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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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第2章 兵を撹乱して門を突破せよ!

「上陸できても施設に侵入できなければ意味がないですぅ。門の傍からゴースト兵を引き離しましょう!」
 小型飛空艇に乗りメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)は生徒たちが侵入しやすいように援護しようと海面ギリギリを飛ぶ。
「間違って生徒たちにガソリンをかけないように気をつけないとね」
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)が釘を刺すように言う。
「それくらい気をつけますよぉ」
 頬を膨らませてむっとした顔をする。
「何にしても、かなりの人数がいるようだから注意しないといけませんわね」
 優しくメイベルに微笑みかけるとフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)は孤島の方へ向き直り、高周波ブレードの柄に手をかけた。
「前の方に誰かいますわ」
 敵に見つからないように空飛ぶ箒に乗って向かっている愛沢 ミサ(あいざわ・みさ)何れ 水海(いずれ・みずうみ)の姿を見つけた。
「施設に侵入する側の生徒さんですかぁー?」
 大きな声でメイベルが呼びかける。
「そうだよー!」
 メイベルの声に気づいたミサは彼女の方へ寄る。
「生徒さんたちが侵入できるように、私たちは陽動側に回りましたぁ」
「それなら安心だね」
「たどりつけても中に入れるか不安だったからありがたい」
 彼女たちの協力を得て門の向こうへ行けることが分かり、水海はほっと安堵した。
「・・・十天君・・・、オメガさんに何を求めるのだろうか?」
 その後に続くように神和 綺人(かんなぎ・あやと)クリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)も、小型飛空挺で海面ギリギリを飛行し孤島へ近づく。
「そろそろ作戦開始でしょうか?」
 ボートに乗って上陸していたクレア・シュルツ(くれあ・しゅるつ)は双眼鏡を覗き込み、メイベルたちの姿を発見する。
 大勢のゴースト兵の中へこっそり紛れ込み、四方八方へ雷術を放つ。
「うぁああっ。だ、誰だ!今、術を使ったやつは!」
 兵は訝しげな目で互いを見合う。
「外側から襲撃するのもいいんですけど、こうやって内部からやるとより撹乱しやすいんですよ」
 クレアはくすっと笑い、術をうちまくる。
「くそ、どこの誰がこんなことをっ」
 緊急事態に慌てた兵は島の侵入者を探そうと右往左往していた。
「これだけの人数がいると、さすがに1人を探し出すのは困難のようですね」
 今度は見つかりづらいように足元を狙う。
「うぁっ。火術を使ってオレのブーツを燃やしたのはお前か!?」
「違う、オレじゃない!」
 群れに紛れているクレアにブーツを燃やされた兵が、別の兵を疑い掴みかかる。
「フフッ、私を見つけられず混乱し始めましたか。襲撃に巻き込まれないうちに離れましょう」
 守りを固めていた兵を見て、クレアはその場を離れた。
「門の鍵は他の生徒がなんとかしてくれるでしょうし」
 SPを使い果たしたクレアは巻き込まれないように、施設から離れた岩場の陰に身を潜める。
「ここなら見つかりそうにないですよね」
 疲れたような息を1つ吐き、しばらく休むことにした。



 ルイ・フリード(るい・ふりーど)は敵兵に気づかれないようにブラックコートを羽織、パートナーのリア・リム(りあ・りむ)と共に島へ上陸する。
「オメガさんのため、皆のために今回ばかりは容赦しませんよ!」
 水竜を捕らえてオメガを孤独に陥れようとする輩に、怒りをぶつけるように声を潜めて言う。
「南門に侵入者が現れたのだ!急がないと要塞内に入り込まれてしまうっ」
 兵たちの中に紛れたリアは声のトーンを低くし、情報攪乱による嘘情報を流す。
「情報攪乱・・・幻影に踊らされろ」
 メモリープロジェクターで実際に南門へ陽動しようとしている生徒たちが大勢いるように見せかける。
「皆のためここは戦い抜くのだ!」
 2つの六連ミサイルポッドを撃ちやすいように地面にセットした。
