位ですので、大躍進と言えましょう。
 フォルテシモ君はゴーレムですので、ストイックな活躍を期待しましょう。
 さて、エントリーナンバー4番。ヴァルベリト・オブシディアン(う゛ぁるべりと・おびしでぃあん)君のはんぺんちゃんです』
『ようし、行ってこいよ、はんぺん』
『はんぺんちゃんはビーグル犬の子犬ですが、なんと、吉井 ゲルバッキー(よしい・げるばっきー)さんからいただいた子犬の一匹だそうです。
 初のペットレース参加ですが、果たして、どこまで頑張れるでしょうか。
 続いては、エントリーナンバー5番。ローグ・キャスト(ろーぐ・きゃすと)さんのミニキメラちゃんです。まだ名前がないそうなので、募集中だそうです』
『非常にタフで成体は凶暴だが、幼体のころから躾ければ番犬や猟犬以上に頼りになるペットだ』
『今回初挑戦となるミニキメラちゃんですが、他のペットちゃんを食べないでくれるといいのですが……。
 さあ、最後は、エントリーナンバー6番、アルディミアク・ミトゥナさんつきそいの小ババ様です。
 過去の成績は、第1回が28位、第2回が14位と、地味ながらも着実に順位を上げてきています。
 果たして、悲願の入賞はなりますでしょうか。
 今回、こじんまりとした大会ながらも、強豪が揃っています。
 さあ、間もなくスタートです!』
 
    ★    ★    ★
 
「クトゥグァ、イタクァ、頑張れー。黒子ちゃんは、何もしちゃダメだよ」
 またいじめてはいないかと、秋月葵が観客席から応援しながら、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』の様子をうかがいました。
「ふふふふふ……、分かっておろうな。今度こそ優勝し、最強の我に使えるお前たちもまた最強であることを我に示すのだぞ!」
 スタート前の猫たちを前にして、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』が念を押します。プレッシャーが、半端ないです。当然、二匹は猫特有のグルーミングを初めてフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』をスルーしています。
 
    ★    ★    ★
 
「よかったー、間にあったー。おにーちゃん、環菜おねーちゃん、こっちこっち」
 ヒーローショーに見とれていて、御神楽陽太と御神楽環菜との待ち合わせに遅れてしまったノーン・クリスタリアが、エリシア・ボックの姿を見つけて二人を手招きしました。
「ちょっと待って、そんなに走るとまたはぐれるよ!」
 出張カフェ・ディオニウスで買ったコーヒーと、怪しい屋台のたこ焼きをかかえた御神楽陽太が、ノーン・クリスタリアにむかって叫びました。やれやれと、隣を歩く御神楽環菜と顔を見合わせます。
「とりあえず、席を確保しよう」
 観客席の長椅子にハンカチを敷いて奥さんを座らせると、御神楽陽太はノーン・クリスタリアに買ってきた物を手渡しました。
「わーい。はふはふはふ……」
 ノーン・クリスタリアが、さっそくイングラハム・カニンガム焼き――じゃなかった――たこ焼きにぱくつきました