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合法カンニングバトル

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合法カンニングバトル

リアクション


「きゃっ!」
 抵抗むなしく、生徒に組み敷かれる彩。
 スリットの入ったスカートは簡単にめくれるのだが、それだけでは満足してくれないようだ。
「やめて、もういいでしょ、放してよ!」
 必死に振りほどこうとするが、抜け出せない。
「問1だけじゃ答案が埋まらないんだ、残りも教えてくれよ」
 身動きの取れない彩に顔を近づけ、竹中が問いかける。
「そ、それは……」
 一瞬言いよどむ彩、だがこの状況だ、答を教えるしかない。
「と、問2の答えは……」
 彩が答を口にしようとした、その時。
「い! いででで……」
 彩を組み敷いていた生徒が苦痛に顔をゆがめる。
「な、なんだ?! がはぁっ!」
 この異変に背後を振り返った竹中の視界に飛び込んできたのは、鉄拳だった。
 きりもみ回転しながら飛んでいく竹中。
「え? いったい何が……」
 自由を取り戻した彩がよろよろと立ち上がる。
 そこに立っていたのは霧雨 透乃と霧雨 泰宏。
「……ったく、カンニングどころじゃなくなってきたな」
「彩ちゃん、大丈夫?」
 ふらつく彩を透乃が支える。
「あ、ありがとう……」
「……透乃ちゃん、こいつらボコボコにしてもいいかな?」
 泰宏の体から殺気が迸る……かなり頭にきているようだ。
「うん、ここはやっちゃんに任せる、彩ちゃん、いこ……」
 彩を連れてこの場を離れる透乃……
「やっちゃ〜ん、やりすぎないでね〜」
「ああ……努力する」
 と言いながら、一人目を沈黙させる泰宏。
 その努力は、とても難しいようだった。

「みんな落ち着いて……ね?」
 生徒達を諌めようと前に出る江利子。
「江利子先生?! そっちに行っちゃダメですよ!」
 慌てて止めようとする六鶯 鼎だったが、生徒達にとっては鼎もターゲットの一人だった。
「くっ……お前ら! ……ならせめて、一人でも多く引き付けるか……」
 残念だが江利子のことは他の人間に任せるしかない。
 生徒達を引き連れ、江利子から離れるように移動する。

「江利子先生、俺達を助けてくれよ」
「はやく、その下着を……」
 生徒達が江利子に迫る。
「え……ちょっと、みんな……違うから……」
 話せば通じると思っているのか、抵抗らしい抵抗をしない江利子。
 ついにそのスカートを掴まれてしまう。
「江利子先生…… !! hイdぶ……」
 生徒は言葉にならない声をあげて吹き飛んだ。
「大丈夫ですか?」
 振り返ると、そこにはハンドガンを構えた戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)
「は、はい……あ、危ない!」
 小次郎の後ろから迫る生徒が。
 しかし小次郎は振り返る事無く銃口だけを後ろに向け、続けざまに3発。
 暴徒鎮圧用のゴム弾を至近距離でくらい、悶絶する生徒。
「なんだか、まずいことになりましたね……」
 周囲を見回しながら小次郎がため息をつく。
 カンニングを諦めていた多くの生徒達が一斉に蜂起してしまったのだ、この数を相手にするのは骨が折れそうだった。
 そこへエヴァルト達が駆けつける。
「先生、早くこっちへ!」
 後方からエッツェルが叫ぶ……退路を作ってくれたようだ。
「二ノ宮先生は下がっていてください、ロートラウト」
 あたふたする江利子をロートラウト達に任せ、小次郎と共に生徒達に対峙する。
「カンニングにかこつけて痴漢行為とはな……全部まとめて吹き飛ばしてやる」
 変身しようとするエヴァルト……だが……
「おいおい、問答無用で攻撃かよ」
「俺達はトイレに行きたいだけだってのに、なぁ?」
「まだ何もしていない生徒を攻撃するのは、よくないと思いま〜す」
 口々に文句を言う生徒達。
「く……こいつら……」
「気持ちはわかりますが、落ち着いて……ここは任せてください」
 小次郎が銃を乱射する……生徒達の前に弾痕の線が引かれた。
「そこから先は通行禁止です、トイレなら回り道をお願いしますね」
 元々、トイレに行くなら別方向なのだが……しかしこれで口実は出来た。
「それでもあえてここを通ろうとするなら、カンニングと疑われても文句は言えないです」
 後はこの線を越えて江利子の方に近づこうとする生徒達を片っ端から倒していけばいい。
 しばらく躊躇したものの、やはり生徒達は線を越えて江利子を目指す。
「ならば……遠慮なくいかせてもらうぞ!」
 線を越えた生徒達が次々と吹き飛んでいった。


「どうしよう……江利子先生、まだ一人も捕まえてない」
 この騒ぎで生徒達は次々と倒されていく。
 生徒が減る、ということは江利子が手柄を立てるチャンスがなくなる、ということでもあるのだ。
 何か方法はないものかと頭を悩ませる五月葉 終夏(さつきば・おりが)
「こうなったら、私から捕まりにいくしかっ……」
 席を立ち江利子の元へ向かおうとする終夏だが、背後から手を捕まれる。
「!! ……しまった……」
 他の教師に捕まっては意味がない。
 慌ててふりほどこうとする終夏だったが……その手はあっさりと放される。
「落ち着いて、私は味方ですよ」
 ……涼介だった。
 彼もまた終夏と同じく、自分から捕まりに行くつもりだったのだ。
「ですが、今動くのは危険です……」
「で、でもこのままじゃ……」
 確かに今、江利子の周りは警戒されている……それこそ他の教師に捕まりかねない。
「チャンスは必ずあるはずです、もう少し待ちましょう」
 とは言え、残り時間には限りがある。
 まずこの焦りと戦かわなければならない二人だった。