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リアクション
「鬼ごっこですか? 七乃もやるですー!」
「ちょ、ワタシはお人形サンじゃないヨー!」
情報収集という目的も忘れ子供たちと遊び始める四谷 七乃(しや・ななの)と、人形のような外見が子供たちのハートをがっちりキャッチし、遊ばれているアリス・ドロワーズ(ありす・どろわーず)。
「あら?」
そんな喧騒の中、雅羅・サンダース3世は、遊んでいる輪の中に、知っている人物とどこか似た顔の子供を見つけた。
しかし気になったのも一瞬。
「さあ、雅羅も作って作って」
想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)から割り箸と輪ゴムを渡された。
「え? これはどうすれば……」
「よし、みんな! 今から割り箸ゴム銃の作り方を教えるからね!」
いつの間にか教壇に立っているのは想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)。
夢悠の手でみるみるうちに出来上がっていく玩具に、子供たちの視線が集まる。
「ほら、完成! とっても簡単だから作ってみてね。できたらこれで一緒に遊ぼう」
遊ぼう、の声に子供たちは目を輝かせて作り始める。
「あ、そこはもうちょっと短い方がいいかなー。そうそう」
瑠兎子が子供たちの様子を見て回る。
「おにーちゃん、これどう!?」
「うわあ、すごく上手にできたね!」
自分が作り上げた玩具を誇らしげに手にする子供たち。
「それじゃあ、今から射的ゲームを始めよう! あそこの的に上手に当てたら、プレゼントがあるからね」
いつの間にか、木でできた的が5つ並んでいる。
「このおねえさんが見本を見せてくれるからねー」
瑠兎子がずずい、と雅羅を前に押し出す。
「ちょ、私?」
「ね、お願い!」
いきなりの指名に戸惑うが、子供たちの視線を受けてやれやれ、と割り箸銃を構える雅羅。
ぴちん。
ぴちん。
ぴちん。
ぴちん。
ぴちん。
「……おぉー!」
全弾、見事に的に命中した。
「わあ、すごい! ね、海くん、やっぱり雅羅ちゃんは上手ですね」
「……まあ、あれくらい当然だろ」
雅羅の割り箸銃の腕前を見て、杜守 柚(ともり・ゆず)は思わず高円寺 海の袖を掴む。
それに、憮然とした表情で答える海。
機嫌が悪いわけではない。
居並ぶ子供たちといまひとつ上手くコミュニケーションが取れず、どうしたものか考え込んでいたのだ。
「そんなに構えることないよ。自然体で付き合えばいいんだ」
杜守 三月(ともり・みつき)も海に声をかける。
「別に構えているわけじゃ」
「柚なんてほら、すぐに子供たちと馴染んでるよ」
「え、そうかな……」
「背の高さ的には、すぐにね」
「も、もう! それは関係ないじゃないでしょ!」
少し拗ねた様子でぽかぽかと三月を叩く柚。
「ああ、たしかに。身長の低いことにそんなメリットがあるとはな」
「海くんまで……」
むう、と頬を膨らませてみせる柚。
しかしすぐ、気になる人物を見つけて真面目な表情になる。
「どうした?」
「あの子…… なんだか、気になるんです。見てると、胸が締め付けられるような……」
柚の視線の先には、楽しげに笑う少女、スノの姿があった。
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