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《11・結果発表のとき、ドキドキしない人はいない》

 ゲーム終了後、全員が博士の待つ司令室のような部屋へと招かれていた。
「生徒諸君! お疲れさまだったね。それじゃあさっそく結果発表といきたいところだけど、せっかくだからもうちょっと引っ張って漫談でも――」
「とかいうのは、疲れとる皆さんに失礼やろうから、サクサクいくで」
 博士を押しのけるようにして、助手はモニターを指差す。
「総勢25チームで行なわれた今回のゲーム。その結果を――」
「ランキング形式で発表していきたいと思う! ではまず25位から――」
「なんてことやってたら、イライラしてくるやろうから全部まとめて発表するで。それじゃあ、どうぞ!」
 どうやら色々盛り上げていきたかったらしく、うなだれている博士をよそに、
 全員がモニターに表示された結果を見つめる。

チーム『和輝と愉快な仲間たち』
佐野 和輝(さの・かずき)アニス・パラス(あにす・ぱらす)小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)夜月 鴉(やづき・からす)御剣 渚(みつるぎ・なぎさ)白羽 凪(しろばね・なぎ)
【破壊数:6】

チーム『龍雷連隊』
松平 岩造(まつだいら・がんぞう)武蔵坊 弁慶(むさしぼう・べんけい)トマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)ミカエラ・ウォーレンシュタット(みかえら・うぉーれんしゅたっと)テノーリオ・メイベア(てのーりお・めいべあ)魯粛 子敬(ろしゅく・しけい)
【破壊数:8】

チーム『カイゼレグ』
クレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)島津 ヴァルナ(しまづ・う゛ぁるな)三田 麗子(みた・れいこ)ゴットリープ・フリンガー(ごっとりーぷ・ふりんがー)レナ・ブランド(れな・ぶらんど)天津 幻舟(あまつ・げんしゅう)
【破壊数:9】

チーム『GUN・DOG』
レーゼマン・グリーンフィール(れーぜまん・ぐりーんふぃーる)ルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)ソフィア・クロケット(そふぃあ・くろけっと)
【破壊数:4】

チーム『雪月花』
レオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)ルカルカ・ルー(るかるか・るー)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)
【破壊数:11】

チーム『酒乱』
朝霧 垂(あさぎり・しづり)朝霧 栞(あさぎり・しおり)鷹村 真一郎(たかむら・しんいちろう)
【破壊数:2】

チーム『ワンコ隊』
橘 カオル(たちばな・かおる)月島 悠(つきしま・ゆう)麻上 翼(まがみ・つばさ)
【破壊数:6】

レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)ミア・マハ(みあ・まは)チムチム・リー(ちむちむ・りー)カムイ・マギ(かむい・まぎ)
【破壊数:5】

鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)常闇 夜月(とこやみ・よづき)鬼龍 白羽(きりゅう・しらは)医心方 房内(いしんぼう・ぼうない)
【破壊数:4】

ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)グロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)ブラダマンテ・アモーネ・クレルモン(ぶらだまんて・あもーねくれるもん)
【破壊数:7】

帆村 緑郎(ほむら・ろくろう)ザッハーク・アエーシュマ(ざっはーく・あえーしゅま)ライラ・メルアァ(らいら・めるあぁ)
【破壊数:5】

騎沙良 詩穂(きさら・しほ)セルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)
【破壊数:3】

ランツェレット・ハンマーシュミット(らんつぇれっと・はんまーしゅみっと)ティーレ・セイラギエン(てぃーれ・せいらぎえん)
【破壊数:10】

セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)
【破壊数:7】

エールヴァント・フォルケン(えーるう゛ぁんと・ふぉるけん)アルフ・シュライア(あるふ・しゅらいあ)
【破壊数:0】

リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)またたび 明日風(またたび・あすか)
【破壊数:6】

シルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)
【破壊数:7】

ケーニッヒ・ファウスト(けーにっひ・ふぁうすと)
【破壊数:9】

御神楽 陽太(みかぐら・ようた)
【破壊数:7】

エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)
【破壊数:6】

大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)
【破壊数:9】

氷室 カイ(ひむろ・かい)
【破壊数:6】

中願寺 綾瀬(ちゅうがんじ・あやせ)
【破壊数:12】

漆黒の ドレス(しっこくの・どれす)
【破壊数:0】

中願寺 飛鳥(ちゅうがんじ・あすか)
【破壊数:0】

「ということで優勝は、中願寺綾瀬さんに決定や!」

「あら。私、ですか?」
「そうよ、なに言ってるの」
「やったな、さすが綾瀬だぜ!」
 ぽかんとしている綾瀬に、祝福を送るドレスと飛鳥。もちろん優勝したのは綾瀬のみではあっても、パートナーが評価されるのは純粋に喜ばしいことだった。
 他の参加者も、わずかに悔しそうにしながらも拍手を送っていく。
 それを受けてようやく綾瀬も、喜びを感じて微笑むのだった。
 やがて復活した博士が、
「えー。では、見事ゲームに優勝した中願寺綾瀬さんには、この称号を差し上げましょう!!!」
 博士は、大げさに叫びながらモニターを指さした。
 そこに映し出されたのは……。

『ゴーレムを統べる女王』

 空気が、無色になった。
「私が三日三晩、朝寝坊して昼寝して夜もガッツリ寝て考えた称号だ! 遠慮なく受け取ってくれたまえ!!!」
 異常なまでに寝てばかりだ! とざわつく生徒達。
 ある意味微妙で、優勝しなくて良かったという表情の人物も数多くいたとかなんとか。
「それじゃあみなさん! 私はまたいずれゲームを企画し、戻ってまいりますので。それまでどうかごきげんようっ!」
「ほんま、おばかな博士ですまんね。ははははは……はぁ」

 こうして、なんとも言えない空気で終了したゲーム後、
 バームクーヘン型をした迷路工場の、ちょうど中央の空洞になった部分。
 そこは工場内のはずなのに空気が澄んでおり。人工ではあったが緑もあり。宴会をするのならここでどうぞ、という助手さんの進言で生徒達はここに集まっていた。
「このゲームに参加した諸君。成果を残せた者もそうでない者も、いっそうの精進を願っている。それでは、乾杯!」
 レーゼマンが音頭をとり、
 各々いつの間にか用意されたテーブルの上の食事や酒をいただいていった。
「やはり遊んだ後は皆で宴会して結束を高めないとな。これが教導団の鉄則!! 酒盛りだ〜皆飲め〜」
「飲め〜じゃないでしょう? 聞いたよ! 女の子を囮にさせたなんて。それが教導団の男のすることなの!?」
「そうですよ。もっと言ってやってください」
 ソフィアに話を聞いてルースに文句を言うルカルカだったが。
 すでにかなり飲んでいるルースは、まるで聞いていない。というより聞いてない振りをしているようで。馬の耳に念仏以前の問題だった。
「まったくもう……」
「ああいうところが無ければ、かなりいい人なんだけどな」
 説法は諦めて、すごすご引き下がるルカルカにダリルが笑いかける。
 その近くではカオル、悠、翼、垂、栞、真一郎、そしてレオンハルトもいて。全員ひとつのテーブルに集まっているようだった。
「それで? 結局、そのあとどうなったんだ?」
「残念ながら核は手に入れられなかったみたいだな」
「やっぱり開始前にお酒はいけませんよね……後ならともかく」
 栞だけでなくカオルたちワンコ隊からも注意され、垂と真一郎は軽く凹んでいる。もっとも、酒はちゃっかり飲んでいるけれども。
「ちょっとくらいならいいかと思ったんだけどな〜」
「そういうちょっとがいけないんだろ。やっぱり行動するのが遅すぎたんだって」
「ここから一気に巻き返し、という雰囲気だったんですけどね。そうそう大逆転はないですよね」
 彼らが話に花を咲かせるなか、
 まさに執事のごとくのエールヴァントはお酒のNGな人にお茶を淹れてあげて。
 今はレオンハルトと話していた。
「それにしても素晴らしいアイデアでした。最後、一気に黒ゴーレムのカウントを稼いでいったときには、優勝なのではと期待してしまったほどです」
「まあ、半分はダリルのアイデアだけどな。俺の策を合わせても、もう一歩なにかが足りなかったのであろう」
 真剣な話のかたわら、相方のアルフはというと、
「君、可愛いねぇ! どう、俺と一緒に晩メシ食わない? あ、連絡先交換するだけでもいいけど!」
「ほえ? えーと、連絡先だけならまあ、べつに」
 ルカルカになにやら言い寄っていたりした。

