校長室
トリック・オア・コントラクト!
リアクション公開中!
■□■3■□■ 西シャンバラ代王・理子 そのころ、 理子の周囲にて。 聖なる魔法使いの姿をした本郷 涼介(ほんごう・りょうすけ)は、 臣下の礼を取りながら、理子の言葉を待つ。 「そんな固くならなくていいよ……。 トリック・オア・トリート!」 涼介は、手品のように、手作りのスイートパンプキンを取り出した。 チョコでジャック・オ・ランタンの細工をしてある。 「ハロウィンですから、聖なる魔法使いとして、 理子様に美味しいお菓子を食べていただきたいのです」 涼介は微笑した。 「ありがとう」 理子も、笑顔になり、スイートパンプキンを頬張る。 ★☆★ 黒猫の仮装の神楽 授受(かぐら・じゅじゅ)は、 代王の生活をしている理子に息抜きしてほしいと思っていた。 「トリック・オア・トリート! やっほーリコ、元気してる?」 「うん、元気だよ」 「今自由に行動できないでしょ? 息抜きになると思って」 そう言い、授受は携帯ゲーム機を渡す。 さらに、授受は、こっそりと、理子にだけ聞こえるように話す。 「……あたしさ、親衛隊とかロイヤルガードに入るつもりはないの。 友達だから、友達として力になりたい。 リコが何になろうと、あたしは友達だよ。 今、大変だと思うけど……助けになるし、愚痴があったら聞くからね。 だからリコは、どーんと構えてなさい! ……あー何か言ってて照れるなっ!」 「どうもありがとう。あたしのこといっぱい考えてくれて。 でも、大丈夫! 皆がいてくれるから!」 理子は屈託のない笑みを浮かべる。 ★☆★ パーティーをのんびり楽しんでいた マクシベリス・ゴードレー(まくしべりす・ごーどれー)は、 理子の周りに人が集まっているので、あいさつにやってきた。 「なんだか、変な騒動も起こってるみたいだが、 気にしないでパーティーを楽しもう」 マクシベリスのパートナーのフラメル・セルフォニア(ふらめる・せるふぉにあ)は、 同じヴァルキリーであるジークリンデのことを心配しているので、 理子に会ったら、話をしたいと思っていた。 「我も、何かできることがあれば、協力したいと思っておる。 その際には、呼んでくれ」 「うん。 ジークリンデのことも気にかけてくれて、ありがとうね!」 理子はフラメルに言う。 ★☆★ 源 鉄心(みなもと・てっしん)は、 護衛として理子の周囲にいたが、折を見て話しかける。 「教導団のぴちぴちの新入生、源鉄心ですー」 「……ぴちぴち?」 鉄心は、30歳なので、学生というよりは教員に見えなくもない。 「まあ、それはそれとして。 皆さんも心配されていますが、 ご公務の様子や、代王になってからの事等…… 大事なお仕事も多いでしょう。お疲れではないですか?」 鉄心のパートナーのティー・ティー(てぃー・てぃー)も言う。 「……もし、お困りの事で。 私がお役に立てる時が来るなら……頼ってくれるとうれしいです」 気づかわれて、理子は笑顔で言う。 「平気、平気! 皆がいるから。 1人で帝国にいるジークリンデに比べれば!」 そして、集まった者達を見回していう。 「こんなに、親切にしてもらって、あたしは幸せ者だよ。 代王の仕事もがんばるから!」