リアクション
【高円寺 柚(こうえんじ・ゆず)の一日】
朝早く、柚は朝食の準備に勤しむ。
誰がためか。それは当然、愛する夫高円寺 海(こうえんじ・かい)のためだ。
味見をして、朝の自信作が出来上がったところで海を起こしに行く。
寝ている海の体をゆさゆさと揺する柚。が、突如として海のベットに入っていった。
―それは高円寺家特有の起床法ですか?
我々がそう尋ねると、柚は慌ててベットから脱出する。
「す、すすすいません! たまにベットに引き込まれるから、つい今日も……!」
朝から甘甘、最早ぐうの音も出ない。
昼、海がやっているバスケの練習風景を柚は見ていた。
その顔は真剣そのもの、だが優しい笑顔も忘れはしない。
「はい、あーん」
「……ん、うまい」
「そうですか? えへへっ」
休憩時間になれば二人の時間がやってくる。
「おーおー今日もお熱いね、お二人さん!」
二人の幸せを祝福するかのように、他の生徒から声がかかる。
「あ、あははっ」
「……照れるか?」
「あっいえ。確かに照れますけど、それ以上に幸せですから」
「そうか。俺もだ」
そう言って笑いあう柚と海。
冷やかしには照れる二人だが、決して離れることはやめなかった。
帰宅後も一緒なのは変わらない。
テレビも一緒、お風呂も一緒、寝るのも一緒。
お風呂まで一緒というのにやはり驚きを隠せないが、それが若さというものなのだろう。
一緒尽くしのまま、二人は幸せそうに抱き合いながら眠りにつくのだった。
これが高円寺 柚の一日――