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リアクション
「ほう……蛮族の海には巨大なクラゲがいるものなのだな」
騒ぎを聞きつけ、遠巻きに見守る観衆の間をくぐり抜けたセルシウスが顔を出す。
「む……あそこにいるのは確かコンビニの時店員をしていた……」
こちらに近づいてくるセルシウスに、刀真が叫ぶ。
「セルシウス!! こっちに来るな!!」
「刀真さん!? 前!?」
豊和が叫ぶ。
刀真に迫る触手。
「くッ……病院送りなんかになってたまるか!! 雅羅がいるんだぞ!!」
だが、触手は刀真の脇を通りぬけ、奥の雅羅へ一直線に向かう。
それを雅羅を庇うように、豊和が炎で撃退する。
「助かった、豊和!」
「いえいえ、負けませんよ?」
「何がだ?」
刀真に意味深な笑みを浮かべる豊和。
「まだいるわ……上ーーッ!!」
ルクセンが叫ぶ。
唸りをあげた鞭のような一撃が、咄嗟に身を挺して雅羅と月夜を庇った刀真の背中を襲う。
「ぅぐ……!?」
苦痛に顔を歪める刀真が庇った二人を巻き込んでそのまま砂浜に倒れこむ。
「……と、刀真?」
雅羅の声に刀真が目を開ける。
「だ、大丈夫か……?」
背中に痛みが走る、恐らく骨レベルまで到達しただろう痛み。だが、刀真は雅羅の前で笑ってみせる。
普通なら抱擁クラスの男気である。
「あのさ……手、どけてくれない?」
「ん?」
倒れた雅羅に覆いかぶさるようにして、刀真の右手は雅羅の胸の上に着地していた。
「うあああぁぁぁ!?」
「ま、いいわよ。怪我も少なそうだし」
慌てて離れた刀真に、起き上がりつつ雅羅がウインクする。
「とー・おー・まー……」
「?」
刀真が左手の行方を目で辿る。
月夜のコンパニオンの衣装をずり下げている彼の左手。
「……月夜」
「なー・ぁー・にぃー?」
怒気と怨念めいたものが感じられる月夜の声。その左手には既にラスターハンドガンが握られている。
「虫刺されは早く直したほうがいい」
真顔の刀真が後退する中、コンパニオンの衣装を直した月夜が立ち上がり、ニコリと笑った後、
「そんなにおっぱいが好きか、このスケベェェ!! あと、どれが虫刺されだぁぁぁー!! 生まれた時からあるわよぉーーーッ!!!」
「ま、待て!! 落ち着け、事故だ! ラッキースケベキターッは事故だ!」
問答無用で月夜の銃が吠える。
「……危なっ!? 死ぬ死ぬ、当たったら俺死んじゃう!」
月夜に蜂の巣にされつつある刀真の様子を見ていた雅羅は「やっぱり厄災ね、私に絡む人全て……」とこぼして、クラゲと戦う豊和、レミリア、ルクセンに合流するのであった。
その後、雅羅が聞いたのは、刀真の怪我の治療がそんなに大した日数かからなかった、という噂であった。最も、その情報を教えた月夜の目は相変わらず雅羅の胸元に注がれていたらしい……。
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