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ここはパラ実プリズン~大脱走!!~

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ここはパラ実プリズン~大脱走!!~

リアクション

   8

 ロビンソンの好意で緊箍を外してもらったアリア・セレスティだが、ここに来て以来食堂での仕事ばかりしていたので、内部構造は全く把握しておらず、迷子になった。
 人気のない部屋を見つけ、どうしようとしゃがみこんでいたところへ、火事騒ぎである。そこはリネン室であったらしく、シーツやカバーが置いてあることに気づいたのも、その時だ。
 アリアは頭からシーツをかぶって、人込みに紛れて刑務所を出た。緊箍がなければ、居場所を気づかれることもない……。
 避難の際に転んだり殴り合いになり、怪我人が多数出たらしく、ロビンソンと別の誰かが治療に当たっているのが見えた。アリアはそっとロビンソンに頭を下げると、こっそりその場から立ち去った。
 一時間ほど荒野を歩いただろうか。日が傾きかけていた。暮れれば気温がずんと落ちるだろうことは分かっていたが、これ以上急いだところで、町が見えてくるとは思えなかった。
 幸いにして廃墟を見つけた。そこで休もうと足を踏み入れたアリアは、硬直した。
 先客がいたのだ。それも緊箍をつけた。
「ほう……こりゃ上物だ」
「おい、こっち来いよ。寒みぃだろ? 一緒に温まろうぜ!」
「い、いえ、いいです!」
 踵を返し、後ろを全く振り返らないように早足で廃墟を出た。
 が、目の前に大男が立ちはだかる。
 アリアは拳を握りしめた。武器は全て取り上げられているが、今ならスキルが使える。
「【我は射す――】」
 言いかけたところで、全身に衝撃を感じた。緊箍をはめられてスキルを使ったときに感じた痺れと同じだった。
 上半身裸の男がぬうっと現れた。その男の首には、何もなかった。
「スキルを使えるのが自分だけだと思ったら、大間違いだぜ?」
 崩れ落ちるアリアの体を、大男が片腕一本で支えた。
 半裸の男の合図で、大男がアリアを廃墟の奥へと連れて行く。霞む目に、落ちている緊箍が映った。【サンダークラップ】を使って外しているのだと思った。しかし、それだけだった。何も考えられなかった。
 上半身裸の男がリーダー格だった。彼のスキルで緊箍を外したはいいが、結果、他の者はスキルを使えず、従わざるを得なくなっていた。
 意識はあったが、それを表すことが出来なかった。男たちは横たえさせたアリアの服を剥ぎ取り、その白い裸体を鑑賞することにした。
 はっはっはっ、と犬のような細切れの息がアリアの上で吐き出される。ぽたり、と涎を垂らした者もいたようだ。
 半裸の男がアリアの胸を掴んだ。形の良い乳房が歪む。
「こりゃあ、いい触り心地だ」
「お、俺にも!」
「慌てるな! 後でちゃんとやらせてやる」
 投げ出された指の先に泥がこびりついている。汚れちゃったな、とアリアは思った。
「反応がねェな、つまらねェ」
 半裸の男が鼻を鳴らした。
「おめェが強くするからだろ」
「くそ、少し弱めにやっときゃよかった。どれ」
 半裸の男はアリアの頬を強く叩いた。ビシリと音がして真っ赤になったが、傍らの焚き火に色が紛れて目立たなかった。
「マグロじゃつまんねェな」
「ま、商売女じゃねェからな」
 半裸の男がアリアに覆いかぶさる。
 緑色の瞳に涙が浮かび、赤く腫れた頬を伝って地面に落ちた。

 ――どうして。
 ――何でこんなことに。

 夜は始まったばかりだった。