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【十二の星の華】剣の花嫁・抹殺計画!(第2回/全3回)

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【十二の星の華】剣の花嫁・抹殺計画!(第2回/全3回)

リアクション

「ノーム先生〜」
 峰谷 恵(みねたに・けい)は大声で教諭の名を呼びながら、橘 恭司(たちばな・きょうじ)フィアナ・アルバート(ふぃあな・あるばーと)と共に研究室に飛び込んできた。恭司が抱えていた本の中から、フィアナは一冊の本を手に取ると、あるページを開いて見せた。
「ここ、ここです」
 恭司は、ヴァジュアラ湾らしき湾の絵の、更に下の文章を指差した。
「文献によると、かつてヴァジュアラ湾は、息絶えた巨海蛇の毒に侵されて、生物が死滅する危機に陥った事があったそうなのですが、」
「聖なる盾がその毒を浄化した、そしてその盾は「向かい合う岩と岩」と共に再びの眠りについた。とあるんです」
「向かい合う岩と岩…… 、青刀の双岩の事だねぇ」
「こっちにもあったぜ」
 ディアス・アルジェント(でぃあす・あるじぇんと)晃月 蒼(あきつき・あお)カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)は、それぞれに見つけた本のページを開いて見せた。
「おとぎ話の本ですけど、同じような事が書いてありました」
ヴァジュアラ湾の地経歴を調べても、同じような時期に「青刀の双岩」の形状が変化している事が分かったわ。封印されていたものが再封印されたのか、それともこの時初めて封印されたのかは分からなかったけど」
「しかし、これだけ時期が一致するなら、これは」
 教諭は開かれているページの全ての箇所を見つめ見ていたが、その目が次第に開いていった。
青刀の双岩に封印されていたのは「青龍鱗」だ。そしてその盾が湾を死滅させるほどの毒を浄化したのだとしたら……」
青龍鱗には、毒を浄化する力があるという事ですか?」
「毒弾を撃てる彼女が女王器を狙ったのは、「青龍鱗」を恐れたからって事?」
「だとしたら、水晶化の現象も、解除できるかもしれませんね」
 恭司の言葉に、一同が息を呑んだ。
 あくまで可能性である、今はまだ可能性の段階であるが、しかし。
「女王器を、「青龍鱗」を渡してはならない!!」


 「毒苺のなる巨樹の下」に辿り着いた時、ちょうど夜が明け始めたところであった。
 巨樹の前には仮面を着けたパッフェルが立ち、その周りに数名の生徒たちが立ち並んでいた。
 樹月 刀真(きづき・とうま)ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)の前に、エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)エル・ウィンド(える・うぃんど)が立った。
「人質交換を公平に行うため、俺たちが立ち合わせてもらう」
「女王器は、お持ちですね」
「えぇ」
 歩みだそうとした時、刀真は漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)が自分のブラックコートを握りしめているのに気付いた。
「刀真、私も一緒に」
「月夜、君は……………… 。一緒でも構いませんか?」
「あぁ、構わないぜ。というより1人だと不利かもな」
 エルが指差した先に、アリシアの姿があった。祈りを捧げる姿のまま、全身が水晶化したアリシアす姿が広場の端にあった。
「アリシアさんっ!」
「女王器を見せてください」
 刀真は影野 陽太(かげの・ようた)青龍鱗を見せた。ヴァジュアラ湾での一件の時に現物を見たという陽太は、「青龍鱗」のチェックを任されていた。
「大丈夫、本物です」
「それではこちらに」
 広場には大きな四角形が描かれており、刀真と月夜はパッフェルと対角の点に立たされた。「青龍鱗」はエヴァルトとエルの手によってアリシアと対角の点上に置かれた。パッフェルの一行とロザリンド、そしてテレサ・エーメンス(てれさ・えーめんす)は四角形から離れるように指示された。
「それではこれより、女王器「青龍鱗」と人質アリシア・ルードの交換を行います。両者、一歩ずつ、同時にお進み下さい」
 刀真と月夜が一歩を歩む。同時にパッフェルも歩みを始めた。
 一歩、また一歩と進んでゆく。その度に緊張感が増してゆくようだった。
「ねぇ刀真。彼女、ランチャーを持っていないわ」
「この場に武器を持っていないのは不自然ですね…… ランチャーはすぐに取り出す事ができる光条兵器という事でしょうか」
 一歩、また一歩。そして遂に両者が互いに目的地に辿り着いた。
 刀真と月夜がアリシアに触れ、パッフェルが女王器を持ち上げた時、ズィーベン・ズューデン(ずぃーべん・ずゅーでん)光術が連続でパッフェルに襲い掛かった。
 光術に加えて月夜がバニッシュを放った事で、眩い光りが辺りに膨らみ溢れていった。
 そんな一帯の上空から、光学迷彩で姿を隠していたナナ・ノルデン(なな・のるでん)空飛ぶ箒から飛び降りた。
 重力落下で加速したナナは体ごとパッフェル目掛けて体当たりをした。
 体当たりをした。確かにそう、パッフェルの脳天に拳が当たったはずだったのだが。
 パッフェルに触れ進むと共に、ナナの拳はパッフェルの体をすり抜けていった。ナナはそのまま拳から地面に落下衝突した。
「ナナっ!!」
 ズィーベンがナナに駆け寄ろうとした時、光りが晴れた広場には、3人のパッフェルが立っていた。
「えっ、えっ、どういう事?」
「どれだって構わないわ!」
 テレサが高周波ブレードでパッフェルの姿に斬りかかると、ナナの拳と同じようにすり抜けてしまった。
メモリープロジェクターですわっ!」
 言いながらロザリンドが斬りかかったパッフェルは高周波ブレードの一撃を避けたが、刀真が放った乱撃ソニックブレードの全てを避けきる事は出来なかった。数ある内の一撃が、パッフェルが着けていた仮面を破壊した。
 仮面の下の表情は、パッフェルにあらず。李 なたの苦笑いがそこにはあった。
「やべっ」
「……っ!!!」
「どういう事だ!!」


