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第4章 新たな体制

 生徒会執行部の信任投票、投票日翌日。
 生徒会役員が集まる生徒会室に、藤崎 凛(ふじさき・りん)桜月 舞香(さくらづき・まいか)が呼ばれ、投票の結果と、今後の生徒会運営について話し合われた。
 開票は一般の生徒を交えて既に行われているが、結果はまだ生徒達に公開はされていない。
「まず、風見団長の支持率だけれど」
 結果は副団長のティリア・イリアーノの口から発表された。
 風見瑠奈への支持は、投票数の5割強。不支持は3割弱だった。残りは未記入だ。

 主な支持の理由は
・関わっている事件の規模が大きくなりすぎているため、組織を学校外に置いた方がいいと思う。
・百合園の力として白百合団が続けば、何かを選んで犠牲にして力で解決しようとする人が出てくるから
・白百合団を社会人組織に持っていった後、学生の白百合団にしかできないことは無いって、自分は判断した。
・今の白百合団は力を持っていてもそれを生かしきれていないし、それを取りまとめきれてもいないため、先日のような事件への対応でも(上と現場の連携が取れない等)少し困った状況になった。私も白百合団員なので複雑な気持ちもあるが、これを機に一度、(白百合団という器の形にこだわらず)全体の構成を見直してしまった方が良さそうに思う。

 不支持の理由は概ね、団存続を望むためというもので、その他には次のような理由があった。
・白百合団は生徒主体の自警団のようなものだから、自分たちで、運営、活動するという伝統と自立心が無くなってしまいそう。だからといって、過度の武装は無くてもいいのではと思います。

「なので、基本的には風見団長の方針で組織編制は行われることになるわ。
 続いて、お2人の支持率だけれど……」

 藤崎凛への支持は、投票数の約3割。
 桜月舞香への支持は、投票数の0.5割だった。

「支持理由は、団の存続を望むためというものがほとんどで、藤崎さんについては、こんな理由もあったわ」

・白百合団存続派として、支持をします。存続派の意見の中でも、伝統に重点を置くというところに共感しました。
・百合園の初心に戻ってくれそうな気がしたので。

 不支持の理由は、以下。
・他人への依存度が高く、感情に流されやすい。先の事件、飛び込む前に一報を入れるか、メモだけでも残せた筈。思い込みで突っ走るのは一人の時だけでも周囲に影響を及ぼす。それが団全体になったら?

「桜月班長の演説については、支持より不支持の票の方が多かったわ。代表的な理由は……」

・言いたい事は判るけど、組織の方針として公言するならとても従えない。それを公言するのは過度に政治的な行為だと思うしそれを抜きにしても危険な言動だと思う。生徒会がだすべき方針だと思う。

 ティリアが発表を終えた後、瑠奈が皆に語りだした。
「藤崎さんの案や、白百合団の存続を望んでいる多くの方は、現体制ではなく、これまでの白百合団を受け継ぐ、新たな生徒会(全校生徒)メンバーで築く新体制の白百合団の発足を望んでいるように思えたわ。
 桜月さんの、契約者も非契約者も協力し合って活動する生徒達の団というのも、現体制では無理よね」
 白百合団は契約者達で結成された団だ。現体制の生徒会執行部では、一般人には対処できない事柄を契約者が担っている。
 非契約者も、何かしらの力を持っている者に関しては、システィ・タルベルトのように志願により加わることも可能だが、基本的に契約者としての能力を持たない一般の女生徒は所属出来ない。
 勿論、一般の女性とも生徒会メンバーではあるため、志のある者は、校長や生徒会本部主催の活動、ボランティアには志願して加わっており、あえて契約者達の団である執行部に加わる理由はなかった。
「崩城さんが、『生徒会執行部、実行委員としての白百合団』という言い方をしていたけれど、生徒会が一つになった後、そんな風に生徒達が活動できるグループが続いたらいいなって私、思ったわ。契約者も、非契約者も、種族も関係なく、同じ百合園生として友達や学院を守るために、協力していけたらいいんじゃないかな……」
 資料を確認しながら、瑠奈は言葉を続ける。
「白百合団の名前については、生徒達の団として名前を残したいという意見が多かったけど、名前は捨てるべきだという意見もあったわ。
 正式名称として警備団の方で使わないように言っておくわね。ただ、元々白百合団というのは生徒会執行部の正式名称ではなく通称だから……今後は、警備団がそう呼ばれるんじゃないかなとは思ってる。
 白百合団という団を百合園の生徒会で結成したいという意見があるのなら、使ってもらって構わないし、正式名称とせずとも、生徒達のグループが自分達が白百合団だと主張すれば、周りはそう呼んでくれるんじゃないかな……」
「あと、警備団発足に伴い、決めなければいけないことがあるわ」
 再び、4月からも生徒として百合園に残る、ティリアが説明を始める、
 1つは、警備団に加わる生徒達のリーダー。百合園警備団生徒部隊長? それから警備団と生徒会を繋ぐ役割の、生徒会役員ね。今でいう、執行部長と副部長のような役割になると思う。生徒会選挙で決定されるまでは、私と副団長補佐のレキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)さんで、分担出来ればと思ってる。出来れば事務方はレキさんに任せたいけど、レキさんが無理なら、逆でもいいし、ちょっと大変だけど兼任してもいいわ」

 そして、2月半ば――。
 白百合団の信任投票の開票結果は、各校舎の掲示板で発表された。
 2024年。百合園女学院が大きく、変わろうとしていた。

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

ご参加ありがとうございました。

白百合団の今後については、説明不足な点などありまして申し訳ありませんでした。

3月のシナリオでは、お勧めの就職先(主に百合園生への)についてご案内できればと思います。
百合園の在校生PCにつきましては、生徒会等、生徒達の組織をひっぱっていってもらえたら嬉しいと思っています。

異世界の探索等を行ってくださった方も、ありがとうございました。
多くの人にとって、去年より良い形の終わりになったと思います。

貴重なアクション欄を割いての私信、ありがとうございます。
全部にお返事を書くことが出来ず、大変申し訳ありません。
励みになっております、本当にありがとうございます。

それではまた次のシナリオでも、皆様にお会い出来ましたら幸いです。