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夜更けのゴーストバスターズ

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夜更けのゴーストバスターズ

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1.正門前

 午前零時。
 満月の下、草原に立つ「蒼空学園・野原キャンパス」正門前には複数の影が蠢いていた。
 魔物ではない。
 ナナの呼び掛けに同情して集まった、いずれ劣らぬ兵(つわもの)どもの姿だ。
 彼らは目的別の場所に散らばり、主賓の到着を待ちわびながら話し込んでいる。

 その内訳は、粗末な木造平屋の校舎の手前から。
 各教室で幽霊に関する証拠物件を調査する担当者達のグループで、まずは【音楽室担当者】である以下の面々。

 闇咲 阿童(やみさき・あどう)
 アーク・トライガン(あーく・とらいがん)
 霧雨 透乃(きりさめ・とうの)
 緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)
 如月 空(きさらぎ・そら)
 シリウス・レインシーク(しりうす・れいんしーく)
 レティス・ヴィルギニス(れてぃす・う゛ぃるぎにす)
 霧島 春美(きりしま・はるみ)
 ディオネア・マスキプラ(でぃおねあ・ますきぷら)

 【図書室担当者】である以下の面々。

 神和 綺人(かんなぎ・あやと)
 クリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)
 ユーリ・ウィルトゥス(ゆーり・うぃるとぅす)
 アルカリリィ・クリムゾンスピカ(あるかりりぃ・くりむぞんすぴか)
 松永 亜夢(まつなが・あむ)
 宇佐木 みらび(うさぎ・みらび)
 セイ・グランドル(せい・ぐらんどる)
 宇佐木煌著 煌星の書(うさぎきらびちょ・きらぼしのしょ)

 【学食担当者】である以下の面々。

 松平 岩造(まつだいら・がんぞう)
 フェイト・シュタール(ふぇいと・しゅたーる)
 ミランダ・ウェイン(みらんだ・うぇいん)
 雪ノ下 悪食丸(ゆきのした・あくじきまる)
 橘 舞(たちばな・まい)
 ブリジット・パウエル(ぶりじっと・ぱうえる)
 仏滅 サンダー明彦(ぶつめつ・さんだーあきひこ)
 平 清景(たいらの・きよかげ)
 朝倉 千歳(あさくら・ちとせ)
 イルマ・レスト(いるま・れすと)

 そしてツッコミ……もとい、主に鹿島シイナの護衛兼制止役である【護衛隊】の面々。

 東條 カガチ(とうじょう・かがち)
 エル・ウィンド(える・うぃんど)
 ウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)
 リアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)
 スプリングロンド・ヨシュア(すぷりんぐろんど・よしゅあ)
 エミィーリア・シュトラウス(えみぃーりあ・しゅとらうす)
 橘 恭司(たちばな・きょうじ)
 椎名 真(しいな・まこと)
 閃崎 静麻(せんざき・しずま)
 レイナ・ライトフィード(れいな・らいとふぃーど)
 閃崎 魅音(せんざき・みおん)
 クリュティ・ハードロック(くりゅてぃ・はーどろっく)
 甲斐 英虎(かい・ひでとら)
 甲斐 ユキノ(かい・ゆきの)
 エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)
 ミュリエル・クロンティリス(みゅりえる・くろんてぃりす)
 デーゲンハルト・スペイデル(でーげんはると・すぺいでる)
 日比谷 皐月(ひびや・さつき)
 雨宮 七日(あめみや・なのか)
 サラ・アーネスト(さら・あーねすと)
 ヘルゲイト・ダストライフ(へるげいと・だすとらいふ)
 アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)
 神代 明日香(かみしろ・あすか)
 どりーむ・ほしの(どりーむ・ほしの)
 ふぇいと・たかまち(ふぇいと・たかまち)
 
 その中で、岩造は、ふと校舎に目を向けて眉をひそめた。
「何だ、あの校舎は! 扉が開けっぱなしではないかっ!」
 木造の粗末な平屋の入口は観音開きの扉だが、既にわずかながら開いている。
 蒼空学園とはいえ、田舎キャンパスのために警備はずさんなようだ。
 岩造は額に手を当てて、大きく息を吐いた。
「ここは【龍雷戦隊】隊長として、適宜応対しなければならないかもな。フェイト、ミランダ、取りあえず【護衛隊】の方へ加わるぞ!」

 正門脇の大木の影では、リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)中原 鞆絵(なかはら・ともえ)に何事か囁いていた。
「化粧……廊下で、護衛隊……」と聞こえる。
 鞆絵がたしなめる。
「全く、こんなことをして後でどうなっても知りませんよ?
 あんまりいたずらしてるといつか自分にかえってくる、忘れないでくださいね」

