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【2020ひなまつり】雅なお祭りのひととき

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【2020ひなまつり】雅なお祭りのひととき

リアクション



●エリザベートを救ったのは……新たな魔法少女!?

「ヒャッハァ〜! どけどけ、嗚妃那様のお通りだぜぇ〜!」
 無事に? 部屋を抜け出した南 鮪(みなみ・まぐろ)が、雛壇の牛車にエリザベートを乗せ、自ら牛の角を付けたスパイクバイクを駆って逃走を図る。
「これで二人だけで雄堕威利様と嗚妃那様だぜ! 動きづらいって言ってたしな、俺が直に帯を引っ張って解いてやるぜ。伝統の『良いではないか』だぜ、ヒャッハァ〜!」
 鮪の脳内では既に、くるくると回されて床に崩れ落ちるエリザベートの、はだけた着物から未成熟な身体が露になっている光景が展開されていた。その妄想が現実になってしまうのか、今回ばかりはそう思われた矢先――。
 
「おぬし、なかなかいい趣味をしておるな。
 是非ともその耽美な世界に、わしも混ぜてくれんかのう?」

 
「うおっ!?」
 声が『自分の背中から』聞こえてきたことに、鮪がブレーキをかけてバイクを停止させる。
「なんじゃ急に、もしかして青空の下でいたすつもりか? よいぞ、わしはそれも好みじゃ」
「な、何だおまえはぁ!? いつからいやがった!」
 振り払おうとした腕を避け、牛車の上に飛び乗ったのは、ちょうど豊美ちゃんと同じくらいの背丈、裾を大分短くし、豪奢な柄を散りばめた着物を纏った、どこか妖艶な雰囲気を漂わせる少女。
「このわしに名乗らせるとは、無礼にも程がある……まあよい。こうしておぬしらの前に姿を見せるのは初めて故、今回だけは名乗ってやろう」
 言った少女の手に、剣と思しきモノが浮かび上がる。刃の部分は魔力を凝縮して出来ているものらしく、紅々としたオーラを放っていた。

「わしは【天下布魔法少女】、安土 信長(やづち・しのつかさ)
 わしこそ天下を支配する魔法少女ぞ!」


「あぁん? なぁにが天下を支配だ、オッサンみてぇなこと抜かしてんじゃねぇ! そこをどきな!」
 バイクの上に乗った鮪が、火炎放射器を構える。
「汚物は消毒だぜぇ〜!」
 発射される業火を、飛んで避ける信長。追うように見上げた鮪は、一つの事実に気付く。



 こいつ……
  ぱんつはいてない……!!




 そして、背後に気配を感じた鮪は衝撃と共に意識を失い、次に目覚めた時にはそれまでの記憶を完全に失っていた――。

「ぬう……」
「どうした、場に合わん顔しおって」
 盛り上がりを続けていた宴も落ち着きを見せ始めた頃、唸りをあげた織田 信長(おだ・のぶなが)土器土器 はにわ茸(どきどき・はにわたけ)が声をかける。
「誰かがわしを呼んでおるような気がしてな。このわしを呼びつけるとは不届き者、万死に値するわ」
「どうせ鮪が情けなく悲鳴でもあげとんのやろ。ちゃっちゃと片付けて回収にいくでぇ」
 はにわ茸が雛壇の片付けを始め、気にしつつも信長が後に続く。

「アーデルハイトさん、ルミーナさん、今日という良き日の思い出に、皆で写真撮影というのはいかがでしょう?」
 ルイ・フリード(るい・ふりーど)が、どこか艶々とした表情のルミーナ、対照的にやつれた様子のアーデルハイトに、両校揃っての記念撮影を提案する。
「良い試みですわね。わたくしの方から環菜に掛け合ってみましょう。生徒への連絡はお任せください」
 宴の間中ずっとデロデロとしていたのが嘘のように、テキパキとルミーナが指示を下していく。
「アーデルハイトさん、大丈夫か?」
 リア・リム(りあ・りむ)に声をかけられたアーデルハイトが、深い溜息をつく。
「ルミーナ……恐るべき者よ……。すまぬ、準備が出来るまで休ませておくれ。ミーミルに声をかければ協力してくれるじゃろ」
「はい、呼びましたか?」
 ふわりと羽を舞わせて、ミーミルが降り立つ。こちらはこちらで変わらず元気である。
「……はい、分かりました。ではお母さんに……あれ? お母さん、どこですか?」
 エリザベートに話をつけようとして、ミーミルはようやく、エリザベートがこの場にいないことに気付く。だがその直後、部屋の入口からエリザベートが中に入ってくる。
「お母さん! どこに行っていたんですか?」
「気付いたら外にいたですぅ。おかしいですねぇ、外に出たつもりはなかったんですけどぉ」
「そ、そんな……ごめんなさいお母さん、私が付いていながら……」
「まあまあ、そう気に病むでない、ミーミルよ。見たところ何も無いようじゃし、無事に戻ってきたのじゃ、今のところはよしとしようぞ」
「そうですぅ。ちびが謝る必要はないですぅ」
「……はい、お母さん」
 エリザベートに頭を撫でられ、ミーミルの顔に笑顔が戻る。
「そうですお母さん、皆さんで写真を撮るって話なんです」
「分かったですぅ。……あなたたちぃ、さっさと準備するですぅ!」
 ミーミルから説明を受けて、エリザベートも生徒へ指示を飛ばしていく。そして、据えられた雛壇を背景に、この場に集まった者たちが一同に介する。
「も、モップス、もっと詰めてよ」
「リンネ、お腹を押すななんだな。出ちゃうんだな」
 リンネの背中がモップスのお腹を圧迫し、表情は変わらないながらも声色に必死に逆流を抑え込む様子が伺える。
「あらあら、こんなにいらっしゃってたのね。道理でいつもより忙しかったのですね」
「って、ミリアちゃん一人で料理番してたのっ!? す、凄い……」
「……それよりも、ミリアの周りの人たちの努力が涙を誘うんだな」
 うふふと微笑むミリアの周囲は、「ミリアさんをおしくらまんじゅうに巻き込むな!」と一致団結した生徒たちが必死の形相で空きスペースを作っていた。
「えへへー、姉さまとネラちゃんと一緒です♪」
「……そういえば、こうして三人並んで写るのは初めてだな」
「そやなー。ほらほら、ねーさんもちびねーさんもくっついてくっついてー」
 ネラに推されるようにして、ミーミルがヴィオラの腕を取ってぴったりとくっつき、ヴィオラが照れつつも身を寄せ合う。
「わー、凄いですねー。……あれ? ウマヤド? ウマヤドー?」
 豊美ちゃんが呼んでも、馬宿の返事はない。どうやら集団に取り込まれたようである。
「では一枚目、いきますよ……皆さん、スマイル!!
 カメラを設置したルイが、ぎゅうぎゅう詰めの集団にも劣らない暑苦しい笑顔を向けて、シャッターを切る。
「では二枚目、いきますよ――」
 ルイが再びシャッターを切ろうとした瞬間――。

