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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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第4章 施設内部を混乱させよ

「このリヴァイアサン・・・もし神話通りの力の持っているとしたら、是非とも我が組織の力にしたいものだ・・・!」
「大首領様の指令でリヴァイアサンの力を手に入れにやってきたが、まずは中に入らないとな」
 小型 大首領様(こがた・だいしゅりょうさま)の命令により、情報を電波越しに伝えられた景山 悪徒(かげやま・あくと)は施設の門の前へやってきた。
 太陽が昇り始めた早朝に、イルミンの森でボートを作って島へ向い、中へ入れてもらえるようにゴースト兵と交渉をしている。
「俺はパラミタを気ままに旅する冒険家なのだが・・・海を航海してる途中で漂流してしまい、こんなところまで来てしまった」
 それらしい言葉を投げるが、兵は眉を動かさず不審者として睨みつけた。
「すまないが・・・しばらくここで働かせてくれないか?腕っ節なら自信があるぞ」
 ここで怪しい者と判断されたら終わりだと思い、言葉に間を空けず交渉し続ける。
「それでは、ここの責任者と交渉がしたいのだが・・・。うぁっ、何をする!」
 いきなり身体を拘束され、布で目隠しをされてしまう。
「は・・・離してくれ!俺は怪しい者じゃ・・・うぐっ」
 必死に暴れて抵抗するが喉元に冷たい刃を突きつけられて生命の危機を感じとった悪徒は黙った。
 悪徒は乱暴に腕を捕まれて施設の中へ入れられる。
「(中に入れたのか?とりあえずこのまま抵抗しないでおこう・・・)」
 当初の目的の1つ、施設内に侵入することが成功した彼は大人しく兵に誘導されることにした。
 兵たちが足を止めてドアをノックすると、女の怒鳴り声が聞こえてきた。
「うるせぇな、下っ端ども。何の用だ!」
「漂流してきただとか、ここで働かせてくれだとか言う怪しい人物を捕らえてきました」
「働きたい?いい度胸じゃないか。だったらあたしたち十天君が、死ぬまでこきつかってやるからありがたく思いなっ」
 十天君は下僕扱いしようと偉そうに命令をする。
「ありがとうございます!」
 交渉を成立させた悪徒は大喜びした。
「お前の名前は?」
「景山悪徒と申します!」
「じゃあ景山、トイレの電球を替えて来い。それが終わったら1階の掃除と兵たちの服を洗濯しろ」
「了解いたしましたっ」
 兵に電球を交換する場所に連れて行かれ、ようやく目隠しの布を外された。
「交換完了っと・・・。次は掃除か・・・」
 悪徒は兵の目を盗みリヴァイアサンがいる位置を探ろうと会議室へ侵入する。
「だいぶ埃があるようだな。(えーと・・・どこにいるんだとうかっと・・・)」
 ファイルの中を覗くが、どこにいるかまったく書かれていなかった。
「おい新入りの景山!いつまで掃除をしているんだ」
「は、はい今やっています!」
 見張りをしている兵に怒鳴られ、手早く終わらせる。
「掃除終わりました・・・」
「だったらこれを洗っておけ」
 大量の服を投げ渡され、あまりの量に視界を塞がれてしまう。
「これも大首領様ため、辛抱しないとな」
 洗濯をして干し終わった頃には、悪徒の体力が限界に達していた。
「施設までの移動手段にボートが欲しい?イカダでも作ればよかろう」
 孤島へ行く手段にボートが欲しいと大首領様に頼んだが、自分で作るはめになってしまい、その疲労が重なり疲れ果てていた。
「おい景山、十天君のお2人から新たな命令だ」
「まだあるんでしょうか・・・」
 一度に多くの仕事を頼まれ、まだ何か頼むのか遠慮がちな声音で言う。
「食堂の食器を洗っておけ。逆らえばお前を実験生物としてばらすそうだ」
「ひぃいっ!わっ分かりました!!」
 任務を遂行する前に殉職してしまいそうな危機感を察知した悪徒は急いで皿洗いを始めた。



 ミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)は空飛ぶ箒を海と同じ色のように塗り、波を立てないように低空飛行で島に上陸する。
「陽動作戦をやってくれる生徒たちが沢山いたおかげで楽にはいれたが問題はここからだよな」
 施設内に設置されている砲撃用の銃を探し歩く。
「見張りの兵がいるな・・・。対空用の砲撃銃は外壁に設置されているが、どこかで操作している装置があるはずだが」
 光学迷彩の能力で身を隠し、見つからないように慎重に進む。
「(どうしても足音は消せないから、相手が歩いた瞬間に合わせて歩くか)」
 いつ動くか注意深く同行を見る。
「(くそっ、早く動くかどっかいけよ!)」
 なかなかその場から動こうとしない兵に苛立つ。
「おっ、離れたな。この隙に!」
 彼女の近くから離れて外へ向かっていく後姿を見届け、すぐさま奥へ進んだ。
「何だこのボタンは?下の方に何か書いてあるな」
 目を凝らしてボタンの下にあるプレートを読んだ。
「外の銃をこれでいくつか操作しているのか?だったらこうしてやるっ」
 壊してやろうとめちゃくちゃボタンを押しまくる。
 動作不良を起こし外壁に設置されているいくつかの銃がぶっ壊れた。
「何だ、銃がいきなり壊れたぞ!操作ボタンの不調か!?」
 銃が壊れたことで施設内の兵たちが騒ぎ始める。
 壊れた原因を探ろうとやってくる兵から逃げようと必死に走る。
「げっ、こっちにくる。向こうからも!?」
 慌ててミューレリアは光学迷彩で姿を隠す。
 修理用の工具を持ってきた兵があっとゆう間にボタンを直してしまう。
「(ちっ、直されちまったか)」
 彼女は手早く修繕を終えて離れていく姿を見届けた。
「今度は簡単に直せないように壊してやろう!」
 高周波ブレードで斬りつけた。
「やるなら徹底的にな」
 破壊工作でぶっ壊そうとする。
「おい・・・そこで何をやっている?」
 背後から声が聞こえ、恐る恐る振り返ると戻ってきた兵がいた。
「姿を隠しているかもしれないからな、直したらまた壊しにくるだろうと戻ってきたんだ」
 光学迷彩で姿をいくら隠しても、工作しているところまでは隠せないようだ。
「ここまでか・・・。だが、このボタンを修理するのは相当時間かかるぜ。あっははは!」
 あっとゆう間に兵に囲まれ捕らわれてしまったが、破壊に成功したミューレリアは満足そうに高笑いをする。



「なんとか潜入出来ましたが、兵の数が多いですね」
 作戦に役立つ情報を得ようと御凪 真人(みなぎ・まこと)が会議室へ向かう。
「無理に進むのはキツそうです・・・」
 どう突破しようかと思考を巡らせる。
「何とか少しでも得なければいけませんし・・・無茶かもしれませんが一か八か・・・」
 自分自身に害がないように酸濃度ゼロの霧、アシッドミストを発生させて兵の群れを駆け抜ける。
「うあっ、何だこの霧は!」
 白い霧に視界を阻まれてしまったゴースト兵は、慌てて動揺の声を上げた。
「ここが会議室ですか?」
 室内を覗き込むと机が並び、奥には巨大スクリーンがある。
「何か資料があるといいんですけど。何でしょうこれ・・・」
 床に落ちている1枚の紙を拾い上げた。
「魔力の実験について何か書いてありますね」
 記憶に入れようと目を凝らして文字を読む。
「微生物・・・いえ違いますね、これはウィルスでしょうか」
 そこには制作しようとしているウィルスについて書かれていた。
「裏面に生物兵器について書かれているようです。どちらも作ろうとしているみたいですが、それには大量の魔力が必要みたいですね」
 捕らえた水竜の魔力を何に使おうとしているのか、じっくり読んでいく。
「そこにいるのは誰だ!」
「見つかってしまいましたか・・・」
 手にしている紙を兵に奪われ、破り捨てられてしまう。
 捕まった真人はロープと鎖でガチガチに簀巻きにされ、鎖のつなぎめを溶接された。
「(え・・・ここまで縛られるんですか!?)」
 逃れる手段がなくなり、心の中で驚愕の声を上げる。



「やっぱりすぐに来ましたか」
 遙遠の傍らにいる紫桜 遥遠(しざくら・ようえん)は、彼が無理をしないか心配そうな顔をする。
「大丈夫ですよ」
 彼女が見つめる視線の意味を察した遥遠が言う。
「さぁやりますよ、サンダーブラスト!」
 侵入者を殺そうとやってきた兵たちに向かって雷の球体を放つ。
 仲間たちは廊下を駆け、2階へ向かっていく。
「何ですかこの霧っ」
 突然発生した白い霧に遥遠は思わず袖で口を塞いだ、
「なっ・・・これは闇世界の時のゴーストたち・・・ですか?」
 廃病棟に現れたヒューマノイド・ドールに遭遇し、遥遠が驚愕の声を上げた。
「遙遠と遥遠が引きつけましょう、その間に先へ進んでください」
 敵の引きつけ役をしようと遙遠は仲間を先に進ませた。
「霧を吸い込まないように気をつけてください」
「濃硫酸みたいですね・・・」
 遥遠は心臓の裂け目からしゅうしゅうと発生する霧を睨みつける。
「炎で防ぎますか」
 ルーンの剣から爆炎波を放つ。
「やはり再生するようですね・・・」
 ゴーストを仲間の方へ生かせないように引きつけようと遙遠たちが誘導する。
「ここを利用しましょうか」
 会議室の前にたどりつき、火術をつかって室内の机や椅子を燃やす。
「くあ゛っ!」
 天井に張りつき潜んでいたゴーストの触手が遙遠の背後から巻きつく。
「たぁああっ!!」
 遥遠が妖しく黒光りする刃を振り下ろし、彼を拘束する触手を斬り離した。
 斬り離された触手が床に落ち、びちびちと蠢いている。
「仕返しは倍返しさせていだきます」
 ヘキサハンマーで遥遠がゴーストの頭部を力いっぱい殴りつけ、燃え盛る会議室内へ叩き込む。
「兵たちが来ましたよ」
 けたたましく鳴り響く火災のサイレンを聞きつけてやってきた兵を遥遠が指差す。
「SPが切れるギリギリまでなんとか耐えましょう」
 向かってくるゴースト兵に向かって氷術を放ち凍りづけにする。
「ドールの方は無限再生するから厄介ですが、兵は再生しないようですね・・・」
 紅蓮の炎に焼かれながら襲いかかるゴーストを睨み、耐久戦に挑みかかった。