【のぞき部】の弥涼 総司(いすず・そうじ)椿 薫(つばき・かおる)と共にいた。
 薫は両手をポケットに突っ込んだままの体勢である。
「拙者は【護衛隊】について、適当に行くでござるよ。部長殿はやはり『あちら』でごるか?」
「ああ……」
 総司は短く答えたきり、闇の向こうを見据えた。
 標的・宿直室はどこにあるのか? 影も形も見えない。
「……だが、まずは【護衛隊】と合流して、図書室辺りまで行くとするか。怪しまれては元も子もない」

 その会話を通りすがりに聞いてしまった藍乃 澪(あいの・みお)は、クスリと笑う。
「じゃ、先生はフラフラしちゃおっかなぁ? 宿直の先生に見つかっちゃうと、面倒だしねぇ〜」
 彼女の目の前を。
「ふうーん、あたしと同じね。センセ」
 一瞬、「光学迷彩」と「隠れ身」で姿を隠した星宮 梓(ほしみや・あずさ)が駆け抜ける。
 その先に、「図書室」を見上げる白き少女――ディエーツ・トヴァ(でぃえーつ・とう゛ぁ)の姿。

 ……そうした一行の様子を、少し離れた位置から眺める冷ややかな目があった。
 ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)である。
 彼は先刻から聞き耳を立てて、彼らの会話をそれとなく盗聴していたのだ。
「……ということは、幽霊退治の強硬派はいないということですか」
 一同の会話を聞いて、ザカコはホッとして胸を抑えた。
「しかし油断大敵。校内を把握してから、『音楽室』でも行きましょうかね?」
 その言葉を最後に、彼の姿は闇に溶けてゆく……。

 ◆ ◆ ◆

 鹿島 シイナナナ・サイレントノームが一同の前に現れたのは、その直後のことだった。

 ◆ ◆ ◆

「え? こんなところで……て、何をしているんだ? お前ら」

 シイナの疑問に、ナナからのメールをエルが慌てて見せる。
「だってさ。ナナちゃんから、こんなものを受け取っちゃ、いても立ってもいられないだろ?」
 そこへナナが現れて、ぺこぺこと頭を下げた。
「ありがとうございます! ありがとうございます! 皆様、わざわざ遠い所をお越し頂いて……」
「ナナ!」
 シイナは避難の目を向けた。
「私はこんなことをしてくれ、と。ナナに頼んだ覚えは無いぞ?」
「え? で、ででも、わたし、心配で心配で……」
 ナナはオロオロとうろたえる。
 ああ、もう! とシイナは頭をかきむしった。
「いいさ。この暗い中、また連中を帰らせるのも面倒だろ?」
 シイナは不機嫌そうに一同を見まわして、「行くぞ!」と片手を挙げて体の向きを変えた。
 その手には、既にお手製の「シャンバラ制手榴弾」がしっかと握られている。

 一同が気を引き締め直したことは、言うまでもない……。

 ◆ ◆ ◆

 同刻――。
 校内では、白いものがぶつぶつと呟きながら一行を待ち構えていた。
「さてさて、ご苦労なことだねえ。どんな風に料理してやろうかな? ま、俺様にも『目的』があるんでね」
「俺様」――男性のようである。
 彼は一体何者なのであろうか?

 ◆ ◆ ◆

 一方で、「脅威」は闇の中を音もなく移動していた。
 桜井 雪華(さくらい・せつか)五月葉 終夏(さつきば・おりが)、そして【GHP】――赤羽 美央(あかばね・みお)椎堂 紗月(しどう・さつき)椎堂 アヤメ(しどう・あやめ)四方天 唯乃(しほうてん・ゆいの)エラノール・シュレイク(えらのーる・しゅれいく)鬼崎 朔(きざき・さく)ブラッドクロス・カリン(ぶらっどくろす・かりん)エリヌース・ティーシポネー(えりぬーす・てぃーしぽねー)スカサハ・オイフェウス(すかさは・おいふぇうす)の11名である。
 【GHP】9人のメンバーは、一糸乱れぬ動きで持ち場へと散らばってゆく。
 雪華は先回りして偽幽霊を演じるべく音楽室へと向かう。
 終夏は光術で遊びながら、図書室を目指す。

 ◆ ◆ ◆

 ……かくして、各自が様々な野望(?)を内に秘め、野原キャンパスの「幽霊捜索」の幕は上がったのであった。