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全力! 海辺の大防衛線!

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全力! 海辺の大防衛線!
全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線! 全力! 海辺の大防衛線!

リアクション

「フハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクター・ハデス(どくたー・はです)! ついに、我らオリュンポスが世界征服を成し遂げる時がやってきた!」
 海を背にして高笑いするハデス。結界の力が逆に間違ったほうに作用してしまったらしい。
「なんや、暴走してるのがおるね……」
「意思の力が実現する結界ですからね……、そういうことも実現してしまうというこの結界の悪い例ですね」
 奏輝 優奈(かなて・ゆうな)エッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)の二人が今だ高笑いしているハデスを見る。
「でも、あのままで良いのですか? モンスター達が協力してくれるってわけでもなさそうですが」
 長原 淳二(ながはら・じゅんじ)がハデスの後ろを指差す。そこには海から出てきたモンスター達がゆっくりと向かってくる。
「良くはなさそうだけど……。でも、ハデスさんは邪魔してくるだろうし……。どうする、優奈?」
 レン・リベルリア(れん・りべるりあ)が優奈に話を振る。優奈は少し考え込んで……。
「敵さんと一緒に吹き飛ばそう!」
 まとめて倒すことを選択した。
「それで、良い……のでしょうか?」
 ミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)が困った表情をしながらも尋ねる。
「まぁ、邪魔されるのであれば、倒すしかありませんね。でないと私達が危ないわけですから」
「何か面白そうな事が始まるみたいだね! ボクも混ぜて欲しいな!」
 会話に割り込んできたマイキー・ウォーリー(まいきー・うぉーりー)。その後ろにはセリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)玉藻 御前(たまも・ごぜん)
「楽しいかどうかは分からないけど……。戦闘が始まるよ」
「ククク、ついに我らオリュンポスの世界征服の尖兵たるナラカの怪物達が、我が召喚に応じ地上へと現れた! さぁ、我らオリュンポスも、ナラカの使徒と共に世界に混乱と混沌を広めるとしよう!」
 話し合っているメンバーをよそにハデスのテンションは最高潮に達していた。
「ボクの愛の力を見せてあげるよ!」
 真っ先に敵に突っ込むマイキー。
「おぬし達、すまぬが、あやつの行動を気にかけておいてはくれまいか?」
「この結界の中で力が半分解放されているようだ。だから何か騒動を起こすと思う。そうならないように見ていて欲しい」
 マイキーが行った後、玉藻とセリスが他のメンバーに注意を促す。
「わらわが行ければ良いのだが、この本体ではない身体では満足に戦うことも出来ぬ」
「俺は玉藻の護衛をしなければならないから、ずっとあいつを見ていることが出来ない。だから頼む」
「なるほど。分かりました、何か騒動が起きそうなら止めておきます」
「多分、大丈夫じゃないかな? みんな盛大にやるだろうし」
「そうやね。ウチも最後にデカイのやるから何が起きても平気や!」
「すまぬ。よろしく頼むぞ」
「それじゃ、俺達も行きましょう。ミーナ、準備は良いかい?」
「大丈夫です」
「っと、その前に……」
 優奈が『パワーブレス』、『ゴッドスピード』を全員にかける。
「ウチは準備があるからその間、みんな頼むで! なるべく一箇所に集めといてほしいんや」
「一箇所ですね。それならお任せを」
「じゃあ、行こう!」
 優奈、セリス、玉藻の三人をその場に残し、他のメンバーは先陣へ。
「それじゃ、まずは召喚獣達の出番やな」
 優奈は『水竜・ラヴィーネ』、『魔刀・エクレール』、『魔剣・デフェ―ル』、『兵長・スサノオ』、『機竜・イグナイト』、『機竜・アバランシュ』を召喚。
「アバランシュ、ラヴィーネ、イグナイト、スサノオは周囲から、エクレールとデフェールは飛び回りながらちまちま攻撃して、モンスター達を包囲するんや。頼むで!」
 優奈の言葉を聞いて、召喚獣達が散開していく。
「ウチはどこかに隠れて……」
「準備は時間かかるのか?」
 どこか隠れ場所を探す優奈にセリスが声をかける。
「それなりにかかるやろな」
「なら、俺が玉藻共々護衛しよう。すぐに始めると良い」
「ありがとな! それじゃ、早速……」
 優奈はすぐさま詠唱準備を開始する。セリスはいつ敵が来ても良いように『ホエールアヴァターラ・バズーカ』を手に臨戦態勢をとる。
「皆の勇士、見物させてもらうとしよう」

