イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

【なななにおまかせ☆】アイドル大作戦!!

リアクション公開中!

【なななにおまかせ☆】アイドル大作戦!!

リアクション

 CY@Nの後ろに大勢のバックダンサーが現れて、4つ打ちのリズムに変わる。
 入れ替わり立ち替わり、激しいダンスがCY@Nのステージを盛り上げる。
 しかしこのステージ。多くの人間がCY@Nへと近づくチャンスでもある。つまりは、鏖殺寺院にとって最も自然にCY@Nに呪いを囁くチャンスとも言える。
 隊列の前後入れ替えに混じって二人の構成員が余計な一歩を踏み出す。ポジション移動に思わせる自然な動きを演出する。
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)がパレオを脱ぎ捨てて、構成員の動きを邪魔する。CY@Nへと近づかせない。
 だが、別の二人がその合間をすり抜けようとする。
 が、見えない何かにぶつかり、先に進めずにいると、他のダンサーたちに道を塞がれていた。《光学迷彩》でダンサーに紛れ込んだナナ・マキャフリー(なな・まきゃふりー)フロッ ギーさん(ふろっ・ぎーさん)の仕業だった。音羽 逢(おとわ・あい)が《殺気看破》で構成員を警戒し、二人に邪魔するよう合図していた。
 Bメロでバックコーラスが入る。藤林 エリス(ふじばやし・えりす)エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)が前に出る。構成員への牽制。エリスはひっそりと《リリカルソング♪》の効果発動。
 残りはCメロ。サビを2回繰り返せば、CY@Nのステージは終わる。構成員にとってのチャンスはそう時間がない。焦り始める。
 CY@Nのペンダントが光る。アニス、逢、芦原 郁乃(あはら・いくの)の《殺気看破》にも反応がある。
 声優としての構成員は厳しいチェックで武器の所持を許されていないが、エキストラたるダンサーはその範囲ではない。《光学迷彩》して隠し持っていた武器が露見する。
 サビのフレーズへ。CY@Nが熱唱する。観客が熱狂する。
 ナイフを取り出した構成員がCY@Nへと駆ける。
(そうはいかない! 桃花!)
(はい! 郁乃様!)
 郁乃は秋月 桃花(あきづき・とうか)にアイコンタクトを送り、迎撃のタイミングを合わせる。二人は谷間に隠した【六文銭】を構成員へと投げつける。ステージに甲高い音が鳴るが、演奏の轟音にかき消され、CY@Nの握るダイナミックマイクがそれを拾うことはない。
 手の甲を痛め、二人の構成員は武器を落とす。
 その二人を更にセレンフィリティとセレアナが蹴りつけて奥へと押し戻す。ナイフもステージ端へとステップでアウトさせる。
 別の一人が、踊りの軌道から外れる。外回りからCY@Nに近づこうとしたが、アニスが放った足元への《氷術》にバランスを崩す。
 すかさず逢が《バーストダッシュ》で近づき、顎を蹴り上げる。CY@Nには近づかせない。隠れている仲間へと指示。
(フロッギー殿!)
(任せときな、ミス・ブシドー)
フロッギーが気配を消したまま、【奪魂のカーマイン】を構える。隙をつこうとした別の構成員を撃ち抜く。銃声は曲のSEに勘違いされる。
「何やってるんだアイツら……!」
 ADに扮した工作員が舌打ちした。携帯で合図を送る。
 ダンサーの数が増える。サビ2に入る。演出上何も問題ない。
 更に、何を考えてか、観客席を飛び越えてステージへとプールサイドへ走る者も数名。ファンの暴走と勘違いされる。
「観客席から出てはダメです!」
 逸れた警備役たる父、幸村の代わりに大助が注意するも、一直線に構成員は走る。
 しかし、構成員がステージ前に来ると、壁の様なものに跳ね除けられる。紫月 唯斗(しづき・ゆいと)の巡らせた極細の【絆の糸】が構成員の行く手を阻んだ。
 ステージへと近づく構成員に名刺が投げつけられる。《氷術》で鋭く固まったそれはマットの上に突き刺さる。足が止まる。
「俺が846プロダクション社長! 日下部社や! よぉ覚えとけ! アイドルには指一本触れさせんで!」
「社長、ナイス! よっしゃ! 全部やっつけるぞ、勇刃!」
 社の《名声》を聞き、コルフィスたちが飛び出す。《ちぎのたくらみ》で勇刃をアシスト。勇刃が《バーストダッシュ》で空を飛んで、《爆空蒼炎斬:女王の剣》で【シャンバラ六法全書】を叩きこむ。咲夜は《歴戦の魔術》で迎撃の隙を作り、セレアがすかさず《ブレスオブアイシクル》で構成員を固めた。
 ステージ後ろから増えた構成員にはリアトリスと和輝が一部対応する。
 ステージの奥で和輝がステージへ向かう者を【レガース】と〔武術〕で阻む。リアトリスがその間にサパテアードを踏みつつ後ろへと下がる。和輝の【寄生虫:侵食蟲】に覆われた蹴りとリアトリスの《則天去私》で吹き飛ばす。和輝はそのままダンサーに紛れる。
 ステージ中まで乗り込んだ構成員はセレンフィリティとセレアナが対応。
 セレンフィリティは腰の水鉄砲に偽装した【マシンピストル】を抜き、ガン=カタで舞う。セレアナは素手で演武。プールとへと突き落とす。
 だが、そのプールの中から現れる輩もいるのがたち悪い。
 そういった者をエクスの《光条兵器》が捉え、ナナが《サンダーブラスト》をプールに打ち込んで痺れさせた。塩素を含んだ水は電気がよく通る。
 水飛沫が上がり、曲のクライマックスが演出される。
 スタンドアップ。口笛。熱気がスタジアムを支配する。CY@Nは彼らに大きく手を振った。