First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
第四章 講義風景 一 (古森あまね)
百合園女学院七不思議の再現が終わりました。なんだか教室には、不穏な空気が流れてるわね。
教授はたしかに挙動不審に見えなくもないけど、いろんな先生がいるからなあ。
くるとくんはあたしの横で、講義前にシェイド・クレインさんと火村加夜さんからもらったお菓子をこっそり食べながら、おとなしくしています。
「女高怪談」
「なにそれ?」
「女子高を舞台にしたアジアの恐怖映画シリーズ。怪異じゃなく、謎の殺人が起きたり、心の問題のある先生が登場するよ」
「くるとくん。あまねおねえちゃん」
ふいに足元から呼ばれて、あたしはびっくりして下を見ました。あたしたちの机の下には、赤羽美央ちゃんとヴァーナー・ヴォネガットちゃんが手をつないで座っています。
保護せずにはいられない印象の小動物コンビです。
教室の机は横の列はつながっているので、二人は自分たちの席から、しゃがんだまま、ここまで歩いてきた様子。
「どうしたの」
「お化け怖い・・・お化けやだお化けやだお化けやだお化けやだ」
「ボ、ボクは、こんなことしても、ヘンなことは起きないって、知ってるから、こ、怖くないです」
二人とも、思いっきり瞳が濡れてますけど、どうしましょうか。
「食べる?」
「むー!」
「うわわわわ!」
ドン。ドン。
くるとくんが差しだした火村加夜さん作のネズミの心臓(グレープ味のグミ)に驚いた二人は、とっさに立ち上がろうとして、机に頭をぶつけ、頭を押さえて再び、しゃがみこみました。
「頭痛い。くるともやだくるともやだくるともやだ」
「くるとくんがいじわるするです。ボクは、かわいそうです」
「すごい音がしたけど、二人とも、大丈夫?」
あたしが心配していると、教室のあちこちから、
「いま、そっちでラップ音がしたぞ」
「私も聞いたわ。ポルターガイストよ」
「僕も」
「なんでもありません。ちょっと、あたしが荷物を落としただけです」
席を立ってあたしは、弁解します。
「講義中は、静かにしてください。古森くん。いいですね」
フライシャー教授に注意されました。
ふう。
「あまねちゃん、くるとくん。お化けなんていないよね。お願い。いないって言って」
足元の美央ちゃんが尋ねてきました。
「ええ。いないわよ」
あまりにも美央ちゃんが怯えきっているので、あたしは、即答してしまいます。
「それは、昔の映画で、ンガ。
余計なことを言いそうな探偵小僧の口に、シェイドさん作のカップケーキをつっこみました。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last