リアクション
――、それが、彼の最後の言葉だった。
ブラウの顔に血が飛び散った。鬼崎の血だった。
鬼崎は額に一つ穴を増やしていた。巨体が崩れ伏せる。
「やっと、一人殺せたよ――。人間て、頭を撃たないと死なないんだね」
キュゥタが《光学迷彩》を解いて、姿を現す。白い、ぬいぐるみの手にはサプレッサー付き【ハンドガン】が握ってあった。
誰もソレの殺意に気づかなかった。誰もソレの邪悪さに気づけなかった。それもそうだ。
キュゥタも鬼崎同様にパートナーロストのペナルティーを受けていた。それによってソレは“非合理的な感情”を失っていた。
だから、罪を犯しても、人を殺しても、殺す動作も彼に取ってすべての行動は合理的なものが故に、殺意を出すことも、罪悪に苛まれることももありはしない。無感動に自動的に行われた行為。キュゥタにとっては“当たり前”のことをしただけだった。
「てめぇー! 何してやがるッ!! コイツはお前のパートナーじゃないんか!!」
ブラウが怒髪天を衝く。
「君はなぜ怒っているんだい? 彼は君を殺そうとしてた敵だろう? ボクが彼を殺したことを何故怒るんだい? 敵のために、哀れんだり、同情したり、怒ったり、――、君たちはわけがわからないよ」
「じゃあ、テメーにコイツを殺す必要はあったんか!」
「あるよ。だって彼、“強化人間”じゃない。“サイコイーター”のボクが、強化人間を殺さないなんて、それこそ可笑しいじゃないか!」
キュウタは続けてこうも言う。
「それと、君もだよブラウ。君も“強化人間”だから殺さないといけないね――」
白いその腕が、重厚をブラウに向けた。
――、数発の銃声が響いた
穴だけになったソレは倒れた。街の影から撃たれたキュウタは原型を留めてはいない。
残された者たちは、特にブラウは遣り場のない怒りに地面を何度も叩いた。
撃ち尽くした銃を仕舞い、ウー・ジェン・スーはその仮面と、魔鎧を外した。
魔鎧は人化して嘗てウーだった彼に問う。
「本当にこれで良かったのかな……」
彼は答えなかった。
病院、治療室で少女が赤い目を開けた。
「お、起きたよー。ダリル! こっち着て! ヴェルリアが起きたよ」
「騒ぐな、たんぽぽ頭。意識が戻っただけだ、猛を呼んで容態を見てもらうぞ」
少女は会話を受動的に聞いていた。
少女はまだ眠かったので、再び眼を閉じる事にした。
如何だったでしょうか。どうも、リアルでもやっぱり真っ黒だった黒井威匠でございます。
ちょっと、時間がかかってしまっても申し訳ございません。
本シナリオは識上 蒼GMの監修付きでのモノとなっております。ガイドと内容は識上様が考えていたものを私がリアクション執筆した次第です。慣れないやりとりと、どこまでやっていいのか悩みまくりました。時系列的には氷菓子が解決した直後の話となってます。
で、結局。こんな状態。私の脚色が入ってしまったことで、 ところどころにネタが仕込んで、ギャクかシリアスか分からない状態のシナリオだったかと思います。
そしてラストはあんな感じのオチとなりました。あのオチを読んで、「なんだやっぱお前か」と思っていただけたでしょうか。
あと敵を強く設定しすぎてラストヤラれアクション的な感じなった方々ゴメンナサイ。ただのネタだと思って下さい。どう見てボスの名前があれだし、クラスもあれだし。ネタとして受け取ってくれたら幸いです。皆死んではいませんし、怪我も軽い物で済んでおります。NPC意外は……
NPCに関してはブラウ以外、鬼崎やキュゥタの設定は私の知恵入れです。本当はただのモブだったんですがね。
さて、コメントはこのへんで。また黒井シナリオで会いましょう。 たまには白井のも書きたいと思うこの頃でした。