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〜扉2〜


 向かい側からやってくる一団に、ジゼルは足を止める。
 宴会場から転送装置に向かっている椎名 真達と、合流したレン・オズワルドや海達だった。
「ジゼルちゃん!」
 柚がこちらへ走ってくる。
「柚、あのね……」
「ヴァーナーちゃんから事情を聞きました。ジゼルちゃんがお母さん達を蘇らせる為に頑張っていたって」
「……柚」
 柚はジゼルの手をとると、笑顔が見せて言う。
「だから私の力で良ければ使ってください」
「え?」
「微力かもしれないけど、俺の力も」
「真!」
「一人で考えずに皆に頼って欲しいな」
「三月まで」
「おい、雅羅に後で謝れよ」
「海君、そういう時は俺の力もって格好良く言う所ですよ」
 柚に指摘されて、海は顔を赤くしてそっぽを向く。
 そんな海の肩に手を置いて、レンが皆に伝える。
「よし、皆話しはその位にして、出口に向かおうか」
「レン、皆をお願いします。
 皆、きちんと話すから。だから待ってて」
 ジゼルの言葉に、皆が笑顔で返すと、ジゼルの顔も自然とほころんだ。
 レンが名残惜しそうにする皆の背中を押して装置に向かう中、メティスがジゼルに向かってきた。
「ジゼルさん、転送装置の場所等は皆にテレパシーで伝えましたから」
「ありがとうメティス」
「お礼よりお食事をしましょう」
「食事?」
「はい、レンの作るアップルパイは美味しいので、是非ジゼルさんにも食べてもらいたいです。
 一人で食べる食事よりも、やっぱり皆で食べる御飯の方が美味しく感じますから」
「……うん!」

 ジゼルが装置に向かう皆の背中を見送る中、一人の人間が残っている事に気が付いた。
 白星切札だ。
「ジゼルちゃん、あなたを雅羅が探していますよ」
 言う事がこれだけでいいのは分かっていた。
 ジゼルが頷くのを見ると、切札は微笑んでその場を後にした。