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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 4

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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 4

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第1章 1時間目・昇級発表

 “まもなく1時間目の授業が始まりますよぉ〜!!”と、エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)が大声を上げる。
 生徒たちはスペルブックや筆記用具を入れた荷物を抱え、教室の中へ入っていく。
「授業に参加する方は、免許を見せてください〜」
「持ってきたよ。樹ちゃんも、持ってきたよね?」
「―…これだな」
 緒方 章(おがた・あきら)林田 樹(はやしだ・いつき)がエリザベートに免許を見せる。
「どうぞ、お入りください♪」
「どこの席にしようか、樹ちゃん」
「最前列は実技の時、後ろの列に下がれと言われそうだな。前から4列目でよいんじゃないか?」
「じゃあこの辺りね」
 章はカバンを開け、筆記用具と魔道具をテーブルの上に置いた。
「ペンダントと宝石の授業を受ける者は、何人くらいいるのだろうか?」
 見知った顔の者がいないか、樹が教室内を見回す。
「む…。イルミンスールの料理人、こっちで一緒に講義を聴かないか?」
「ふむ…。ミリィ、樹さんの隣に座るんだ」
「はい、お父様」
 ミリィ・フォレスト(みりぃ・ふぉれすと)は小さく頷くと樹の隣に座り、机にノートを広げてシャーペンと色ペンを出す。
「隣、空いてるか?」
 2人分のスペースがないか、夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)に聞く。
「あぁ、今のことろ誰もいないが。皆、少し詰めてくれ」
「机の下に荷物を置くところがあるから。そこに入れておこうか、樹ちゃん」
「必要な物だけ出しておけばいいな」
 樹はカバンの中から魔道具を掴むと、ノートの傍に置いた。
 後ろの席では、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)たちが授業を受ける準備をしている。
「いろんな宝石があるけど。ワタシは、これを究めてみたいなぁ」
「弥十郎なら別の漢字変換の方を目指しそうね」
 彼が持っているペンダント中にある宝石を見つめ、“窮める”意味で目指しそう…と思った賈思キョウ著 『斉民要術』は農業専門書は、ふぅ…とため息をついた。
「弥十郎さん、隣いいですか?」
「うん、いいよ。歌菜さん」
「空いてるみたいですよ!」
 遠野 歌菜(とおの・かな)七枷 陣(ななかせ・じん)たちを手招きする。
「陣さんは実技受けますか?」
「んや、今日は聴いてるだけやね。歌菜ちゃんたちは自習時間、何か予定ある?」
「ありませんよ」
「おー、じゃあアイデア術に強力してほしいんやけど」
「いいですよ!」
「術もいいが、ちゃんと講義も聴かないとな」
 ペンケースからシャーペンを出し、月崎 羽純(つきざき・はすみ)はいつでもメモを取れるように準備する。
「椿ちゃん。こっちの席で、一緒に授業を受けませんか?」
「は…、はい。では、スオウさんのお隣の席に…」
 レイカ・スオウ(れいか・すおう)に呼ばれ、白雪 椿(しらゆき・つばき)はパタパタと駆け寄る。



 授業開始の合図を告げるベルの音が校内に響く。
 2人の先生の講義を聴こうと、雑談していた者たちは速やかに席に座る。
「前回のホームセンターでの実戦で、ビショップ・ランク5に昇級した方々の名前を呼びますぅ〜!!―…涼介・フォレストさん、佐々木 弥十郎さん、賈思キョウ著 『斉民要術』は農業専門書さん、七枷 陣さん、遠野 歌菜さん、レイカ・スオウさん、白雪 椿さん!!」
「お父様、おめでとうございます」
 涼介の昇級を祝おうとミリィが拍手する。
「ありがとう、ミリィ」
「やったね、斉民。ワタシたちも昇級したよ♪」
「うん。弥十郎は前半、ほとんどあわあわしてたわね」
「で、でも…。後半はちゃんと働いてたよ」
 斉民の余計な言葉に、喜びの笑顔からムッとした顔になる。
「やったね!陣くん、歌菜ちゃん」
「皆がいる中で発表するんやね」
「私も昇級しました♪」
「あわわ…私たちも呼ばれましたよ…、スオウさん」
「い…いいんでしょうか、私も…っ。はっ、これって夢なんですか!?」
 呼ばれないかも…と思っていたレイカまで校長に名前を呼ばれ、もしかして夢を見ているんじゃないかと言う。
「夢じゃないですよ、スオウさん。魔道具で探知してたり…、店員さんやお客さんを呼び集めてたりしましたし…」
「(で、でも…。これから評価も、もっと厳しくなりそうですし…。もっと努力しないといけませんね…)」
 椿と一緒に昇級出来たことは嬉しいが、もっと上手く対処出来るようにならなければ…とペンダントを握り締める。
「昇級した方は、まだまだいますよぉ〜。グラキエス・エンドロアさん、フレデリカ・レヴィさん、ルイーザ・レイシュタインさん、九条 ジェライザ・ローズさん」
「おめでとうございます、グラキエス様」
「あぁ、ありがとう」
「今夜は昇級祝いをしなければいけませんね。本日の晩餐は何がよいですか?」
「エルデネストに任せていいか?」
「はい、かしこまりました」
 彼のために何を作ろうか、ノートの端に思いついた料理をメモする。
「私たちも昇級したのね、ルイ姉」
「えぇ。次も頑張りましょうね、フリッカ」
「私も呼ばれたよ、学人」
「うん。僕はどうかな…」
 まだ名前を呼ばれない冬月 学人(ふゆつき・がくと)は、上手く動けてなかったんじゃ…と不安になる。
「続けて、メイジ・ランク5に昇級した方々の名前もお呼びしますぅ〜!!ジュディ・ディライドさん、冬月 学人さん、月崎 羽純さん!!」
「我も昇級したようじゃな。陣、祝いに何かくれるのじゃろう?」
「クレクレやめろっつーの」
「陣くんを1日、いじっていい券とか!」
「無理ッ、そしてだ・ま・れッ」
「うわーん、いたたたっ」
 イラッときた陣が、リーズ・ディライド(りーず・でぃらいど)のもみあげをぎゅーっと引っ張る。
「僕も呼ばれたね、…よかった」
 3回目の授業でいきなり、“実戦を行いますぅ!”と校長が言い、戸惑っていたが上手く動けていたと評価されたらしく、学人も昇級した。
「(経験を積めば、僕たちが望むエクソシストに近づく…。まあ、今しばらくは基礎の積み重ねが必要だね)」
「おめでとう、学人」
「ありがとう、ロゼ」
「羽純くんはメイジに昇格したのね!」
「本を使ったからかもな」
「宝石の癒しの力や、探知能力などを扱う方は〜。ビショップ、アーチビショップ、パトリアーク、カーディナルの順番で昇級していくんですよぉ〜。1時間目の昇級発表は、以上ですぅっ!」
 エリザベートは名簿をパタンッと閉じる。