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リアクション
戦局も終盤。量よりも質で来るナラカのモンスター達。ついには、ドラゴンまでその姿を現した。
「おっ! やっとドラゴンが出てきたね。このときを待っていたよ〜。バッサバッサと敵を仕留めて、レディに良い所を見せるぜ!」
「…………」
ドラゴンを確認して嬉しそうな桐咲 ジャック(きりさき・じゃっく)と精神を研ぎ澄ましているレギオン・ヴァルザード(れぎおん・う゛ぁるざーど)。
「おいおい、俺たちもいるんだから獲物の独り占めなんてさせないぜ?」
その二人の後ろにはロア・ドゥーエ(ろあ・どぅーえ)、グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)とウルディカ・ウォークライ(うるでぃか・うぉーくらい)。
「まぁ、競っているわけでもない。協力してさっさと終わらせよう」
「それもそうですな。ちゃちゃっと終わらせますか〜」
ドラゴン数体とデュラハン、オークなど、中型モンスターが五人の前に現れる。
「んじゃ、行くぜ! 俺が敵に突っ込んでいくから、グラキエスは遠慮なく魔法をブチかましてくれ!」
「分かっている」
ロアが『超感覚』を発動。山羊の角がねじれて大きくなり、瞳孔が縦に割れ、爪と牙が鋭く伸び、魔族よりの姿へと変貌する。
「楽しくやろうぜ! グラキエス!」
「あぁ、あなたと一緒ならきっと楽しくやれる」
グラキエスが体内に凝り固まった魔力を放出し始める。
「さぁ、パーティーの始まりさ!」
「……行くか」
ジャックの言葉にロアとジャックが一目散にレギオンがゆっくりと敵へと向かっていく。
「ウルディカ、あなたは離れていた方が良い。この空間でなら、狂った魔力を暴走させる心配は無い。あなたは自分の身を守ってくれ」
グラキエスの身体を侵食し蝕む、狂った魔力。それを『魔力解放』で一気に解放する。
「これが……(世界を蝕む災厄、その一端。未成熟な上に全ての力を解放してもいないと言うのに、これ以上近づけん)」
ウルディカはそう考えながら、グラキエスから距離をとった場所でグラキエスを見る。
「ロア・ドゥーエ……(俺は、あの男の性質を取り込んでいるというのに。所詮は借り物の力、俺自身では役不足と言う事か)」
前方で、獣のように戦うロアを見て、自分の体たらくに歯噛みするウルディカ。そして最後に再びグラキエスを見る。
「エンドロア……(今はその男に譲ろう。だが、次は俺がお前の側に立つ)」
そう決意して、銃を取るウルディカだった。
「おらっ!」
ロアがその鋭い爪でオークを切り裂く。
「それっと」
ジャックも『ヒロイックアサルト【Rip Servic】』でオークやデュラハンの急所を狙いがんがん攻める。
「邪魔なんだよ!」
ロアがデュラハンに飛び乗り押し倒す。地面に叩きつけ、バキバキッ! と鎧が曲がる音を響かせながら力任せに押しつぶす。
「鎧? そんなの俺様には関係ないよ?」
ジャックは鎧の脆い部分を見抜き、そこを集中的に攻撃。あっという間にくず鉄に変える。
「堕ちろ」
グラキエスが狂った魔力の闇で強化された『ブリザード』と『エンドレスナイトメア』が複合した魔法を放つ。闇の吹雪が相手を一瞬にして闇の氷の棺へと葬る。
「……」
暴れているメンバーの中、静かに武器を構えるレギオン。
「ただ、無慈悲に……」
手に持った『光条兵器』である『宵ノ月』と『特殊仕様軍式刀『闇キ夜』』が鋭い剣閃を描く。
「無感情に……敵を斬る」
何も考えず、ただ敵を斬ることだけを追い求める。その剣は敵の急所を突き、瞬く間に屍の山を作り上げる。
「……撃つ」
そして、その死角をカバーしているのが、ウルディカの『黒曜石の銃』による射撃。
「……そこだ」
ウルディカは全員の動きを観察し、精確にメンバーの死角に入っている敵を撃ち抜いていく。
「ガウアァァ!」
ドラゴンの咆哮。それと同時に一体のドラゴンが低空飛行をしてグラキエス目掛け飛んでいく。
「むっ……!」
詠唱中のグラキエスを狙うドラゴンの牙。
「させるかよ!」
だが、それを阻止したのはロア。ドラゴンの首を掴み、そのまま握りつぶして息の根を止める。
「助かったよ、ロア」
「お前を狙う奴は全部俺が引き受けるから、安心してくれよ。一緒にいて、守ってやるって約束だからな!」
「……そうだな」
ロアの言葉にしっかりと頷くグラキエス。
その間にもドラゴンが次々と現れる。一番奥には、他の個体より大きめのドラゴン。
「一番後ろの奴がボスってところだな」
「そこまで一気にやりますか」
「遅れるなよ!」
ロアとジャックが同時に動く。
「そらっ」
「喰らえっ!」
ジャックが急所を攻撃し、怯んだところにロアの一撃。
「そらよ!」
「よっと」
ロアが深手を負わせ、ジャックの精確な一撃。二人が交互に連携し敵を倒す。
「行くぞ」
そしてグラキエスが複数のドラゴンを氷の棺の閉じ込め
「あらよっと」
「終わり!」
それを二人が一瞬にして砕く。
「…………」
ただ喋ることも無く斬り崩すレギオン。背後にドラゴンがいるが、その額に風穴が開き後ろに倒れる。
「……エンドだ」
風穴を開けたのはウルディカ。
こうして、五人は瞬殺を繰り返し、最後のドラゴンへ。
「ガウァァァァァ!!」
ドラゴンのブレス。
「届きはしない」
グラキエスの魔法が相殺。それどころかそのまま押し破り、ドラゴンに命中。氷はしなかったものの、ダメージが大きいのかもがいている。
「今!」
「おらおら!」
「……ふっ!」
近接メンバー三人の高速連撃。あっという間にボロボロになるドラゴン。
「ガウァ!!」
ドラゴンの尻尾によるなぎ払い。三人は当たりはしなかったものの、その範囲内にはグラキエス。
「ちっ!」
グラキエスは防御態勢でダメージを軽減しつつ、受身を取る。
「グラキエス!! てめぇ……! よくもやりやがったな!!」
それを見たロアが激怒。手足を使い、高速で駆け。ドラゴンを切り刻む。そして、ドラゴンの首筋に噛み付き、そのまま噛み千切る。その動きはまさに狂獣と呼ぶにふさわしい動きっぷりだった。ドラゴンが崩れ落ちる。だが、ロアは更にドラゴンを滅多刺しにする。
「ふぅ……。グラキエス! 大丈夫か!」
全ての敵を倒して元に戻ったロアがすぐさまグラキエスへと駆け寄る。
「大丈夫だ。大した傷ではない」
実際大したことも無かったようで、何事もなく振舞う。
「そうか……なら良かったぜ」
「無事か?」
レギオン達も駆けつける。
「あぁ、問題ない」
「あの攻撃を喰らって問題ないとはさすがだね〜」
「心配をかけてすまないな」
「そういうことなら構わない。さて、とっとと戻るとしよう。ここにいても意味はないからな」
「そうだな」
「グラキエス」
踵を返す面々。そこでロアがグラキエスを呼び止める。
「……なんだ?」
「……腹が減った。少し血をくれないか?」
お腹を押さえるロア。それを見てグラキエスは微笑しながら、
「好きにするといい」
ロアに血をご馳走するのだった。
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