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全力! 海辺の大防衛線!

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全力! 海辺の大防衛線!
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リアクション

 拠点、左翼を守るのは猪川 勇平(いがわ・ゆうへい)ウルスラグナ・ワルフラーン(うるすらぐな・わるふらーん)葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)セイレム・ホーネット(せいれむ・ほーねっと)鋼鉄 二十二号(くろがね・にじゅうにごう)
 吹雪の『要塞化』で防衛陣地が作られており、『ドッグズ・オブ・ウォー』によって雇った傭兵団もすでに待機している。
『こちら和輝。数的にはそこまで多くはないようだ。ただ、大型モンスターが数体ほど発見されているため、警戒して欲しい』
「了解!」
 小隊ほどの数のモンスター達がいくつかに分かれ、攻め込んでくる。
「奇襲だから数が少ないのであろうな」
 前線に立つのは勇平とウルスラグナ
「でも、全力全開で戦える良い機会。いくぜ、龍達! お前等の力を俺に貸せええぇぇ!!」
 勇平の身体に宿る龍の力が勇平を極限まで強化する。
「今の俺と相対したこと、後悔させてやるぜ! 抜剣!」
 勇平の掛け声に反応し『機工剣『ソードオブオーダー』』が刀身一メートルほどの片刃の剣に変形。そのまま突撃。
 それに備え、モンスター達も身構える。
「吹き飛べっ!」
 突進した勢いを生かした、回転斬り。盾で防ごうが関係はない。威力に押され、そのまま弾き飛ばす。
「ふふ、全力で戦える、このような機会、二度は恵まれない。ならばもっと派手にやっておくべきとは思わぬか?」
 楽しそうに笑うウルスラグナ。
「伝承では悪神、悪霊と戦っていたという、伝説を再現するには不足無い敵だ。存分に蹴散らしてやろうではないかっ!」
 ウルスラグナが『ヒロイックアサルト』を発動。【アワタール】10の化身を発現。
「第1の化身【強風】!」
 敵小隊の中心で強力な風が発生。全てを吹き飛ばした。
「やるな……、俺だって!」
 勇平も負けじと敵を蹴散らしていく。敵小隊が少しずつだけど、後退を始める。
「逃がすか!」
『ねぇねぇ、和輝。敵が変な動きしてるよ?』
 突然入ったアニスの通信。
『変な動き……! 二人とも相手の罠だ! 今すぐ後退を!』
「なに……?」
 時すでに遅し。二人を挟み込むように地中から二体のゴーレムが出現。
「挟み撃ちか……。この程度やってやる!」
「その程度で我に勝てると思うなよ」

『こちらスノー! 吹雪さん、孤立した二人の救出を!』
「了解であります! みんな行くでありますよ!」
「おー!」
 吹雪の『士気高揚』。傭兵団の士気が上昇。二人を救出するために行動を開始。
『……! グリフォン接近!』
 その吹雪達の前に巨大な翼獣……グリフォンが降り立つ。更にスケルトンや落ち武者の増援。
「これではすぐに助けにいけないであります……! 総員、直ちに迎撃開始! 急いで倒して二人の救援に向かうでありますよ!」
 吹雪が『優れた指揮官』で指揮を取る。
「……!」
 防衛陣地前の塹壕から『六連ミサイルポッド』を乱射する二十二号。
「えいっ!」
 セイレムも、『歴戦の魔術』で攻撃。
「せっかくお料理を作ったのに……喰らえ、喰らえー!」
 『謎料理』で作った料理を配ろうとして吹雪に止められたセイレム。その鬱憤を叩きつけるかのように魔法を乱射する。
「怯むな! 撃てー!」
 傭兵団もグリフォン向けて銃を乱射。弾幕による銃撃戦法。増援のスケルトンや落ち武者が次々と倒されていく中、グリフォンは翼を羽ばたかせ風圧を展開。全ての弾丸がグリフォンに届くことはなく軌道を逸らされてしまう。
 グリフォンの反撃。風圧をソニックブームのように乱射してくる。
「ぐわー!」
「ぐはっ!」
「くっ! 負傷者を運び出せ! 他の者はその援護を!」
 傭兵団にかなりのダメージを与える。
「…………!」
 塹壕を破壊され、二十二号も脱出。
「なかなかやるでありますね……! 負傷者は防御陣地へ! 戦えるものは前へ! ここが踏ん張りどころでありますよ! 自分も出るであります……!」
 指示を出しながら吹雪も前線へ。

