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友達が欲しいメデューサ

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友達が欲しいメデューサ

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「(皆さん聞こえますか?)」
 先に遺跡を調査していた司が『テレパシー』を使い全員へと話しかけてきた。
「(この遺跡を調査した結果ですが、噂話とは違う真実があるようです。真実は、ここにいた貴族はこの別荘跡を子供達のお墓として使っていたようです。モンスターを可愛がっていたというのは噂であって真実ではないようですね)」
「(なら、なぜメデューサはここにいたんだ?)」
 司の調査結果を聞き、エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)が聞き返す。
「(貴族が使役して墓を荒らされないように墓守の役割を担っていたようですね。それとやはり、メデューサの石化能力を封じておくためのアイテムがあるようですね)」
「(本当か!?)」
「(はい、貴族が使用していた部屋がどこかにあるはずです。その場所にあるはずです)」 
「(なるほど。ならば俺が探しに行こう)」
「(こちらも探してみます。何かありましたら連絡します)」
 それを最後に司からの声は聞こえなくなった。
「……ということだ、俺はこれから探しに行ってみようと思う」
「あ、私もいくよ!」
「私もお手伝いしますねー」
 マルトリッツの言葉にロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)神代 明日香(かみしろ・あすか)が立ち上がる。
「……三人で、平気……?」
「大丈夫! ボク達に任せて!」
「私のために……ありがとう!」
「俺達はもう友人だろう。友人のために頑張るのは、当然の事だからな」
「そうですよー。それじゃあ、いきましょうー」
「じゃあ、行ってくるね!」
 三人は貴族の部屋を探すために遺跡の奥へと向かった。

「しかし、この崩れた遺跡の中から見つけられるのだろうか……」
 しばらく奥へ行ったところでマルトリッツが呟く。
「そうですねぇ……。ほとんどが原形をとどめていませんからー……」
「こうして残ってるだけでも奇跡だよね」
 何処が部屋だったのかすら区別がつかない状態の遺跡。
「あ、ここは残ってますねー」
「中に入ってみよう」
 途中、崩れず残っている部屋があったりするが、どれも貴族が使っていたとされる部屋ではなく、アイテムは見つからない。
「なかなか見つからないね……」
「根気良く探そう。きっとどこかにあるはずだ」
「あらー、ここも残っていますねぇ」
 明日香が指差す先にはドア。
「あ、この先はもういけないみたい……」
 先に続く道は瓦礫で完全にふさがれていた。
「ということはここが最後か……」
「見つかると良いですねぇ……」
「開けるぞ……」
 ついていたドアノブを握り開けようとするマルトリッツ。だが、ドアが開かない。
「む……開かないな」
「ボクに任せて、せーの!」
 エッカートが思いっきドアを開けようとする。だが……
「あ……」
「わっ!」
 バキッ! という音と共に外れるドアノブ。
「……」
「あー、あははー……」
 無言のマルトリッツと苦笑する明日香。
「ぅ……ごめんなさい」
 しゅんとするエッカートだった。
「まぁ、壊れてしまったものはしょうがないですー。壊しましょうかぁ」
「俺がやろう……。はっ!」
 マルトリッツの蹴りで吹き飛ぶドア。中からガシャーン! という音が響き渡る。
「……少しやりすぎたか」
「うん」
「ま、まぁ、早速探してみましょうかー」
 気を取り直して部屋の中を探す三人。
「これ……ですかねぇ」
 明日香が小さな小箱を見つける。小箱の上には目のマーク。開けてみるとコンタクトがいくつか入っていた。
「律儀に説明書みたいなのも入ってるね……読める?」
「えっとー……『石化対策用レンズの取り扱いについて』っと、書いてありますねぇ」
 明日香が説明書を読み上げる。
『石化対策用レンズの取り扱いについて
 レンズには能力を封じる魔力が込められております。おつけいただくと目に宿る能力を封じる事が出来ます。
 数日にわたってご使用いただくのは大変危険ですので、一日毎にお取替えください。
 使用したものは魔力の入った洗浄液で洗ってください。魔力が復活し何度でもご使用いただけます』
「……と、書いてありますねぇ」
「使い方は普通のコンタクトレンズと一緒か……」
「だね、でも見つかってよかった!」
「そうですねぇ。早速持っていきましょうー」
「そうと決まれば急ごう!」
「あ、待ってくださいー」
「あ! おい二人とも!」
 早速みんなの待つ場所へと走る三人だった。