イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

花屋の一念発起

リアクション公開中!

花屋の一念発起

リアクション

 賑やかな特設コーナー。

「後は、再開と売り子体験を宣伝しないとね」
「客寄せと手伝いのためにアーデルハイドの花妖精にも手伝わせよう」

 ルカルカは『宣伝広告』で店の再開と売り子体験を宣伝し、ダリルはアーデルハイドの花妖精を呼び出した。

 一番最初に訪れたのは、たまたま様子を見に来たエリザベートだった。

「楽しそうですねぇ〜」
 賑やかに店内を見回り、特設コーナーにやって来た。

「エリザベートちゃん。どうしたんですかぁ?」
「あ、エリザベート!!」

 突然のエリザベートの登場に明日香とルカルカは驚いた。

「面白いことになってる気がして来たですぅ」
 そう言って特設コーナーに並ぶ変わった花々を眺めたり、指先で花を突いたりした。
「成功した種は、きちんと渡したから安心して下さいですぅ」
 明日香は、頼まれ事をきちんと果たしたことを報告。
「ねね。ちょっち、花屋の売り子さんやってみない? せっかくだからさ〜」
 ルカルカはエプロンを手に声をかける。

「売り子ですかぁ」
 花からエプロンの方に目を向ける。
「そうそう、誤配達のお詫びになるし、迷惑かけたままじゃエリザベートもスッキリしないでしょ?」
 エプロンを広げて楽しそうに言葉を弾ませる。

「……お詫びですかぁ」
 ルカルカの言葉も一理あるが、売り子をするつもりで来た訳ではなく、様子を見に来ただけなのですぐには即答は出来なかった。
「エプロンして立ってるだけでいいから、ほらほら」
 ルカルカはエリザベートから答えを聞く前にさっさとエプロンを着せた。着せられているエリザベートにも拒む様子は無く、そのままエプロンを装着した。

「うん、似合ってる。すごく可愛いよ」
 最後に花飾りを付けて準備万端。エリザベートはエプロンを見たり、付けて貰った花飾りを触っている。
「可愛いですよ〜、エリザベートちゃん」
 明日香も嬉しそうに手を叩いて喜んでいる。
「仕方無いですねぇ」
 軽く息を吐いてこのまま参加することにした。少しは面白そうという気持ちもあるので。

「あとは……」
 売り子姿のエリザベートに満足した後、ちらりとダリルに視線を向けた。手にはエプロン。
「エプロン。売り子? 俺もか!?」
 差し出されたエプロン。意味を聞かずとも分かる。固持しようとエプロンに手を出さない。
「せっかくだから開発した商品を自分で売ってみたらどう?」
 そう言って少し意地悪な笑みを浮かべ、有無を言わさずにエプロンを着せた。
「……」
 言葉無く、着ているエプロンを見るダリル。
「ほらほら、素敵な営業スマイルは? しないの?」
 ルカルカは楽しそうにダリルをからかった。

 そうこうしている内に店は再開し、多くの客が訪れ始めた。

 客の中には、

「素敵な花屋ね」
「さゆみ、気に入った花はあります?」

 迷惑植物の退治に一役買ったさゆみとアデリーヌの姿があった。
 事情をみんなから聞いたガヤックは彼女達にも礼を言った。

 椿が花を渡した女の子が兄を連れて来店したり、イリアが相手をしたお母さんのために花を買いに来た男の子など、客の数はガヤック一人では対応しきれないほどだったため最後の仕事としてみんな手伝うこととなった。
 売り子体験の人達の対応、花の販売に接客。迷惑植物についての説明など、とにかく大忙しだった。

「元気よくいらっしゃいませだよ」
 売り子体験の希望者の相手をするイリア。

「この花、踊るおもしれぇ花だぜ。踊るだけじゃなくて癒しもあるんだぜ。部屋に置いてみねぇか?」
 共演した花について興味を示している客に宣伝するウォーレン。

「……足りなくなってるわ。倉庫から持って来ようかしら」
 在庫が少なくなっている栄養剤や鉢植えの追加作業するミッシェル。

「最後までお世話をしてあげて下さい」
 花を買いに来た子供に優しく言葉をかける盈月。

「どの子も可愛いじゃないか」
「いつまで考えるつもりだい」
 並ぶ素敵な花達に目移りするエースに呆れるメシエ。

「この花とあの花ですね、少々お待ち下さい」
 舞花は手早く注文の花を揃えて客に渡していく。

「贈り物ですか。ご希望はありますか?」
「この花ならそれほど世話はかからないぞ」
 花屋のリュースとリクトは、次から次へとやって来る客を上手く捌いている。


 花屋シャビーが賑わっていた頃、一番のお客様となったアキラは

「ただいま〜」
「……貴様、いったい何じゃそれは」

 帰宅したアキラの手にある大量の花にルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)は呆れ気味に声を上げた。アキラは花屋シャビーで買ったことを伝え、ルシェイメアの世話を自分でするのかという質問にもきちんと面倒を見ると元気に答え、ルシェイメアを納得させた。

「面倒を見ると言うても結局は、ワシらが面倒を見ることになるんじゃろうなぁ。全くしょうがないヤツじゃ」
 ルシェイメアは楽しげにセレスティア・レイン(せれすてぃあ・れいん)に花について話しているアキラを見ながら少し愚痴った。

「すごい花ですね。色々と役に立ちそうですし。私は、この中でこの花が一番好きです。とても大切に育てられたのが分かります」
 アキラから花のことを聞いていたセレスティアが手に取ったのはガヤックが愛情を注いで育てた花だった。 

 この後、すぐに花達は庭に植えられてセレスティアとルシェイメアがしっかりと世話をしたという。
 不満を口にする花は主にセレスティアがにこにこと微笑で対応し、庭や植物の健康管理人として役に立って貰い、増殖する花には蔦が絡まる所を作ってやりつつ垣根のようにし、散歩する花はその垣根で放し飼いにした。
 そして時々、散歩する花と外を歩きながら興味を持った人に花屋シャビーを宣伝したという。


 迷惑植物事件後、花屋シャビーは再びいつもの静けさに戻った。ただ、騒ぎ当日と違って爆発的ではないが時々、客が来て幸せそうに花を買って行った。
 ガヤックの表情も笑顔になり以前よりもずっと花達に愛情を注いでいる。事件によって大事なのは、店ではなく花であり、花を愛する自分、そして訪れた人の心を幸せにすることだということをもう一度肝に銘じ、花とこの場所を失わないようにと努力も怠らなかった。今度は正しい努力の仕方で。

担当マスターより

▼担当マスター

夜月天音

▼マスターコメント

 ゲームマスターを務めさせて頂きました夜月天音です。
 参加して下さった皆様、本当にありがとうございます。
 
 皆様が考えて下さったアクションが少しでも上手く表現出来ていれば、ありがたいです。あまりにも力量不足で申し訳ないです。

 今回は、売り上げ不振に悩む花屋さんを舞台にしてみました。不振のあまりに大切な物を見失い、短絡的な事をしてしまう始末。しかし、皆様のおかげで何とか足腰強く店長は踏ん張ることが出来ました。大切なことや解決策は、意外に身近な所にあったりするものです。

 最後に面白いアクションや嬉しい私信をありがとうございました。
 ほんの少しの時間でも楽しんで頂ければ幸いです。