「はぁっ!」
 一方の勇平達。動きの鈍いゴーレムに攻撃を加えるが、あまりの硬度になかなか攻撃が通らない。
「くそっ! 硬すぎる……!」
「第五の化身【野猪】!」
 ウルスラグナは化身の力を使った突進力を生かし、そこからの『G−ソード』による横薙ぎ。だが、ゴーレムが大きく仰け反るだけで、思うようにダメージを与えられない。
「なかなかやるではないか……!」
 二人ともゴーレムから一度距離をとり、背中合わせで立つ。
「これじゃ、倒すのに時間がかかりすぎる……!」
「防衛陣地も被害を受けているようだ。早くこの状態を抜け出さなければなるまい」
「一気に突破して一度防衛陣地に……」
 勇平の言葉に首を横に振るウルスラグナ。
「このゴーレムまで連れて行っては余計に危なくなるであろう。急ぎ倒し救援に向かうのが得策だろう」
「くそ! どうすれば……!」
『久秀よ。よく持ちこたえたわね。褒めてあげるわ』
 考える二人に久秀からの通信が入る。
「動き自体は遅いからな……でも、何か良い案はないか? このままじゃ防衛陣地が危ない」
『今、チャンスを作るわ。三番隊、ゴーレムと戦闘中の契約者を援護』
 重火器を持った『親衛隊員』現れ、がゴーレム向けバズーカを発射。二体のゴーレムにいくつものバズーカが命中。そして、各部位に亀裂が入る。
『さぁ、後は任せたわ。三番隊、そのまま四番隊と合流。グリフォンと戦闘中の契約者を援護なさい』
「ありがとよ!」
「さぁ、一気に片をつけるぞ!」
 勇平とウルスラグナがそれぞれのゴーレムへと走る。
「この一撃で……!」
 ゴーレムのパンチを回避。そのまま、腕を伝い駆け上がる。目指すは頭部に出来た亀裂。
「おわりだぁぁぁ!!」
 ジャンプからの『一刀両断』。その一撃は頭部から全身にかけ亀裂を作り、ゴーレムを粉砕した。
「よしっ!」

「第五の化身【野猪】!」
 ウルスラグナは再度、化身の力を使い、ゴーレムの懐へ。狙うは、亀裂が入り少しだけ見えている胸部のコア。
「倒れるが良い!」
 そこに繰り出される刃を地面に水平な状態で相手を突く、水平突き。脆くなった岩を砕き、コアを貫いた。
「さらばだ」
 そして、そのままゆっくりとゴーレムが後ろへと倒れ、完全に機能を停止した。
『こちらスノー、久秀の兵が準備を終えているわ。グリフォンの背後から奇襲をお願い!』
「了解!」
 二人は急いで防衛陣地へ走る。

「みんな、頑張るであります!」
 グリフォンに苦戦する吹雪達。だんだんと数を減らされ押され始めている。
「まだだ。まだ俺たちは負けてねぇー!」
 吹雪の存在もあってか傭兵達の士気は下がっていない。
「くらえ!」
 風圧を封じるため接近し剣を振るう傭兵。だが、グリフォンはその鋭い爪と尻尾でなぎ払う。
「ぐはっ!」
「一人やられた!」
「まだだ! 諦めるな!」
「そうであります! まだ自分達は負けたわけではないでありますよ!」
 吹雪が『士気高揚』で傭兵達を鼓舞。本人も銃で支援する。
『こちら和輝。援護がもうまもなく到着する。それまで持ちこたえてほしい』
「……! みんな、聞いたでありますね! 奮起するでありますよ!」
「おおー!!」
 和輝の通信を聞き、全員の士気があがる。
「いくよ!」
「……!」
 セイレムと二十二号の魔法とミサイルのコンボ。グリフォンが翼を羽ばたかせようと翼を広げる。
『三番、四番隊。攻撃開始』
 それを阻止するように久秀の『親衛隊』と『飛装兵』が翼を攻撃。羽ばたきを阻止し、ミサイルと魔法が全弾命中する。
「待たせた!」
「援護しよう」
 勇平とウルスラグナが後ろから奇襲攻撃。戦況が一気にひっくり返った。
「今であります! 全隊総攻撃!」
「撃て撃て撃てー!」
 傭兵達も銃を乱射。さすがのグリフォンもダメージを受け、空へと逃げようとする。
「逃げる気か!?」
「止めるであります!」
 風圧を周囲に起こし、その間に飛ぼうとするグリフォン。
「……!」
 そこに二十二号が走りこみ、グリフォンの頭に乗る。
『翼を攻撃。落しなさい』
 久秀の『飛装兵』が飛びながら翼を攻撃。
「……! ……!」
 二十二号は、グリフォンの顔面を殴る殴る、更に殴る! とにかく殴る! これでもかというぐらいに殴る!
 しばらく暴れたグリフォンだが、そのまま落下。地面に落ちると完全に動かなくなった。
『……敵殲滅を確認。ご苦労様』
「勝ったであります!」
「おおー!!」
 全員が歓声を上げる。
「負傷兵の治療をするであります。みんな手伝って欲しいであります」
「了解!」
 全員は一度防衛陣地に戻り負傷者の手当てを始めた。