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リアクション
第6章
洋館の中を駆け抜けるホイップ救出隊。
途中、地下の部屋に辿り着けなかった者達も合流し、なんとか外に出ることが出来た。
外ではもうキメラ戦は終わっており、現在シャガを捕まえようと奮闘中のようだ。
恭司が段ボール箱を下に降ろし、開ける。
すると、すっくと立ちあがったホイップ。
もう麻痺が解けてしまっている。
その姿は浴衣ではなく、何故か純白のウェディングドレス姿になっていた。
箱に入れる時、リリィが着替えさせたのだ。
「サンダーブラスト……」
ホイップが呟くと沢山の雷が空から降ってきた。
それに素早く反応した者達がいた。
「巨乳だからってこんなことしても許されるなんて思ってないでしょうね?」
『空中庭園』 ソラ(くうちゅうていえん・そら)は周りの雷を雷術で操り、上空へと進路を変えさせた。
「攻撃を防いでくれたのは嬉しいですが……今回もホイップさんに対して失礼ですよー!」
ソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)がつっこみ、雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)は面白そうにニヤニヤしていた。
光学迷彩を使用している黎は自分の体を盾にして攻撃を防いだ。
(ホイップ殿のことだ……もし、自分が攻撃してしまったと知ったらショックを受けるだろうからな)
周りにいたエル達は攻撃が当たると覚悟していたのに、当たらずに不思議そうな顔をしている。
朝野 未沙(あさの・みさ)は瞬時に対電フィールドを展開し、自分とその周りにいる人達の雷に対する防御を高めた。
これによって、攻撃を受けても無事でいられた。
「何やってるんだ! 目を覚ませよ! ホイップ!!」
次の攻撃に移ろうとしているホイップにメイコ・雷動(めいこ・らいどう)がバーストダッシュで一気に間合いを詰める。
ホイップの両手首をつかみ、攻撃出来ないようにしてしまう。
「……」
ホイップは冷たい瞳でメイコを見ると、アシッドミストの詠唱に入ってしまった。
「あたしが分からないのは……しょうがない。まだ知りあって日が浅いからな……でも他の連中は違うだろ!? 今まで一緒にいた仲間だろ!?」
メイコの必死の呼びかけにホイップが答えることはない。
そんなメイコの背後をマコト・闇音(まこと・やみね)が突然の襲撃に備え待機している。
やはりホイップがおかしい、みんながそう思っていたとき――
「わんわんっ!」
洋館からついてきていたナナリーの犬シェルティが吠えた。
マコトがしゃがみ込み、その首についている紙切れを取る。
するとシェルティは洋館へと戻って行った。
「ホイップは洗脳されている。大きなショックを与えよ……だそうだ」
マコトはみんなに向かってそう告げた。
「ホイップくんが浚われてからそんなに時間は経っていません。そんなにしっかりした洗脳ではないのでしょう」
マコトが読んだ手紙の真意を月詠 司(つくよみ・つかさ)が口にした。
「何か洗脳の媒体となっているようなものがあれば良いのですが……」
そう司が言った瞬間、詠唱が完了し、アシッドミストが展開されようとした。
霧が出てきたと同時にソラがファイアストームを発動させ、霧を吹き飛ばした。
司はホイップをまじまじと見つめたが特に何かあるわけではなさそうだ。
「大きなショック……それなら!」
未沙はまだメイコが捕まえているホイップの近くまで行くと、胸を鷲掴みにした。
少しホイップの動きが止まった。
ついでに近くで見てしまったメイコの動きも止まった。
そして、そのまま未沙は顔をホイップに近付け、口づけしてしまった。
メイコはそっと2人から離れた。
唇を重ねながら、ホイップの胸を揉み始めた。
唇の隙間から舌を入れ――ようとした瞬間に頭にハリセンを受けた。
「流石にやり過ぎな気がするでござる」
ハリセンを持っていたのは椿 薫(つばき・かおる)だ。
「ええっ!? でも大きなショックって言ったらこれくらいやらないと!」
中断されてしまった未沙は抗議の声を上げる。
ホイップは呆然としてしまっているようだ。
「次は私達の番ですー!」
ソアはそう言うと、ホイップに近づき抱きついた。
「さあ、みんなで一緒に! ハグ&チューはせかいきょうつうのコミュニケーションらしいですから!」
ソアが言うと、未沙が加わり、メイコ、ソラ、『地底迷宮』 ミファ(ちていめいきゅう・みふぁ)、シオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)、ロザリィヌ・フォン・メルローゼ(ろざりぃぬ・ふぉんめるろーぜ)、騎沙良 詩穂(きさら・しほ)、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)、カレン、ジュレール、カッチン 和子(かっちん・かずこ)、茅野 菫(ちの・すみれ)、リリィがどんどん抱きついてきた。
ホイップはぎゅうぎゅう状態。
「ホイップさん、どうか思い出してください。ホイップさんがいつも、私達のことを大切に想っていてくれたことを。そして、ホイップさんがたくさんの人から、大切に想われていることを」
ソアがそっと囁いた。
そして、ほっぺにキスをする。
そんな中、ロザリィヌの手つきが怪しくなってきた。
チューブトップに手を掛け、するりと中へと右手を入れる。
「ふっふっふ……コレも愛の日々を思い出して貰う為ですわーー♪」
そして、左手で後ろのファスナーを降ろしにかかった。
「ロザリィヌさん、ダメですよーー! いくらなんでも!」
ソアがツッコミを入れたが、やめる気配がない。
それどころか便乗して未沙も手を出し始めた。
「流石にそれ以上はアウトでござるー!」
ことの成り行きを見ていた薫からハリセンが入った。
こんなにごちゃごちゃしているのに実に器用なもので、ロザリィヌと未沙にしか当たっていない。
「そんな攻撃……屁でもないですわー!」
「うんうん!」
2人とも止める気配がないので、慌てて美羽やメイコ達が止めに入った。
シオンは楽しそうという理由で傍観を決め込んでいるようだ。
「くっ、それにしてもハグちゅー羨ましいぜ……」
「それならベアもやれば良いじゃない」
ソラに聞かれ、無理矢理ホイップの方へと引っ張られてしまった。
「いや、別に俺様はホイップに抱きつきたいわけじゃ……って、押すな! ぐえーーーっ!」
ベアはそのまま、倒れ込んだホイップ達の下敷きになったのだった。
ホイップの様子はまだ瞳に生気が戻って来ているわけではないが、明らかに顔を赤くし、攻撃の意思が見受けられない。
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