「遠慮なく撃ちなさい、発射!」
 ルイは嘘情報を信じて門を守りに走る彼らに向けて、リアにミサイルを撃つように指示する。
「ターゲットマルチロック、砲撃開始」
 指示の声を同時に言い、兵に向けて発射させていく。
 斜め30度の角度に飛んでいき、弧を描くようにターゲットを吹っ飛ばす。
「何だ、どこからかミサイルが飛んできたぞ!」
 辺りに土煙が巻き起こり、なんとかで無事だった兵が飛んできた方角を必死で探している。
「敵襲かっ」
「あっ・・・あそこだ!!」
 飛んできたミサイルの方向を見ると、ミサイルポットで狙い撃とうとしているリアの姿を見つけた。
「見つかってしまったか。しかし、まだ残りがある限り撃ち続けてやるのだ」
 ギィィイイーン、ズドドドォオオッ。
 ありったけのミサイルを放つ。
「なんとか28人は倒したようですね・・・」
 ルイが粉々に砕け散った亡者の身体を数える。
「み・・・南門に・・・・・・襲撃者が・・・」
 脳を一部破壊されながらも、1人の兵が応援をよこすように無線で連絡した。
「応援を呼ぼうとも、こっちにはミサイルがあります!」
「ダディ・・・・・・もう切れた」
「まずいですね、ひとまず逃げましょうっ」
「ポットが重いのだよ・・・」
 施設から離れるため走り出すと、連絡を受けて駆けつけた兵がやってきた。
「もう来てしまいましたか・・・」
「ダ・・・ダディ、囲まれた!」
「捕まえろぉおおーっ!」
 数十人の兵に取り囲まれたルイとリアは、あっとゆう間にロープで簀巻きにされ、さらに鉄の鎖でグルグル巻きにされてしまう。
「こ、このっ離しなさい!」
「うぁあダディーッ」
「ははは・・・これでお前らは捕まって牢獄行きだ・・・」
 仲間の兵に無線で連絡した彼は勝ち誇ったようにそれだけ言うと、それっきり何も喋らなくなり動かなくなった。
「(一矢を報いてナラカに行ったのでしょうか)」
 ルイはただの動かない屍となり果てた兵を見つめ心の中で呟いた。



「なんとか侵入の手伝いをしたいですね」
 外に警報装置がないかアリア・ブランシュ(ありあ・ぶらんしゅ)は施設を走りながら探す。
「特にないようです・・・。あれは兵でしょうか?」
 木々の陰に身を潜めて様子を窺う。
「無線機で連絡を取っているようですね。あれを奪って利用しましょう!」
 周囲にいる兵が3人くらいだと確認し、彼らの死角から氷術を放ち氷漬けにした。
「えーっと、あー・・・あー・・・こちら西門担当」
「どうした!侵入でもされたか!?」
「(どうやら無線機は無事のようですね)」
 スイッチを入れて声を出し、応答が返ってくるか確認する。
「大変ですっ、侵入されそうです。あぁあっ、きゃぁあー!」
 混乱させるための情報を流してぷつんとスイッチを切った。
「えーこちら南門、数十人もの武装したやつらが来ました。あぁ、もうもちません!ぁああーっ」
 隠れながら混乱させる嘘情報を流す。
「フフフッ、凄い慌てようですね」
 どこを守ればいいか混乱している兵たちの姿をオペラグラスを覗き込み遠くから見る。
「この調子でもっと慌てさせましょう」
 右往左往する兵の姿を確認し、あちこちの門の守りがヤバイと情報流しを続けた。
「守りが乱れ始めましたね、いっきに突っ込みましょう」
 小型飛空艇に乗り低空飛行で飛びながら赤羽 美央(あかばね・みお)は高周波ブレードの切っ先を兵の群れに向ける。
 突進し兵の身体を串刺しにする。
「邪魔な銃砲をなんとかしませんとね」
 施設の周りを飛び、機能を停止させてやろうと探す。
「あったヨ、美央!すぱっと片付けちゃっテ」
 地上からジョセフ・テイラー(じょせふ・ていらー)が手を振って銃の位置を教える。
 使い魔のフクロウに手伝わせ探し出した。
「東門から80m先にあるネ」
「これですかっ」
 美央は外壁の銃に何度も刃で斬りつけ破壊する。
 斬りつけた銃口が土の上に落下し、空気を振動させて轟音が轟く。
「次はどの辺です?」
「そこからちょっと先にあるみたいだネ」
「何の音だ!?」
 音に気づいたゴースト兵たちが何事かと駆けつけた。
「おい、向こうに誰かいるぞ!」
 大声を出し美央を指差す。
 ズダダダダァアッ。
 機関銃のトリガー引き、撃ち落とそうとする。
「この銃弾の数相手ではキツイですね。いったん離れましょう」
 飛空艇の速度を上げ、その場を離れようとするが、フクロウを抱えて逃げ遅れたジョセフが兵に捕まり拘束されてしまう。
「た、助けてヨ・・・美央ーー!!」