「パッフェル!!」
「なっ! 奴がパッフェル」
 緋山 政敏(ひやま・まさとし)が言い終えるより先に赤い光が2本、連続で放たれた。
「リーン!!」
「アクっ!!」
 リーン・リリィーシア(りーん・りりぃーしあ)葉月 アクア(はづき・あくあ)赤い光に撃ち抜かれ、
「待てっ!」
 神代 正義(かみしろ・まさよし)の言葉が届く間もなく大神 愛(おおかみ・あい)冬蔦 千百合(ふゆつた・ちゆり)赤い光に撃ち抜かれてしまった。4人は全身を水晶化されていた。
「ぐっっっっぅぅぅぅう!!!」
 ショウはバーストダッシュでパッフェルの目の前に飛び出すと、ライトブレード轟雷閃を放った。
 しかしパッフェルの早撃ちが勝っていた。パッフェルの波動弾がショウの体を撃ち飛ばし、そして爆炎波での追撃を狙った神代 正義(かみしろ・まさよし)、そしてダークネスウィップを構えていたミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)も波動弾を受けて吹き飛ばされてしまった。
 消耗していたとは言え、一瞬にして戦局は終局へと変えられた。その強さに姫宮 和希(ひめみや・かずき)は瞳に憧れを描いた、政敏の目は既に怒りを抑えようともしていなかった。
「なぜだ… 女王器が欲しいんなら… なぜここに居る… なぜ水晶化した!! 答えろ!!!」
「全身だと、過程が見れないから…… 面白くない」
「何だと」
「でも、こんな楽しみ方が出来る」
 パッフェルは徐に眼帯に手を伸ばした。


「どういう事だ!!」
 刀真よりも大きな声で叫んだのはエヴァルトとエルであった。スカサハ・オイフェウス(すかさは・おいふぇうす)イビー・ニューロ(いびー・にゅーろ)メモリープロジェクターを使う事は知っていた、しかし、この場に居るパッフェルが影武者だという事は知らされていなかった。これでは、公平な取引など成立すらしていなかったという事を意味している。
「彼女はどこに…… 女王器は……」
「さぁ、仕切りなおしだぜ!」
 トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)蘭堂 一媛(らんどう・いちひめ)がエヴァルトとエルに綾刀セスタスを向け構えていた。視界の隅でヴェルチェ・クライウォルフ(う゛ぇるちぇ・くらいうぉるふ)が毒苺を刀真に投げつけているのが見えた。
「争いを好まないあんたたちも、俺たちに向かってくるのかぃ?」
 視線だけを動かして見れば、人質交換の成功を願って集ったメンバーは皆、パッフェルの一行と向き合い、武器を持って構えていた。


 
 眼帯を外したパッフェルの瞳は、赤く紅く輝いていた。
 パッフェルの頬が笑みあがると共に、赤き光も輝きを増していった。
 そして同時に。
 全身を水晶化された花嫁たちが、瞳を赤く輝かせて一斉に立ち上がった。

担当マスターより

▼担当マスター

古戝 正規

▼マスターコメント

 ご挨拶が遅くなりました。あけましておめでとうございます。ゲームマスターの古戝正規です。 
 全3回の2回目になりましたが、いかがだったでしょうか。

 今回は特に個性的なアクションがとても多かったです。
 もちろん、その全てを採用する事はできませんが、
 MC(LC)には目一杯に動いてもらいました。
 楽しんでいただけたなら幸いです。


 今回【水晶化(phase-4)】の称号を付与しました「剣の花嫁」たちは、水晶化が解かれるまでは
 動く事ができません。ですので次回ご参加の際には、水晶化が解かれた後のMCとの会話や行動を
 アクションにしていただきければと思います。
 また、【水晶化】の称号は私のシナリオでのみ有効です。他マスターのシナリオにおいては、
 水晶化されていないものとして扱いますので、ご了承下さい。


 次回が「剣の花嫁・抹殺計画!」の最終話になります。 
 シナリオガイドは近日公開予定です。
 再びにお会いできる時を楽しみにしております。