「今こそ最臭兵器だー!」

 『魔性の一品』に酒も加わって、完全に『ぶっ飛んだ』閃崎 静麻(せんざき・しずま)が、聞くところによると『くさや』の六倍以上臭いと言われる『シュールストレミング』の缶を、パートナーの助けも借りて三缶同時に開封する――。



 その瞬間、部屋は悪臭に包まれ――
  生徒は嗅覚を失った――

 ――NOSE DEAD――




「まったく、酷い目に遭ったわ……済みません豊美さん、私の生徒がご迷惑をおかけしました」
「大丈夫ですよー。私も少しはしゃぎ過ぎちゃいましたし、いい目覚ましになったと思えば」
 イルミンスールの校長室で、頭を下げた環菜に豊美ちゃんが言葉をかける。

 あの後、強烈な臭いを浴びて大勢の生徒が卒倒し、リンネはモップスのリバースをもろに食らい、ミリアは平然とその場を後にし、エリザベートとアーデルハイト、ミーミル、環菜とルミーナ、豊美ちゃんと脱出してきた馬宿の全力攻撃という名の『お仕置き』を食らった静麻は10回ほど戦闘不能に陥ったとか。

「ま、楽しかったのでよしとするですぅ。……ちび、写真の方はどうなりましたかぁ?」
「おまえ、結局そう呼ぶことにしたのか。おかしな話じゃがの」
「私がいいんですから、いいんです♪ はいお母さん、これです」
 言ってミーミルが、ルイから託された写真をエリザベートに渡す。一枚目はごく普通に、二枚目は世界の終焉を捉えたかのようなインパクトで撮影されていた。
「カンナも受け取るがいいですぅ」
「何でそんなに偉そうなのよ……」
 文句を言いながら、環菜がエリザベートから写真を受け取り、一瞥する。
「環菜、写真立てに入れて飾ってみてはいかがですか?」
「どうしてそんな恥ずかしいことしなくちゃいけないのよ。これはデリートだわ」
 呟いて環菜が、写真を無造作に胸ポケットに突っ込む。

 ……後日、平穏を取り戻した蒼空学園校長室、環菜の座る机の一角には、シンプルな写真立てに入れられた雛祭りの写真が飾られていた――。

担当マスターより

▼担当マスター

猫宮烈

▼マスターコメント

 タイトルの『雅』はどこいったと探している猫宮・烈です。
 ……スターって効果時間何秒でしたっけ(何の話だ

 というわけで、雛祭りの一日をお届けいたしました。
 色々とはっちゃけさせちゃってごめんなさい。
 お楽しみいただけたなら幸いです。
 
 『ひなま釣り』のところでは、RAND関数による判定を行いました。
 それなりにオイシイ? 結果を生んでくれたように思います。

 さて、お正月、節分、雛祭りと続いたシリーズは一旦終了。
 次回からは、思わせぶりな登場をしてくれた、新しい魔法少女を軸に話が進んでいく……かも?
 どうぞお楽しみに。

 以下、お知らせしておきます。

 魔法少女な称号(名乗り)は、出来る限り『魔法少女』という単語(魔法と少女が分かれても構いません。『魔砲』でも構いません)を入れていただけるとありがたいです。強制はしませんが、せっかくの魔法少女な称号ですから、ついてた方がそれっぽいじゃないですか。
 ……え? 他に流用しにくい? た、確かに。
 なので、はい、強制はしません。

 これに関連して、魔法少女な称号を希望の方は、希望をアクション内に明記していただくか、あるいは『おまかせ』とアクションに明記していただけるとありがたいです。
 こちらで勝手につけちゃってもいい場合がほとんどなんでしょうけど、確認はしておきたいので。


 今後の予定としましては、

 ・『イルミンスール鳥獣研究所』内『希少種動物保護区』グランドオープンシナリオ

 ・『イナテミス』を精霊たちが訪れる『精霊と人間が集う街〜その後のイナテミス〜』

 ・ヴィオラとネラを加えて、かつての『黄昏の瞳』のアジト探索

 ・謎の魔法少女『安土 信長』を軸に展開される魔法少女なシナリオ

 ……このどれかをやります!(なんて曖昧な
 ごめんなさい、猫宮さんがリアルで引越しだの忙しくなるので、少々時間をください。
 
 余裕があれば、これまで手付かずだった部分(具体的には、NPCの感情設定など)を修正していきたいと思います。
 
 それでは次の機会にまた、よろしくお願いいたします。