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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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第5章 台を動かして通路を確保せよ

「地下は明かりがついていないのか?」
 エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)は兵に見つからないように地下1階へ向かう階段を降りる。
「あわわっ、道がないよ!」
 視界の悪い真っ暗なためクマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)が危うく水の中に落ちそうになってしまう。
「待っててくれ。今、明かりをつけるよ」
 マグライトのスイッチを入れたエースがクマラの足元を照らす。
「うぁあ、流されたら終わりだね・・・」
 水路を流れる激流を見下ろし、クマラは顔を青ざめさせた。
「あの台を動かせば通れそうだけど」
 沈んでいる台を指差した。
「それならまずは水を止めないといけませんね」
 メシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)は水を止めようと装置を探す。
「止まってください、兵がいます・・・」
 進もうとするメシエの腕を掴み、見つかったら危険とエオリア・リュケイオン(えおりあ・りゅけいおん)が止める。
「離れかな?急いで止めよう」
 流れる水を止めるためエオリアとメシエがポンプのスイッチを押して止めた。
「ハシゴがあるな」
 台を動かそうとエースたちは錆びたハシゴを降りていく。
「うーん、ちょっと重いな・・・」
「じゃあ3人で動かしてみましょう」
 エースとメシエ、エオリアの3人で台を動かす。
「こっちにも台があるよ」
 マッピングしながらクマラが教える。
「んーっ、よし・・・こっちと向こう側はつながったな。後はあの台か・・・」
 途切れた道の通路を確保するためにエースたちは5つの台を動かす。
 ハシゴからクマラがいる床へ戻る。
「水流しますね」
 メシエはポンプを操作して水路に水を流した。



「レイちゃん、リックちゃん一緒に頑張ろうね!怖いけど、ボク、2人がいるから平気だよ!」
 ラキシス・ファナティック(らきしす・ふぁなてぃっく)は2人の顔を見てニコッと笑う。
「そうだね頑張ろう」
 微笑みかける少女を見下ろしリヒャルト・ラムゼー(りひゃると・らむぜー)が笑い返す。
「あ、通れるようになったみたいね」
 北門から潜入した遠野 歌菜(とおの・かな)が先に道を通る。
「―・・・あれ、向こうから誰かくるわ。ゴースト兵かしら・・・」
 眉を潜めて近づいてくる足音を警戒する。
「グベッゲッ・・・グビャ・・・」
 喉の奥から無理やり発声させたような不気味な声を出しながら、ヒューマノイド・ドールが歌菜に近づく。
「こいつ・・・廃校舎と廃病棟にいたやつね。あれがいるってことは、やっぱり十天君が絡んでいるかもしれないわ」
 一緒に行動を共にしている譲葉 大和(ゆずりは・やまと)に伝える。
「皆、気をつけてください。こっちにゴーストがいます!」
 歌菜は大声で他の生徒たちにゴーストの存在を教える。
「禁猟区にはまったく反応はないようだが・・・」
 ブラッドレイ・チェンバース(ぶらっどれい・ちぇんばーす)は禁猟区に反応しないゴーストを訝しそうに見た。
「絶対に許せない・・・」
 鋭い目つきで相手を睨み、歌菜はハルバードを握り締める。
「―・・・何だ・・・どうして今頃になって反応が」
 向かっていこうとする歌菜の姿を見つけたドールが殺意を表したとたん、ブラッドレイの禁猟区が突然反応する。
「そうか、ゴーストの敵意が陣内の誰にも向いていなかったからか」
 反応がなかったのは相手がまったく彼らに敵意を抱いていなかったからだった。
「この私が葬ってやる!」
 歌菜は怒りに満ちた爆炎波の蓮撃をくらわす。
「―・・・はぁ・・・・・・。あぐっ!?」
 痛覚のないゴーストは背から伸ばした触手を伸ばし、彼女の首に巻きつきギリギリと絞めつける。
「歌菜お姉ちゃん!」
 ブラッドレイと左手をつないでいるラキシスがたまらず声を上げてしまう。
「早くその触手を斬るのじゃ!」
 九ノ尾 忍(ここのび・しのぶ)も必死に叫ぶ。
「まだ何かいるよ・・・」
 暗闇に潜み恐ろしい殺意をディテクトエビルで感じ取ったラキシスは辺りをキョロキョロと見回す。
「この世に俺がいる限り、歌菜には指一本触れさせません!」
 大和はラキシスの言葉を聞かず、大切な彼女を守ろうと全力で駆ける。
「くぁああっ・・・」
 天井を這うキラーパペットに頭部を掴まれてしまい必死に足掻く。
「冷気で凍てつきなさい!」
 ゴーストの片腕に試作型星槍を突き刺し氷漬けにする。
 槍で拘束されている腕を砕き、歌菜の首を絞めつける触手を切り裂く。
「大丈夫ですか、歌菜・・・」
 床に倒れそうになる彼女の身体を抱きかかえた。
「ぇえ・・・」
 歌菜は彼の肩を借りてなんとか立ち上がる。
「げほっ・・・大丈夫・・・・・・よ。ごほ・・・げぁっ」
 硫酸を吸ってしまった歌菜の口から真っ赤な血が流れ出る。
「これくらい平気よ・・・」
 心配そうな顔をする大和に笑いかけた。
「ひぅっ」
 ゴーストは怯えた小さな声音を聞き、標的をラキシスに変える。
「効いていないはずはないんだが・・・」
 光精の指輪とバニッシュ使いブラッドレイは生物兵器から少女たちを守ろうとするが、シュウシュウと皮膚が蕩けながらも襲いかかる。
「凄まじい再生力ですね」
 捕らえようとする触手をリヒャルトがヒロイックアサルトの斬撃で防ぐ。
 床に落ちた触手がゴーストの背をズルズルと這いながらくっつき再生する。
「よくも俺の大切な歌菜をー!」
 彼女を傷きつかれた怒りのあまり、大和はゴーストに向かって氷術を放つ。
 ラキシスと忍の氷術も加わり氷の中に閉じ込めた。
「氷が溶けちゃう前に行こう・・・」
 憎々しげに亡者を睨む大和にラキシスが恐る恐る声をかける。
「そうですね・・・」
 歌菜を抱えたまま大和は、先に道を進んでいる生徒たちの後を追った。