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リアクション
第6章 硬派な漢の戦い、と言っていいのかどうか……
「なんか後ろの方でものすごい戦いがあったみたいだけど、どうなったの?」
「んなもん俺が見てるわけねえだろうが」
「え〜、アレックス全然戦ってないんだから、こういう時は周りを見てサポートするのが普通でしょ?」
「サポートとかの前にまずこの乱闘をどうにかしろよ!」
牙竜と又吉にE級の2人を任せて先へと進んだ要とアレックスの2人。不良たちの「第2陣」を突破したのが大きいのか、しばらくは戦うことなくずんずんと前へと足を進めていた。
そんな2人の前に妙に大きなものが姿を現す。
「ん? ねえアレックス、あの大きいのって……」
「地球の学校の……校舎?」
2人の目に映ったそれは、まさに「校舎」と呼ぶべきものだった。
そう。ついに要は「硬派番長げんだ」の近くまでやって来たのである。
げんだたちが本拠地とするこの「校舎」は、外見こそ地球にある一般の高等学校のそれと大して変わらないが、1つ大きな違いがあった。それは、建築に使われているのが鉄筋コンクリートではなく全て木材であり、しかも全てがペンキで塗られただけの、いわば「ハリボテ」であるということだった。
ハリボテの校舎が存在する理由はただ1つ。げんだたちが「不良である」ということである。彼らの「不良」に対するイメージは、まず「学生である」というのが前提となっており、学生であるならば学校に通っていなくてはならない、というわけだ。だがパラ実は校舎が全壊しており――荒野のあちこちに青空教室はあるものの、げんだたちにとってそれは学校でも教室でもなかった――イコール「学校に通えない」ことになる。
学校に通えないのならば、自分たちで作るしかない。そう思ったげんだたちは、ひとまず雨露がしのげる程度の屋根付きの建物を造ることにしたのだ。資金に余裕が無かったため、木材を組み上げただけの、見た目だけ学校風にしたそれは、いつしか彼らの本拠地となっていた。
「よくここまで来たな!」
その「校舎」の近くから何者かの声が聞こえてくる。校舎の前に陣取るような学ランの男といえば1人しかいない。
そう、げんだである。
「校舎」の前にげんだと、その直属の舎弟150人。その前方にて100人の舎弟を従えて待ち構えるのは、残ったE級四天王の「おおやま」だった。
おおやまと舎弟たちを間に挟み、げんだは高らかに要に言い放った。
「地球とパラミタ、全国のげんださんには非常に申し訳ないが、俺が今回の大ボスのげんだだ!!」
瞬間、その場にいたげんだを除く全員がずっこけた。
「……げんださん。まさかとは思いますが、それを言いたいがためにわざわざこの場で待ってたんですか?」
地面に倒れ伏しながら舎弟の1人がくぐもった声を発する。
それに対し、げんだはそれはもうすがすがしい笑顔を見せた。
「当然!」
白い歯を輝かせながら、げんだは舎弟に向かって親指を立てる。
舎弟たちは思っただろう。ああ、この人、ただの馬鹿かもしれない……。
だが不良たちは考えていなかった。その程度の馬鹿な発言に見事にノッてくれる存在がいることを。
もうお分かりだろう。高島要である。
「ようやく来たよ大ボスさん! この後はボス戦で、それに勝ったらエンディングだよね!」
「おう、そういうことになるな。だがそう簡単にボス戦はやらせんぞ! まずは目の前の250人を叩きのめしてからだな!」
最初の辺りで「世間の厳しさを叩き込むべく、全舎弟を動員する」とか言ってた男が、今はこの変わりようである。途中で別人になったとしか思えない彼の言動だが、この場においてそれを真面目にツッコむ人間はいなかった。
「とまあそういうわけだ! それでは全員! 突撃いいぃぃぃっ!」
ようやく立ち上がった舎弟たちに号令をかける。
こうして、この不毛な大乱闘の最終章の幕が上がった。
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