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水上騎馬戦


『さて、実況は再び自分。ヴィンゼントがお送りします。今大会最後の種目と行きましょう。『水上騎馬戦』だ!』
 選手たちがプールに入場する。
 騎馬のチーム分けは以下の通り。騎手1、馬2の3人騎馬となっている。

ルカルカ・ルー(るかるか・るー)(騎手)
ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)
カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)


イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)(騎手)
ティー・ティー(てぃー・てぃー)
リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)

金元 ななな(騎手)
レティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)
ミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)

間 千代(騎馬)
叶 白竜(よう・ぱいろん)
世 羅儀(せい・らぎ)

CY@N(騎手)
コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)
アスカ・ランチェスター(あすか・らんちぇすたー)

とその他数騎となっていた。

「そして、この審判を務めるのは、イルミンスールのヒーローこと、この俺クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)です!」
 プール真ん中に固定された浮島に飛び乗り、挨拶する。
「なお、試合中に観客から人が入らぬよう、ワタシ、アルメリア・アーミテージ(あるめりあ・あーみてーじ)が注意いたします。よろしくね」
 先ほどの歌合戦のこともあり、アルメリアが注意を促す。
『では、選手一同準備もできたようですし、開始しましょう!』
「ルールはデスマッチ方式、最後まで鉢巻を取られずに、また騎馬を崩さずに残ったチームの勝利です。それではよーい!」
 パンッと空砲をクロセルが鳴らす。
『まずは、皆距離をゆっくりと詰めていきます。さあ何処で一触即発となるか。現状誰が有利かはわかりませんが、現場のラブ・リトル(らぶ・りとる)さんに各チームの様子を聴いてみましょう』
 音声と映像が小さなアナウンサーのハーフフェアリーに切り替わる。
「はーい。現場アナウンサーのラブです。現場から見ると、やはりCY@Nのチームが一番の注目でしょう。ぶっちゃけ馬のバランスが取れていません!
 次に大きさでいうと、ドラゴンニュートを後ろ馬にしているルカルカチームかな。あの翼を広げられるとあたしは吹き飛びそうです」
「ルカルカどうせなら優勝狙っちまえ!」
 プールサイドから夏侯 淵(かこう・えん)が声援を飛ばす。
「あと、間 千代のチームが非常に目立ちますね……、すごいマッチョです」
 異様なまでに筋肉隆々な女性が映る。ビキニを着ているがあれ本当に女なのだろうか。
「重い……」
 と羅儀が愚痴を漏らす。男手二人でもこの女性はすごく重かった。
「まあ、レディーに失礼ね! これでも一切のムダがないんだから!」
 と意外に可愛い声のマッチョ。無駄に脂肪がなく、筋肉ばかりだから非常に重いのだ。
 体のビルドバランスには羅儀も自信があったが、この女を見るとその男勝りの隆々さに泣けてきた。せっかくビキニ型で乗り込んで来たというのに。
「不平を漏らすなコレも任務です」
 と白竜が叱咤する。表情はいつもと変わらないが、腕の震えをみると結構辛そうである。
「なんかすごいメンツだわ。勝てるのイコナくん?」
 リカインが騎手に尋ねる。
「大丈夫ですわ。ネットで調べた必勝法があるんです」
「必勝法?」
「カメラの前で子どもを真っ先に狙うのはしにくいはず……そこで、他と戦っている人の背中から鉢巻を狙うのですわ!」
「意外とずるがし……じゃなくて、計算してるんですね」
 とティーが作戦を評価する。が、うまくいくとは思えなかった。
「で、あちきたちはどうするんですぅ? なななさん」
 レティシアが予定を聞く。
「第一にCY@Nの安全よね、怪しいのがいっぱいいるし。特にマッチョ」
 とミスティが言う。
「大丈夫。なななには宇宙真理からの声があるから! 何事も万事うまく行くわ」
 なななの言葉に二人はこいつが一番ダメそうだと思ってしまった。