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【十二の星の華】想う者、想われる者

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【十二の星の華】想う者、想われる者
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リアクション

「やっぱりここはあれしかないですよー!」
 みんなでもみくちゃ倒れになったところからなんとか復活すると詩穂と和子が目配せし合う。
「ホイップさんやティセラさんが暴れたせいで、環菜さんの信用が失墜して金利上昇したの、ホイップさんの借金も1時間に1000G増えるって!」
 和子の言葉によって、ホイップの顔に動揺の色が見えた。
「さぁ、お前の現在の借金の金額を数えろ!!」
 ホイップの思考が停止しているように、見えなくもない。
 冷や汗が噴き出ている。
「それじゃあ、次は……準備は良い?」
 ホイップから少し遠くの後方で美羽が屈伸したりしてストレッチをしている。
「はい、出来てますけど本当にやるんですか?」
 ベアトリーチェはエルを連れて来ていた。
 その顔は心配そうだ。
 エルの顔には疑問が浮かんでいる。
「金ピカくん、しっかり見ててね!」
 ストレッチが終わると、美羽はバーストダッシュを使ってホイップの脇を猛スピードで駆け抜けた。
 その風でホイップのスカートがふわりとめくれた。
 見えたのはホイップのレースをあしらった純白の紐パン。
 ホイップは慌てて手で押さえるが絶妙な位置にいたエルの目にはしっかりと焼きついたようだ。
 そしてもう1人、ばっちり見ていたのは弥涼 総司(いすず・そうじ)だ。
 さすがのぞき部部長。
「良いものを覗かせてもらった。さて……これでもまだ戻っていないホイップさんにオレも手を貸そう。これから彼女の心に直接ショックを与えるぜ……済まないエルさんアンタとホイップさんの愛に賭けるしかないんだーーーーっ!」
 とエルに向かって叫んだ。
「ホイップさん! エル・ウィンドって男はアナタ一筋みたいな事を言っておきながらのぞき部に在籍し、事ある毎に色々なところに出没。部長もオレもびっくりなのぞきを仕掛けるんだ! レッツゴー☆☆☆ 巫女さんラヴラヴラーーーーー………………ヴ? とか言いながら巫女が着替えてるテントに突貫するようなヤツなんだぜ? かーーーーっ! ホイップさんがもし彼女になったらきっと、所構わず、ちち、しり、ふともも、全部見てくるぜっ……!!」
 ホイップから何やら黒いオーラが出ているような気がする。
「でも……のぞき部部長である総司さんものぞきやりますよね? その彼女さんとか……」
「オレの彼女ってそういうの理解あるしぃ〜、オレのぞき以外は彼女一筋だしな」
 ベアトリーチェの問いに総司はのろけで返した。
 そして、ある事ない事言われたエルはあたふたしている。
 黒いオーラが見える(かもしれない)ホイップは火術の呪文を素早く唱えるとエルに向かって攻撃してきた。
 エルはそれを受け止めようとした、が――
「ぐっ……」
 エルの前に飛び出して攻撃を受けたのはグランだった。
 丁度、胸の当たりに当たったように見えた
 グランに駆け寄るカレン。
 倒れたグランを抱き起こすと胸からは血が……。
「ホイップちゃん……グランさんが! グランさんが!」
 カレンが必死にホイップに呼び掛ける。
「ボクは……大丈夫です……」
 息も絶え絶えにグランがホイップに言う。
「これでも、まだ目が醒めぬのか?」
 ジュレールがホイップに囁く。
 ホイップの顔から血の気が引いている……ように見える。
 ホイップの動きが完全に停止してしまっている。
「な、な〜んちゃって! だ、大丈夫だよ!」
 あまりのホイップの表情にカレンは思わず言った。
 グランも急いで立ち上がり、ぴんぴんしていることを証明する。
「ほら、ケチャップですよ!」
 グランが服の内側に付けていたケチャップを見せるとホイップは安堵の表情を見せた。
「もう少しですわね……ならこれで」
 狭山 珠樹(さやま・たまき)はエルに近づくと、ホイップが良く見えるように位置を変え、エルの顎を持った。
 そして、妖艶な笑みをホイップに向かってしてみせてから、エルの顔に自分の顔を近付けた。
 エルの顔の横に自分の顔を近付けているだけなのだが、ホイップからはエルにキスしているように見えるだろう。
 エルの方は急に起こった出来事に反応出来ないでいるようだ。
 珠樹はエルから顔を放すともう一度妖艶な笑みを浮かべる。
 ホイップからはさっきよりも黒いオーラが見える。
 そして、珠樹がエルから離れると同時に今度はシオンにお尻を蹴られた司がエルに抱きつき――本当に唇を重ねてしまった。
 ホイップは司とエルに向かって氷術を放った。
「させません!」
 それをミファが急いで唱えた火術で相殺させた。
 シオンはその様子をビデオにしっかり撮っている。
 そして、今度はエルを蹴飛ばしてホイップの方へと向かわせた。
 シオンはショックを受けている司のそばにいた緋桜 ケイ(ひおう・けい)を蹴飛ばした。
 危うく司とケイはキスするところだった。
「残念〜」
 シオンは楽しそうだ。
 ケイは気を取り直して、エルの近くへと向かい、悠久ノ カナタ(とわの・かなた)はホイップのそばへと向かって行った。