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【空京万博】海の家ライフ

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【空京万博】海の家ライフ
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リアクション


「また、21点……」
「トランプのブラックジャックだね。誰がバーストするんだろう?」
「未散、あなたバーストって駄目な意味だって事わかってる?」
「さ、さぁ、続きましては…‥え? 一気に二人?」
 衿栖とジークフリートに舞台袖にいたレオン・カシミール(れおん・かしみーる)が「巻いて!」という合図を送っている。
「ミスコンならばメディアも利用出来るかもしれんな。 大手のTV局は難しいかもしれんが、地元のTV局ならば動かせる可能 性はある。 交渉してみる価値はあるだろう。」
と、根回しで交渉したレオンは、TV、つまり空京放送局という身近なメディアを利用することで、一気に846プロの名前を広める狙いがあった。
 しかも、彼は今回のミス・セルシウス海水浴場コンテストに846プロが協賛するという情報を告知しておくことが最も重要だろうと考えていた。
「登場するアイドルは誰か、場所、時間等を盛り込む必要があるな。 この情報だけでもファンは集まるだろうが、『846プロからファンへの重大なお知らせがあります!』 この一文が更に集客率を高めてくれるはずだ」
 蓋を開ければ、狙い通りの集客数を集めたのだが、セルシウスが行方不明のためミスコンの開催が遅れてしまう事までは、レオンと言えども読めなかった。
「(このままでは846プロの重大発表が、局の放送の枠に収まりきらん。衿栖よ、巻きで急ぐのだ!!)」
 レオンの意図を汲み取った衿栖が頷き、コールするジークフリートが声を張り上げる。
「それでは、エントリーナンバー5と6,獅子神 玲(ししがみ・あきら)山本 ミナギ(やまもと・みなぎ)の登場です!!」


 チェックのタンキニ姿で何かを食べてる玲と、「みなぎ」と書かれたスクール水着を着たミナギがステージに登場する。
「玲さん? 何故、塗りのお箸を持参なのでしょうか?」
 衿栖が玲の右手に持たれた箸を見る。
「もぐもぐもぐ……ほへはぁ」
「食べてからでいいですよ?」
「これはコンテスト……ですか。フードファイトではなく?」
「ええ……、ひょっとして間違えた?」
 ジークフリートが尋ねると、玲が「うーむ」と考えこみつつ……。
「……そうですか。……私はロケ弁を食べてすぐ帰ろうとしていたのですが……まだ、ご飯は出ますか?」
「……今、食べてたのはロケ弁じゃないですよね? あれは、何です?」
 幽那の問いに、玲が浜辺を指さす。
 先刻の竜巻により浜に打ち上げられた鮫が横たわっている。
「……まさか……」
「私の特技は大食い&早食いです。失敗作のラーメン、伸びきったラーメン、採れたばかりの鮫でも何でもござれなのです」
「悪食ですね」
「……と言う訳で、今は海の家のメニュー全部や、掃除屋で退治されたクラゲや鮫を喰っています」
「ハッハッハ、お兄さんも是非食べられたいものだねぇ」
「五月蝿い。審査員資格とりあげるよ?」
 未散が審査員席に叫ぶ。
「ぶっちゃけ、喰えれば何でもいいです」
「食べる気なんだ……」
 手元の資料をジークフリートが慌てて捲る。
「えーと。そんな玲さんを参加させたのはお隣のミナギさんである、との情報があったのですけど?」
「ふふ〜ん♪ 当然よ!! このコンテストなんてあたしが優勝する為にある様なモノじゃない!」
 ミナギが胸を張る。
「玲も、それにささらも、あたしの引き立て役として参加して貰ったっていうわけ!!」
「……えーと……。じゃあ、お二人には早速、特技等を披露してもらいましょうか?」
 衿栖が『巻き』にかかるも、ミナギは『みなぎ』と名前が書かれた濃紺のスクール水着を着て、色々とポーズを決めている。


「ふむ……スクール水着か。有りと言えば有りだな」
「だが、ラルよ。あの手の暴走系の末路は大体バッドエンドか、改心して純情少女になるかの二択しかないぜ。少なくとも、俺がやったゲームではな」
「シン総統閣下。ゲーム内の女子だけで人間像を語ると、現実で見透かされるでゴザルよ?」

 未散の耳に、的確か否かわからぬ会話が聞こえてくる。
「何か客席から痛い会話が聞こえてくるような……」
 未散の呟きにミナギが即座に反応する。
「は?……その格好痛いんじゃないか?ですって! 何言ってんの! 海とかプールで泳ぐ時はスクール水着だって決まってるでしょ!」
「違うって……。じゃ、ミナギさんの特技の早撃ちと、玲さんの早食い&大食いの特技を早速見せて……」
 だが、既にミナギは魔銃カルネイジ2丁を構えていた。
「ふふ〜ん♪ 見なさい! このあたしのセクシー&キュートな水着姿! そしてこれから見せる特技の早撃ち! あたしがコンテスト優勝に間違いないわ!」
「へー、早撃ちですか? リューグナー審査員、これは楽しみですね?」
 リューグナーが「ふぅ」と溜息をつく。
「? どうかしました?」
「いや。昔、銃タイプの魔法少女と出会ったことがあってね」
「このあたしが瓜二つってわけね!!」
「全然違うよ」
「……」
「まぁ、最後には食べられちゃ……」
「主人公のあたしが食べられるわけ、ないでしょーー!!」
 ミナギが魔銃カルネイジを放つ。
 ドンッ! ドンッ!!
「え……?」
 空砲と思ってミナギがリューグナーに放ったのは実弾であった。
 セルシウスの横で穴だらけになったリューグナーがコテンと倒れる。
「……あ、あの……」
 青ざめるミナギの肩をポンと叩く玲。
「れ、玲……あたし、殺っちゃったぁぁぁ……」
「ミナギ……やっと主人公になれそうですね?」
「そんな主人公嫌ァァァァ!!」
 玲が笑顔で「臭いメシというのがどんなのか、数年後是非教えて下さいね?」と続けている。
「まさかボクを、『ついカッとなってやってしまった、今は後悔してる』の被害者にするとはね?」
「え?」
 ミナギが見ると、リューグナーは先程までと変わらず審査員席にいた。体も無傷である。
「ど……どどどどうして無事なのッ!?」
「ボクの体は……」
 そこにジークフリートが割り込む。
「あの……玲さんにミナギさん? やる気を少し抑えたり、出したりしてくれないかな?」
「足して2で割ると丁度良いんですけどね」
 脱線気味な二人にジークフリートと幽那が困っていると、スタッフが急に新作したカンペを、今や総合司会の座についた衿栖に見せる。
「え!?(エントリーナンバー7も!? もう入場させるの?)」
 衿栖が舞台袖で入場を待つエントリーナンバー7の姿をチラリと見て、驚愕の顔をする。
「あ……あの人は……!?」