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リアクション
―――同時刻。
フライングボードに乗って雪崩を起き易い場所をみつけたハインリヒ・ヴェーゼル(はいんりひ・う゛ぇーぜる)は雪崩を起こす工作を完了させていた。
「じゃあ、あそこの下に東の人たちを誘ってくるね!」
「おう! ちゃんと引き付けるんだぞ」
「分かってるって! 行ってきます」
鶴 陽子(つる・ようこ)はハインリヒにそう言ってスノーモービルで東軍を探しに行くのだった。
「どこにいるかなー?」
女王の加護で辺りを警戒しながら進む陽子。
「お! はっけーん」
陽子の視線の先には隠れもしないで歩いている永谷と刀真、月夜がいる。
わざとエンジン音を高く上げてこちらに気が付けさせた陽子の方に近づいてくる永谷たち。
「ちゃんとついてくるんだよ?」
陽子は見失わない位の早さで逃げていく。
…………
…………
ハインリヒが人工的な雪崩を発生させるための仕掛けを施した雪山の斜面の下まで誘い込んだ陽子はそこで止まる。
「引っかかったね!」
ニヤリと笑い、陽子は風術で視界を悪くする。
それを合図にハインリヒは雪崩を引き起こした。
「……? 視界を悪くしただけじゃ俺たちには」
ズドーーーン!!
自走式人間大砲で飛んで来た鈴と垂が突っ込んで来る。
「痛たた……もう自走式人間大砲になんて乗りません」
「そう言うなって、一気にここまで来れただろ?」
遅れてセシルとライゼも到着する。
「大丈夫ですか?」
「ちょっとずれてたみたいだね。ごめんごめん」
マイペースに四人が会話をしている所へ永谷と刀真、月夜のインカムにリブロから西側全撤退の指示が聴こえてくる。
『……西軍、聴こえるか? 今すぐ遠くへ離れろ、いいな』
「聞いたか?」
「もちろん」
「急いで退散しないといけないわね」
素早い動きでこの場を去る永谷たち。
「え!? もしかしてバレてた? ねぇ、四人とも早くここから逃げて!」
「ん? なんで?」
「私たちがここに雪崩が来るように仕込んだから! 早く逃げないと雪崩に巻き込まれるから。じゃ!」
陽子はスノーモービルの乗り捨てて風に乗りて歩む者を詠唱すると、ハインリヒを拾って共に空中へと退避してしまう。
「雪崩?」
「ここにですか?」
「ヤバいって!! 早く逃げなきゃ!」
「逃げるってどこにですか!?」
重低音と共に雪が流れてくる。
二か所で人為的に起こされた雪崩は双方が合わさり予想以上に大きなものとなっていた。
呑みこまれていく垂とライゼ、セシル、鈴。
「ごめんね……ちゃんとあとで探すから」
「不運だが、致したかない。まずはあの三人を探すぞ」
「うん」
上空から逃げた永谷たちを探す陽子とハインリヒ。
「みっけ!」
移動中の永谷たちを見つけた陽子。
ハインリヒはサイドワインダーを永谷たちに放つ。飛ぶ矢には陽子の風術が纏われ、スピードが上がっている。
放たれた矢を殺気看破とバスファインダーで防ぐ刀真。
「月夜」
「うん!」
月夜の唱えた天のいかづちがハインリヒと陽子に降りかかる。
落下していくハインリヒと陽子。
「このまま終わってたまるかよ」
再びサイドワインダーを放つも同じように刀真に防がれてしまう。
陽子の風術で衝撃を殺して着したところへ月夜のバニッシュが放たれる。
片目をつぶり、バニッシュの効果を半減させた刀真は、目がくらんでいる二人に隙を突いて延髄を蹴り抜いて気絶させた。
「ふぅ……これでよしと」
「お疲れ様。さすがだな」
「そうでもないですよ。さ、ここには他にいないようですし…行きますか」
周囲に潜んでいる敵がいない事を確認すると、移動を始める永谷たち。
◇ ◇ ◇
リブロの撤退指示が護のインカムにも入ってくる。
「リブロがそう言うって事は、あそこを撃破されたってことかな?」
「ん? ちょっと黙って」
ダリルはレオンたちから少し離れ、雪原をじっと見るとハッとしたように大声を出す。
「早くこっから逃げるぞ! 雪崩が来る!!」
レオンたちが移動すると、移動する前までいた場所に雪崩が流れてきた。
「助かった……サンキュウ、ダリル」
「派手にやったみたいだな、リブロのやつ」
「そうみたいですね。ここは砲座陣地からかなり離れているのに」
「もしレオンが雪崩に巻き込まれたらどうするつもりだったたんだよ!」
「まあまあ北斗。こうして現に無事だったんですから、ね?」
リブロに怒りを抱く北斗をなだめる聖。
きつくレオンを抱きしめることでひとまず怒りを収めた北斗。
「さぁ、フラッグまでもう少しだ」
「はい。このまま誰も脱落せずにフラッグまで行くよ」
気合を入れ直し進み始めるレオンたち。
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