「ジョセフ!ひゃぁああっ」
 美央は彼を助けようと再び接近し飛空挺の方向をかえようとするものの無数の銃弾に狙われ、もはや近づくことは出来なかった。
「ごめんなさいジョセフ・・・後で助けに行きますから」
 悔しがりながら美央は施設から離れていった。



「暴れてくれたおかげで門の傍にたどりつけたわ」
 施設の門を開錠しようと隙を窺っていたリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)がゴースト兵に気づかれないように、混乱に乗じてそっと西の門へ近づく。
「あれ、開かないわね・・・」
「何をやっているんですかお姉様!」
 なかなか門を開けられないリカインのとこへ天夜見 ルナミネス(あまよみ・るなみねす)が駆け寄りひそひそ声で話す。
「だって鍵が開かないのよ」
「まったくもう、仕方ありませんね」
 代わりにこじあけようとルナミネスはピッキング用の道具を取り出す。
「ほら開きましたよ」
「おーっさすが!」
 彼女は小さく感嘆の声を上げる。
「そこで何をしている!」
 開けた瞬間に運悪くゴースト兵に見つかってしまった。
「ルナミネスくん、いったん逃げ・・・。あれ・・・いない!?」
 彼女の方へ振り返ると、すでに隠れ身で姿を隠していた。
「怪しいやつめ、こっちへこい!」
「えっ。やだ、ちょっと待ってよ。助けてぇええ!」
 捕まえたリカインは牢獄へ連れて行こうと、兵たちは西門を開く。
「おい、扉が開いているぞ?」
「まさか侵入者か?うわっ、こいつ!」
 身体を拘束しいている兵に向かって火術を放ち抗する。
「そう簡単に捕まってたまるもんですか!」
「こいつめ、お嬢様を離しなさいっ」
 ヴィゼント・ショートホーン(びぜんと・しょーとほーん)は兵に向かって小石をぶつける。
「何しやがるんだこの野郎ーっ」
「痛覚がないようですね、それならこれはどうですか!」
 掴みかかる兵に鏡を向けて光を当てた。
「あれ・・・全然効いていないようですね」
 眩しがっているだけで、光による浄化作用はまったくなかった。
 騒動に紛れてミサと水海が施設内に入り込む。
「侵入者だー!追えぇえー!!」
「(そうはさせませんっ)」
 通路に岩巨人の腕を置き、爆炎波を放ちトラッパーで時限爆弾化させようとする。
「えっ・・・どうして爆炎波の炎が出ないんでしょう」
 本来は武器から放つ技の爆炎波は、鉄甲すら持っていない彼女には放てなかった。
「ここにきてどうして武器を持ってこなかったの!」
 外で術を使いすぎてSPがきれそうになっているリカインが怒鳴り散らす。
「どっから沸いてでてくるように次から次へとくるわね。まったくもうこれじゃあ倒せても、こっちが先にSP消耗しちゃうわ。て・・・あぁっ、ヴィゼントくんが連れて行かれる!仕方がないわ・・・どこかへ隠れるわよ」
 リカインとルナミネスはひとまず1階の食堂で身を隠すことにした。



「地下に直接侵入するには、あの網が邪魔ですね」
 浅葱 翡翠(あさぎ・ひすい)は電気網に穴を開けようと、共に生徒たちと作戦を立てた。
「これも乗せましょうか」
 火薬として空京の店にあった売れ残りの花火も乗せようと、ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)が囮の船に置いた。
 生徒たちはガソリンやスプレー缶、引火させやすいようにリンをたっぷり含ませた布など手当たり次第に乗せる。
 網がある付近まで到達した頃を見計らい、カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が火術を放つ。
 ズガァアーーンッ。
 轟音と共に爆煙が空へ昇っていく。
 異変に気づいた施設内にいる兵がその周囲を警戒して銃撃し、船の上に伏せている翡翠の頭を弾丸が掠めた。
 数分後、銃声が鳴り止むと彼は注意深く顔を上げる。
「もう・・・大丈夫でしょうか・・・・・・」
「今のところはそうね。ワタシが見てくるわ」
 ピンクのイルカに姿を変えたアリシア・クリケット(ありしあ・くりけっと)が穴を開けた場所を確認しようと海に飛び込む。
 獣人特有の超感覚、アクティブソナーで周囲を警戒する。
「あらら、さっきの爆発に巻き込まれてお魚が死んでいるわ。ごめんね・・・」
 網の近くまでいくと、ぷかーっとガソリンによる汚染や、船が爆発してショック死している魚の群れがあった。
「ちょっと感電しそうだけど通れそうね」
