リアクション
終章 「決戦」
〜森・ブリガンテ付近〜
「ブリガンテ……なかなかにやってくれるじゃないかッ! がふッ!」
ベスティアは痛みに耐えながら、前方を見る。
すでに戦闘ブリッジは度重なる損傷でボロボロであり、モニターや計器類も8そのほとんどが機能を停止している。
数刻前にヘカトンケイルはブリガンテの強力な一撃を受け、森に不時着。
翼は破壊され、機体の各所からは黒煙が上がっていた。
ブリガンテの背中から大きな木の根が伸び、二連磁軌砲を模した形を取る。
チャージが開始され、その砲身はヘカトンケイルへと向けられた。
「ははッ……そんな芸当ができるなんてなぁ」
発射される直前、何者かの攻撃よって、ブリガンテの構える砲台が切断された。
唯斗とカルノス達が到着したのである。
「唯斗、奴の弱点についての情報がヘカトンケイルの方から回ってきおったぞ」
「弱点……あるなら今までなぜ、そこを狙わなかったんだ」
「狙わなかったのではない、狙ったが打ち破ることができなかったのだ」
彼女の話によると、弱点部分を打ち抜こうと、あらゆる手を試したが、ダメだったらしい。
全員が悩んでいると、カルノスが何かを思いついたようだった。
「なぁ、強力な攻撃をさ、連続で……しかもここにいる全員で打ち込んだらいいんじゃないか?」
「そんな簡単には……」
「いや、待て……奴の再生能力は既に無い……となれば試してみる価値はあるぞッ!」
唯斗の言葉にその場の全員が同意する。
迷いなど、抱いている者は誰一人いなかった。
ブリガンテに向かってカルキが接近する。
「しっかり捕まってなさいよッ! 振り落とされても助けられないからね!」
「ああ、ちゃんとしがみついてるよ!」
ルカとカルノスは高速で飛ぶカルキの背中にしっかりとしがみつき、攻撃の瞬間に備えた。
カルキは咆哮すると、ドラゴンブレス改をブリガンテの胸に向かって放った。
ドラゴンブレス改の炎の周りを回転するように、彩羽の乗ったスクリーチャー・オウルがブリガンテに向かって飛ぶ。
「こんなこと、一回限りだからねッ!!」
「大丈夫でござる、この炎には数分なら耐えられるでござるからッ!」
「す、数分……?」
「数分でござるッ!」
スベシアの言葉を気になるが、今はブリガンテを倒すことが優先。
彩羽はファイナルイコンソードの準備に入った。
「ファイナルイコンソード展開……展開完了ッ!」
「いっけええええッ!! ファイナルイコンソーーードッ!!」
ドラゴンブレス改の中に突入し、ファイナルイコンソードをブリガンテの胸に突き立てる。
ブリガンテの胸に大きな亀裂が走る。限界を迎えたカルキとスクリーチャー・オウルがその場を離脱する。
間髪入れずに、地上からピュラとモニカのパワードスーツ部隊が対神像ロケットランチャーを連射。
「エネルギー……充填率、40%までしか上がりませんッ!」
「それで構わんッ! 二連磁軌砲、発射用意ッ!!」
この機を逃すわけにはいかないと、ベスヴィアは発射指示を出す。
「てーーーーーッ!!」
ヘカトンケイルに唯一残った兵装、二連磁軌砲から砲弾が発射された……すでに片側しかないのでただの磁軌砲であったが。
発射された砲弾はブリガンテの胸部を吹き飛ばし、コアとなっている緑色のクリスタルを露出させた。
「あとは俺に任せろッ!」
魂剛がイコンホースに跨り、マントをたなびかせながら、ブリガンテへと疾走する。
「唯斗よッ……今こそわらわ達の力を見せるときぞッ!!」
「おうッッ!!」
「吼えろッ魂剛ッ! 鬼神のごとくッッ!!」
鬼刀を抜き、構える魂剛。その姿はまるで黒い鬼神のように見えた。
「奥義ッ!! ファイナルイコンソードッ! 神速抜刀ッッ!!」
剣閃で竜巻を巻き起こし、それを纏って魂剛は跳んだ。
コア・クリスタルに向かって一閃。
魂剛の着地と共に、コア・クリスタルは砕け散った。
「則ち、絶断の理なりッ!!!」
ブリガンテは眩い輝きと共に、光となって消え去る。
森はその光を浴び、いつもの平穏な姿を取り戻していった。
カルノスはカルキの背中の上で、誰にともなく呟く。
「これで……終わったんだよな……みんなで……守ったよ、アリア」
契約者達はその後、村に戻った村人達と共に村の復興作業を行った。
村人たちは感謝をこめて、ささやかな宴を開き、契約者達をもてなした。
そこは、彼らが命を賭して守り通した暖かな笑顔に溢れていた。
お初にお目に掛かります。ウケッキと申します。
まだまだ始めたての、よちよち歩きマスターである、
私のシナリオに参加して頂きましてありがとうございます。
時間の都合上、書くことができなかったかった所や、なくなくカットした場面など、
思い返せば後悔の連続ですが、全てを次のシナリオに生かしたいと思いますので、
これからも応援よろしくお願いいたしますッ!!