イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

夏合宿 どろろん

リアクション公開中!

夏合宿 どろろん

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「はははははは、よく、この俺を選んだ。褒めてやろう。はははははは……」
「どーして、こーなった……」
 自信満々で高笑いをあげるドクター・ハデス(どくたー・はです)くんの横でレノア・レヴィスペンサー(れのあ・れう゛ぃすぺんさー)さんが頭をかかえました。
 パートナーたちがくじを引いて一喜一憂しているのを相手している間に、出遅れてしまったのでした。組みたいと思った相手が、全て出払ってしまい、残っていたのがこのドクター・ハデスくんです。
 運は悪くない方だと思っていましたが、それもあらためなければいけないかもしれません。これでは、アルビダ・シルフィングさんと同じぐらいの大外れです。
「まあ、大船に、機動城塞オリュンポス・パレスに乗ったぐらいのつもりでいるのだな。ずばり言う、この世に心霊など存在しない!」
 いや、パラミタではそれは通用しないと思います。
「ちょっと寒いな……」
 レノア・レヴィスペンサーさんが、両手で身体をだきしめて言いました。
「魔法で冷たい風を送ったのが効いてるようだねぇ」
 楽しそうに、永井託くんがつぶやきました。
「次は、これかな」
 火術で火の玉を作りだすと、永井託くんがそれを二人の方へと送り出しました。
「ひっ!」
 レノア・レヴィスペンサーさんが小さく悲鳴をあげます。意外と怖がりだったようです。
「プラズマだ!!」
 ドクター・ハデスくんが叫びました。
「はあ?」
 なんだか、一気にレノア・レヴィスペンサーさんが現実に引き戻されました。
「あれは、プラズマに違いない!」
 もう、完全に決めつけています。
勘弁してほしいなあ
 情緒がないと、永井託くんが溜め息をつきました。
「ははははは、どうだ、怖くなかっただろう」
「まあね」
 ドクター・ハデスくんに聞かれて、レノア・レヴィスペンサーさんはそう答えるしかありませんでした。なんだか、怖がるのがちょっと馬鹿らしくもなります。
「どうだね、いっそ、我が秘密結社オリュンポスに加入しないか?」
「遠慮します!」
 即答でした。
 入れ入らないと言い合いながら、洞窟の中へと入っていきます。
見つけた……そこ!
 待ち構えていた漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)さんが、光精の指輪で作った光球を火の玉として二人の前へと流しました。
「おお、また違った輝きのプラズマだ!」
「はいはい。全部プラズマね」
 こうなってくると、火の玉は全部怖くなくなってきます。
 パタパタパタ……。
 洞窟内のあちこちから、不気味な足音が響いてきます。クラウン・フェイスさんの足音です。
「プラズマだ!」
「音でしょが!」
 レノア・レヴィスペンサーさんとドクター・ハデスくんが言い合っている間に、何やら洞窟の中の空気がおどろおどろしくなってきました。イリス・クェインさんのエンドレス・ナイトメアです。
「プ、プラズマだあ!」
「あれのどこが……きゃあ!」
 ゴーストさんが、ビキニパンツでフリフリ踊っています。気に入ったようです。
「プププププラ……」
 いえ、笑っているわけではありません。ドクター・ハデスくん、気絶しました。レノア・レヴィスペンサーさんが、それをゲシゲシと引きずって逃げて行きます。
 気がつけば、祠の前に立っていました。
「俺の番だな」
 祠の陰に隠れていた樹月 刀真(きづき・とうま)くんが、人魂を飛ばします。
「プラズマだあ!!」
 レノア・レヴィスペンサーさんが大声で叫びました。もうやけくそです。
「うえっ!? ええっと、お、おいてけ〜」
 ちょうど後ろに忍びよって刀で脅かそうとしていた神凪深月さんが、逆にその声に驚いて固まってしまいました。
「神凪さんじゃない。よかった、じゃあ、これおいていってもいいのね。そうだ、替わりに神凪さんペアになって」
「えっ、ちょ、ちょっと……。少しは加減するのじゃ
 困惑する神凪深月さんを、レノア・レヴィスペンサーさんががっしりとホールドしました。替わりに、ドクター・ハデスくんをポイします。
「そうだ、貝はおいておかないと」
 レノア・レヴィスペンサーさんが、祠にハマグリをおいていきます。
「おいおい、いったいどうなっているんだ?」
 なんだかわけが分からなくなって、脅かすつもりだった樹月刀真くんが超霊の面を被ったまま出てきました。
もう、後は任せたのじゃ
 そう言い残して、神凪深月さんがレノア・レヴィスペンサーさんに連れていかれます。
「これをどうしろと……」
 そう言って、樹月刀真くんが気絶しているドクター・ハデスくんを見下ろしました。
「ふう、やっとほっとしました」
「わらわは、お化け役なのじゃが……」
「気にしたら負けでしょう」
 そう言われては、神凪深月さんも仕方ないと肩をすくめました。
「ちょっと、深月、どこ行くんだもん? おいてかないでー」
 よく分からないけれど洞窟を出ていこうとする神凪深月さんを見て、深夜・イロウメンドさんがあわててその後を追いかけていきました。