First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Next Last
リアクション
絶対何かおかしいよ。
「犯人がわかったやて?!」
ブラウが「ネーちゃんようやった!」と紫音の肩を叩いた。紫音は自分は「男だ」と断わってその正体を話す。
「今まで強化人間を襲っていたのも、今回の同時襲撃を計画したのも、キュゥタと言うゆる族の仕業だ」
「ゆる族のキュゥタ……あれ? なんか聞いたことあるよその名前?」
とリオが首を傾げる。記憶に引かかる名前だった。
「そう。天御柱の生徒なら聞いた事ある名前かもしれない。なんせアイツ“鬼崎先生のパートナー”だからな」
「鬼崎? 戦闘教官の鬼ぃか!」
厳しい教師筆頭として有名な教師の名を聞いてブラウが驚く。
「恐らく、鬼崎先生の持っている生徒リストから襲う強化人間を選出してたんだね。しかも先生の自宅ってこの東地区だよね」
フェルクレールトの知識に、そうだったねとリオも頷いた。
「なるほど、だからリョージュが襲われなかったのか」納得する忍。しかし、リョージュは「強化人間のフリしたオレがバカ見てーじゃん……」と落ち込んでいた。
「ダリルたちからの報告だけど、昨日の犯行で使われていた銃の線条痕の照合が終わったて。天御柱の備品だったて。それと、カノンの方だけど、向こうの襲撃は防げたって。ゆる族じゃなかったけど」
彩華の報告。どうやら、カノンの方は心配なさそうだ。
「すでに、オルフェリアが鬼崎先生の自宅に。風花はアジトを抑えに向かった。学院に連絡したら鬼崎先生も、キュゥタも夕方になる前に学院から帰ったて」
紫音の言葉を聞いて、ブラウが暫し長考。口を開く。
「なら、ワイらもそのアジトに向かうで。ああ、ワイはちょっと他の管区長メンツに連絡してから行くわ。もうこれで一件落着やな!」
犯人も分かり、後は捕まえるだけ。皆、キュゥタの現れるという空きビルへと向かった。
一番最初に廃ビルに着いたのは潜入調査をしていたウーとその魔鎧だった。
「どうやら他の雇われていた奴らは誰も帰ってないな……」
「当然といえば当然だわ……、独善な理由で強化人間を狩れって言われても納得しないわ」
「やっと、追いついたどす……。犯人はどこどすえ?」
風花が追つき、ウーに尋ねる。
「恐らくカナンの襲撃から帰ってきてないんだろう。キュゥタはカナンを襲うって言ってたからな」
「あれ?」と風花が首を傾げる。
「それはおかしいなぁ。カノンはんを襲ったのは優梨子はんだけやって聞いたで?」
風花の言葉に嫌な予感がする。ウーは鬼崎の自宅を抑えに行っているオルフェリア・クインレイナー(おるふぇりあ・くいんれいなー)に携帯を掛けた。
「はいオルフェリアです。どーしたの?」
オルフェリアはウーからの電話にハテナマークが出る。
『オルフェリア! キュゥタはいたか!』
「いいえ? 今から家に入るところですわ。逮捕状もありますし。《逮捕術》もありますし大丈夫ですわ」
と呑気に答える。
『そうもいってられない。恐らくそっちにもキュゥタはいない! 早く自宅の中を確認してくれ!』
「オルフェリア様! 自宅には鍵がかかっておりますよ?」
「どうしますか?」とミリオン・アインカノック(みりおん・あいんかのっく)。
キュゥタも鬼崎もまだ家には帰っていない。しかし、彼らはすでに学校を出ていると聞いている。
漸くオルフェリアも険しい顔になった。
「ミリオン! ドアを壊して! 中に入るわ!」
オルフェリアの命に従い、ミリオンは【最古の銃】で蝶番を破壊し、強制家宅捜査に乗り出した。勿論家に誰もいなかった。
ただし、二人はとんでもないモノを見つけた。
そこは書斎、それはおびただしい程のメモと、レポート、雑誌の山。
全て2018の年の出来事を記したものだった。
First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Next Last