 確認をして翡翠に通れそうと伝える。
「その穴を通って島へ潜入しましょう」
 ドボォンッと海に飛び込みアリシアの背につかまった。
「ルカルカたちも行こう!」
 続けてルカルカ・ルー(るかるか・るー)も飛び込んだ。
「(こう波があると800mの距離でも大変ね・・・)」
 穴の開いた網を潜り抜け、口の中に溜め込んだ酸素を出さないように我慢する。
「(さっきの騒動で相当警戒しているようだから、海面に顔出したら狙い撃ちされるよな)」
 夏侯 淵(かこう・えん)は顔を顰めて堪えた。
「ぷはぁーっ。あぁ苦しかった・・・」
 島にたどりつき海面から顔を出したルカルカは、めいいっぱい空気を吸い込んだ。
「息継ぎ出来ない長距離の潜水はきついな」
 陸に上がったラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)が上着を脱いでぎゅうっと水気をしぼって着直す。
「陽動してくれいる生徒たちがいるだろうから、手薄な門を狙って入ろう」
 ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)の提案に生徒たちはこくりと頷く。
「泥のついた足跡をたどられると厄介だから急ぐわよ!」
「待て、見張りの兵がいるぞ」
 ここで堂々と向かって行くと仲間を呼ばれ追い回されてしまい、余計な体力を消耗してしまうマネをすると今までの苦労が水の泡となると思い、ダリルは岩場の陰に隠れて離れるのをじっと待つ。
 門番が離れず門の向こうへ侵入できないダリルたちの姿を見つけ、小型飛空艇に乗ったメイベルが引火し易いガソリンをたっぷり入れたボートをローブで機体に巻きつけ、片手で北側の門へ向かうように示す。
「北側で侵入口を作ってくれるようだな」
 メイベルたちが飛んでいく北側の門へ急いで移動する。
「切り離すよ!」
 ボートと機体をつないでいるロープをセシリアが狙い撃つ。
「フフッ派手に燃えちゃってください」
 ライターの火をつけ、ぽんっとボートの中へ投げ込む。
 守りを固めていたゴースト兵へ落下し、鼓膜を破りそうな爆音が轟き青空に黒煙が昇る。
「ちくしょう、小娘がぁっ」
 重症を逃れたゴースト兵が機関銃の銃口を向け、セシリアを撃ち落そうとする。
「あわわっ、危なっ」
 回転しながら急上昇し急所をかした。
「いっ、た・・・」
 避けきれず数発ほど左足を掠め、じわりと血が足首へ流れる。
「このぉおお、よくもやったねー!」
 睨み殺すような目つきをしてトミーガンのトリガーを引き、傷を負わせられたターゲットの頭部を狙う。
 頭蓋骨が割れそこからシュァアアッと鮮血が真っ赤な噴水のように出る。
「受けた傷は倍返ししないとね。もう聞こえないだろうけど」
 セシリアはクスッと笑い地上を見下ろす。
「あら倍返しそんなものでいいんですの?」
 高周波ブレードの刃に轟雷閃の雷の気を纏わせ、首を斬りとしていく。
 生首がドンッと鈍い音を立てて落ち、青々とした草の上へ転がる。
「今だ、中へ突っ込むぜ!」
 屍の上を踏みラルクが先に北門から施設へ侵入した。
「気配を隠しながら進もうと思ったが、やっぱすぐに見つかちまったか」
 中に突撃した彼の周囲をすぐさま兵が取り囲む。
「ちっ・・・流石に多すぎるか・・・だったらこいつで相手をしてやる!」
 則天去私の光の鉄拳に加え、灼熱の闘気の籠もった打撃をくらわす。
「5分経ったわ」
 ラルクが兵と戦っている隙にそっと侵入し、ルカルカたちは地下へ向かう。
「(御免ね。ありがとう)」
 片手を振って礼を言うとラルクは振り向かずに、遠慮なく先に行ってくれと仕草を返した。
「誰か侵入したぞ!」
 ピッキングで門を開けられてしまったことに気づいた兵がやってくる。
「おい、早く閉めておけっ」
 空けられた扉は兵たちの手によって再び閉ざされた。
「おのれぇ侵入者め、排除してやる!」
「簡単に倒されるほどへぼい修行はしていないんでなっ」
 ラルクは軽身功の身軽な体術で壁を駆け上がり、延髄蹴りをくらわして動けないようにターゲットの首の骨をゴキンッと折る。
「んなっ!?」
 兵に止めを刺そうとすると、天井からゴースト兵器、キラーパペットに首を掴まれた。
「離しやがれぇえっ」
 ゴーストの腕を殴りつけ、拘束から逃れる。
「まだ来やがるか・・・」
 侵入者である彼を殺そうと天井を這いながらゴーストが迫る。
「こりゃまずいぜ」
 拘束どころか深手を負ってしまうと危機感を抱き、廊下を走りその場から離れた。