「ここが食堂かな?」
 兵がいないか佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)はドアを開けて食堂を覗き込む。
 そこに誰もいないことを確認して入り、周囲を見回すと長いガラステーブルが並んでいた。
「キッチンは・・・あっちみたいだね」
 一般の飲食店並にそろったキッチンを見て確認する。
「調理している人がいるね」
 コンロの火でカエルをあぶっている兵の姿を見つけた。
「何だお前は」
「えーっと、美味しいカエル料理を作ってあげようと思って・・・。どうせ食べるなら美味しく食べたほうがいいんじゃないかな」
 訝しげに見つめる兵に対して、納得させるそれらしい言葉を言う。
「十天君のお2人からそんなの必要ないと言われているが」
「そ・・・そうなの?(うーん、どうしよう)」
 怪しむ兵に信用させようと考える。
「あっ、兵の方々もカエルの丸焼きになったて、その方々から聞いたんだけど」
 嘘の言葉に動揺した兵が目を丸くする。
「だからどうせ食べるなら美味しいほうがいいよね?」
「―・・・それも・・・そうだな」
「エプロンとかはないのかな?(この服装だと侵入者だとばれてしまうから、着替えておかないとね)」
「ないな・・・」
「衛生面を考えて一応着替えようかな・・・てね」
「ふむ、そうか」
 侵入者とばれないように着替えようと、兵から軍服のような迷彩服を受け取り着替えた。
「食事が1日にカエル1匹・・・しかもただの丸焼きなんて酷すぎるよ!」
 弥十郎は包丁を握り、調理人しての魂をゴォオオオッと熱く燃やす。
「(で・・・何でカエル料理・・・・・・)」
 半強制的に無理やり連れて来られた仁科 響(にしな・ひびき)は首を傾げて眉を潜める。
 心中で疑問に思いながらも着た。
「工夫したのを食べさせてあげたいね」
 生きている牛カエルの腹を包丁で裂き内臓を取り出しミンチにした。
 微塵切りにしたネギと山椒、カエルと調味料を混ぜてつくねにする。
 銀の鍋の中に沸騰した塩水へつくねを入れた。
 茹で上がったつくねスープを器に注ぐ。
 半分残しておいたミンチにしたカエルをつくねハンバーグをフライパンで焼く。
「こんな感じかな。ちょっと味見してみてくれない」
 出来上がったスープとハンバーグを渡し試食してもらう。
「あまりものだけどどう?」
 料理ででたあまりものを利用して作った料理を兵に振舞う。
「なかなかいけるな・・・」
 2人が作った料理を兵は美味しそうに食べた。



「この辺りなら見つからないかもな」
 孤島の森の中にレイディス・アルフェイン(れいでぃす・あるふぇいん)は小型飛行艇を隠すと、生徒たちが侵入している施設へ向かった。
「さて、どの門が入りやすいか・・・」
 東西南北どれが確実に侵入できるか光学迷彩で姿を隠し、遠くから確認して選ぶ。
「北門が一番入りやすいみたいだな」
 マイクを手にシルヴィットが歌い、兵たちに酒を振舞っているウィルネストの姿を見つける。
 気づかれないよう慎重に進み入り込んだ。
「ここは食堂か・・・」
 壁にかけられているプレートの文字を見た後、そっとドアを開けて中を覗く。
「―・・・誰もいないようだな・・・」
 料理を作り終えた弥十郎と響は牢獄へ運んでいる途中でそこに姿はなく兵の姿もない。
「とりあえずどこか隠れる場所を探さすか」
 隠れる場所を探し辺りを見回す。
「食料を保管している棚か」
 棚の戸を横にスライドさせ、中を覗くと水の入ったボトルが大量に詰められている。
「よし、ここに隠れよう」
 邪魔なボトルをそこから出し、キッチンに放置されている茶色の袋を掴み、棚の中に入れていく。
「これなら余計な消耗もしないしな」
 外の騒動が収まるまでの間、袋で姿を隠そうと戸を閉めた。