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グリフォンパピーを救え!

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グリフォンパピーを救え!

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 ドラゴニュートのサイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)は、敗北と撤退を知らない。単に勇猛であるだけではない。彼は、恐れそのものを知らないのではないか、というものもいる。
 彼の放射する爆発的なまでの火術と岩を砂に変えるほどの怪力が敵機の侵入をこばみつづける。
「洞窟が近いです。敵は、戦術を変えるはずであります」
 アサルトカービンで応戦しながら、サイモンのパートナー、比島 真紀(ひしま・まき)が叫ぶように言う。
「どういうことだ」
クルード・フォルスマイヤー(くるーど・ふぉるすまいやー)は、そう訊きながら、光条兵器をブーメランのように飛ばし、信じがたい正確さで向かってくる敵機の機銃を切断する。
「はっ! もはや、パピーの洞窟搬入は不可避です。となれば、敵機は洞窟上部の岩壁を特攻目標にすると思われるであります」
「それは…それは、岩盤を崩落させ、パピーごと生徒の多くを生き埋めにしようということですか」
 クルードのパートナー、ユニ・ウェスペルタティア(ゆに・うぇすぺるたてぃあ)は、堪えようと思っても噴き出しそうなほどの怒りを必死に抑えながら、そう訊ねる。
「ありえないことではないのう」
 ドラゴンアーツの怪力でロープを引きながら、長尾 坊ノ丸(ながお・ぼうのまる)は、眉をひそめる。
「空を見てみい。もう夕焼けじゃ。これじゃあ、機銃の照準もあてにはならん。岩盤にどーん、か。あるいは、これが」
 当初からのやつらの戦術だったのかもしれんのう。
「洞窟は、教導団駐屯地の施設であります。これを破壊するということは、教導団そのものへの宣戦布告であります」
「宣戦布告? それは敵が名乗れば、の話じゃ。わしらは姿なき敵と交戦中なのじゃぞ。今のところはな」
 坊ノ丸の指摘に、真紀は口をつぐむ。
「岩盤への突撃、そんなことやらせません」
 必死にロープを引く皇甫 伽羅(こうほ・きゃら)が執念を込めて呟く。
「もうパピーにも、仲間にも一発の銃弾も当てさせません。みんなのちからを合わせましょう。有機的な組織のちからは、個のちからを超えるはず、まして」
 いのちの権利を放棄した特攻機のパイロットなんかに、負けるわけにはいかないじゃないですか!
「大丈夫でござろう」
 伽羅のパートナー、うんちょう タン(うんちょう・たん)がアサルトカービンで周囲を警戒しながら、言う。
「ご覧あれ。はじめバラバラだったみんなの意識が、次第にひとつに統一されはじめておる」
 それがし、その真ん中に、このグリフォンの子供がいると思うております。
 その声に、全員が無言で頷く。