 そうした騒がしさの外。
 既に迷路工場を後にしたランツェレットとティーレは、
「10体まではうまく破壊できたのに。中にコピーが混じっていたのが残念です」
「スタートダッシュは決まったんだけどね。やっぱりそれだけじゃ勝てなかったか」
「うふふ♪ それでも、そこそこ楽しめましたからいいですけど。帰りにヴァイシャリーに寄って買い物しましょう」
「うん、そうだね!」
 あまり負けたことを気にした風でもなく、マイペースに最後を飾るのだった。


                                    おわり

担当マスターより

▼担当マスター

雪本 葉月

▼マスターコメント

 お久しぶりです、マスターの雪本葉月です。
 一応今回は、私にとっては二十回目となる記念回なのですが……。
 あろうことかガイド内に表記ミスがありました。

【注意1:破壊数が同じで同時優勝となった場合、賞金は両チームで折半する。】

 のところが、賞金→賞品です。
 折半という言い方もマズかったですかね。賞品は称号なので、単純に両チームに与える。と言うだけでよかった気が。ヘンに気取った言い回しするもんじゃないですね。
 本当に失礼しました。

 ところですこし私事になりますが。
 今回は執筆直前に、まさかのキーボードがクラッシュ(といってもキーがひとつ外れただけですけど)したり。色々とやることが山積みになって右往左往して軽く熱を出したり。大変でした。
 しかもこの先も、やることは増えていきそうな勢いなので。
 年末年始やお盆くらいしかシナリオの担当ができないかもしれません。
 私のシナリオを楽しみにしてくださっている方(がいらっしゃれば)申し訳ありません。
 ……と言いながら、来月に平然とやっていたらお笑いですが。

 さて。恒例になってきたテーマは『ルール』です。
 ゲームのルールを提示すると、ルールの穴をつかれて困ったりすることもあるのですが。
 だからこそ今回は、あえてルールの穴をいかにしてつくか? が鍵になっていました。
 例えばコピーゴーレムについては、性能とルール内容を上手く考えれば、他チームを退場に追い込むことも可能となり、時間ギリギリに破壊すればカウントを稼ぐこともできたりといった応用が可能なわけです。

 最終的な破壊数のカウントは、素早く行動を起こしているか否か、コピーへの対応や黒ゴーレムに関する記述。そしてルールの穴に気づいたか否かなどで判定していった結果でした。

 あと、これは追記のようなものですが。
 蒼空のフロンティアを遊ぶうえでも、やはりルールは存在します。
 こうしたほうが面白いのに、こんなルール厳しいよ、あのアクションはよくてなんで私のはダメなの? と考えてしまうことは、多々あるかもしれません。
 確かにああだこうだと色々言うのは忍びないところですが。やはりある程度は決めておかないと、あまりになんでもありありではお話が成り立たなくなってしまいます。
 ですので。
 そうならない境界線がどこにあるかを見極めて、楽しくゲームを遊んでください。

 それでは、このへんで。またいずれお会いしましょう。