「優奈さんの準備はどれくらいかかりますか?」
 前線へでたメンバー達。エッツェルがレンに聞くとレンは首を横に振る。
「分からない。けど、『今日はせっかくやから、あのスキルを使うで!』って言ってたから結構かかるかも」
「なるほど……。結構時間はありそうですね。皆さん頑張りましょう」
「僕が前線で暴れまくるよ。もしかしたら被害が及ぶかもしれないから気をつけて」
 レンが『ブラッディエンブレイス』を持ち、『神降ろし』で自身を強化。
「行くよ!」
 更に『ヴァンダリズム』を使い敵の群れに突撃し、その剣で有象無象をなぎ払う。
「よし、俺も行こう。こいつで良いかな」
 涼二が倒されたモンスターから死霊を作り出し、敵を攻撃させる。そして、その死霊を操りながら自身も後ろから『ファイアストーム』で敵を焼き払う。そして、倒したモンスターを死霊に変え、数を増やしていく。
「私も援護します!」
 ミーナも涼二と共に後方から『ファイアストーム』や『サンダーブラスト』等魔法で援護。
「では私も……」
 エッツェルがレンの倒したモンスター達の屍のもとへ。
「その身朽ち果てても、尽きることなき無念と怨嗟を湛えし亡者達よ。我は、汝を導く標であり灯火である」
 エッツェルが詠唱を始めると、周囲の屍がカタカタと動き出し始めた。
「我が声を聴け、我が念を感じよ。我が命に従い、敵を討て。その亡骸に刻みつけよ、汝の真なる主の名を……。我が名! エッツェル・アザトース」
 詠唱が終わると同時に『フールパペット』発動。周囲のモンスター達がエッツェルの支配下に。その数はゆうに百を超えていた。
「更に……」
 支配下に置いたモンスター達に『侵食のネクロポリス』を発動。モンスターがモンスターを攻撃し、死人を増やしエッツェルのモンスターがどんどんと増えていく。
「さぁ、皆さん行きますよ」
「これはすごいね!」
 エッツェルや涼二のモンスター達を見たマイキー。おもむろにかぶっていた帽子を取る。
「ボクもやってみるよー!」
 『ヒロイックアサルト:【トリックスター】』を発動すると、帽子からナラカのモンスター達がぞろぞろと出てくる。ただ、身体の色が赤やピンクだったり、全身バラ衣装だったりと、格好が奇怪なモンスター達ばかりが出てくる。しかも、踊っていたりして攻撃するようすもなく、ただ邪魔なだけ。
「これはある意味すごい光景ですね」
 涼二が目の前に広がる光景を見て呟いた
「なんてこった!? これは怪獣総進撃ってやつだね!!」
「むしろ、百鬼夜行と呼ぶべきでしょうね」
「これはひどい……」
 前で戦っていたレンが後ろから迫る百鬼夜行を見て呟いた。
「咲耶! アルテミス! ナラカの使徒と協力し、邪魔な契約者どもを退けるのだ!」
「っと、見とれてる場合じゃないや!」
 ハデスの言葉にレンが再度前を見るとそこには高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)アルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)の二人。この二人もハデス同様悪いほうに作用しているのか、ナラカのモンスター達を敵だと認識していないらしい。
「フハハハ! さぁ、その力を思う存分見せつけ、ナラカのモンスター達を結界の外に開放してやるのだ!」
 ハデスが『優れた指揮官』で二人に指示を飛ばす。
「はい、分かりました。ハデス様、この悪の幹部サクヤが契約者達の相手をしましょう」
「この暗黒騎士アルテミスが、契約者の皆さんのお相手をします。さぁ、かかってきてください!」
「一人で二人相手は厳しいかな……」
 呟くレン。そこに百鬼夜行を従えた四人が到着。
「俺達が片方を相手にしますよ」
「愛の力があれば負けることはないさ!」
「私がレンさんの援護をしますね」
「ありがとう! 行くよ!」
 レンが突撃するのと同時にアルテミスが剣を抜き動く。
「せやっ!」
「甘いです!」
 レンの攻撃を真正面から受け止め受け流すアルテミス。
「喰らいなさい!」
 そのまま流れるように繰り出されるアルテミスの突き。レンはすぐさま横に身体を反らし回避。
「予測済みです!」
 突き出した剣をそのまま横に振る。
「っと!」
 レンはすぐさま剣でそれを防ぐ。
「いきます!」
 ミーナが『サンダーブラスト』を放つ。
「くっ!」
 すぐさまアルテミスはバックステップで回避。レンも一度態勢を立て直すため距離をとる。
「なかなかやるね……!」
「そちらこそお見事です」
 二人は再度剣を構え、対峙する。