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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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 通り。

「あの子は友達思いでしっかりした子って感じだったから頼まれた店番を放って出掛けるとは思えないし。とにかく無事だったらいいんだけど」
 北都は『超感覚』でキーアの声がしないか周囲を警戒しながら言葉を洩らした。何かに巻き込まれたのではないかと心配している。
「……もう一人の行方不明者は他の人が捜しているから問題無いだろうけど。消えた石が気になるね。普通盗まれるにしても全部盗むはずだし、売り払ったりとか何かするよねぇ」
 北都は石も気になっていた。消えた石に誰かが物色した気配を感じていた。自然に転がったとしては不自然なので。
「……嫌な感じだな」
 前を歩く白銀も第六感で街中に漂う濁ったオーラみたいな妙な気配をあちこちで感じていた。
「そうだねぇ」
 同じように北都も嫌な気配を感じていた。
「……随分、店から離れた所まで来たねぇ。声も聞こえないし、もしかしたら声を出せない状況にあるのかも」
 北都はもしかしたらキーアがホシカに聞いた危険な石でも拾って大変な事になっているかもしれないと思い始めた。キーアは好奇心旺盛だから。
「その可能性が高いな。早く探し出さねぇと」
 白銀もうなずき、歩く速度を上げた。

 その途中、
「キミ達、何か探してるのかい?」
 たまたま近くにいた風馬 弾(ふうま・だん)がキーアを捜索している北都達が気になって声をかけてきた。
「人を捜していて……」
 北都が手早く事情を話した。
「……そうか。僕も手伝うよ。事情を聞いたからには放っておけないし」
 弾も協力する事にした。
「助かるよ。捜索は人が多い方がいいからねぇ」
 そう言って北都は先を行く白銀の様子を見た。

 捜索を始めてしばらく、
「おい、見つけたぞ!」
 キーアを発見した白銀が後ろを歩く二人に向かって大声で言った。
 その様子を上空から確認していた者達がいた。
「キーアちゃん、見つかったねぇ」
「あぁ、リースに連絡だ」
 同じようにキーアを捜索していたセリーナとナディムだった。

「キーアちゃん!」
「大丈夫か!!」
 北都と弾が駆けつけ、無事キーアと再会。
 しかし、キーアは意識不明の状態で倒れていた。近くには水色の石が転がっている。
「……見た目怪我は無いみたいだけど」
「おい、キーア!!」
 北都はキーアの状態を確認し、白銀は獣化のまま耳元で呼びかけるが、目を覚まさない。
「……薬の類じゃなさそうだな。となると」
 白銀は倒れている原因を探るためキーアの周囲に怪しい匂いが無いかを確認した。匂いは無く、怪しいのは近くに転がる石だけ。石から追跡の間中感じていた妙な気配を感じた。

 その時、
「キーアちゃんは大丈夫?」
「今、人を呼んだからな」
 セリーナとナディムが地上にいるレラの元に降りて他の捜索者達が来る事を伝えた。

 その言葉通りすぐに
「キーアちゃん!」
「……無事でしょうか」
 さゆみとアデリーヌ。

「だ、大丈夫ですか」
「来たよ!」
 リースとマーガレット。
 四人が駆けつけた。

「呼びかけても起きねぇんだ。石のせいか?」
 白銀が困ったように言った。

「……そ、そうだと思います」
 リースはこくりと白銀の言葉にうなずいた。

「それなら」
 呼びかけてだめならと北都は『浄化の札』を使い、
「……わたくしも」
 アデリーヌは北都に続いて『命のうねり』でキーアの弱った体を癒す。
「……」
 さゆみはキーアの手を握り以前、キーアを助けた時に一緒に歌ったアニメソングと『幸せの歌』を歌った。歌は人の心を癒すと言うからもしかしたら届くかもしれないと思って。
「……さゆみ」
 さゆみの考えを読み取ったアデリーヌも一緒に歌った。

 北都の『浄化の札』がキーアにまとわりつく石の効果を払い、アデリーヌの『命のうねりが』癒しとなり、さゆみ達の歌が意識回復への導きとなって
「あっ、キーアちゃん!」
 握っていたさゆみの手が握り返された。
「……良かったですわ」
 アデリーヌはゆっくりと目を開けるキーアに心底安心していた。
「目が覚めたんだね、キーアちゃん、痛い所はあるかな?」
 北都は念のため怪我の有無を確認した。
「良かったぜ」
 白銀は心底安心していた。
「あ、お兄ちゃんにお姉ちゃん。大丈夫だよ」
 キーアは見覚えのある北都達とさゆみ達の顔を見て安心し、ゆっくりと上体を起こした。
「……良かったです」
 リースは静かに安心していた。
「……これで少し安心だな」
 弾もキーアの無事に胸を撫で下ろしていた。
「ホシカさんが心配してるよー。何があったのかな?」
 さゆみは怒らず、キーアが話しやすいようにキーアに優しく事情を訊ねた。
「……お姫様のお姉ちゃんが外に出て行ったの。アタシ、止めようと思って……」
 キーアはゆっくりと話し始めるも子供なりにみんなに迷惑をかけてしまったと分かって言葉を濁した。
「追いかけて行ったんだねぇ」
 北都がキーアの代わりに言った。
「うん。でも、分かんなくなって」
 キーアはこくりとうなずき、困った顔になった。店を飛び出すも途中グィネヴィアを見失ってしまったのだ。
「お姉ちゃんの目と同じ色をした石見つけて、そうだ石は!?」
 ふとキーアは見つけた綺麗な石を思い出し、きょろりと周囲を探し回って見つけるなり手を伸ばそうとするが、
「……石は危ないから触っちゃだめだよ」
 さゆみが石に触らないようにキーアの両手を握って止めた。
「せっかく見つけたのにお姉ちゃんにあげようと思ってたのに」
 キーアはがっくりな様子で石をにらんでいた。
「で、どうして倒れてたんだ?」
 白銀が話を戻した。
「石を拾って見てたら目がチカチカして」
 キーアは再び話し始めた。もう触らないだろうと思ってさゆみはキーアからそっと両手を離していた。
「それで倒れたんだね」
「うん。海の中のお城を探検してたんだよ、そしたら上からお兄ちゃんの声が聞こえたんだ。すごっくきれーな光が降って来て体があったかくなってお姉ちゃん達の歌も聞こえてね、歌のする方に歩いて行ったら本当にお兄ちゃんとお姉ちゃん達がいた」
 北都の言葉にうなずいた後、キーアは今でも覚えている素敵な世界に酔っていた。
「……素敵な冒険をしたのねぇ」
 セリーナがのんびりと言った。
「うん!」
 キーアは嬉しそうにセリーナにうなずいた。
「ねぇ、お姫様のお姉ちゃんは見つかった?」
 キーアはグィネヴィアの事を思い出し、行方を訊ねた。
「今、みんなで捜してるんだ。それでキミに力を貸して欲しいんだけど、いいかな?」
 弾が優しく訊ねた。
「いいよ!」
 キーアは力強くうなずいた。
「グィネヴィアさんがどうして出て行ったか分かるかな? 誰か一緒だったとか」
「んー、男の人がいたと思う」
 弾の言葉に思いっきり考え込んでからゆっくりとキーアは答えた。何せグィネヴィアを連れ去った誰かを見たのは、グィネヴィアが出て行った時に横顔ちらりと後ろ姿だけだったから。
「うん、ありがとう」
 弾はにっこりキーアに礼を言った。誰かと一緒に店の外に出たと分かっただけでも捜索の手助けにはなる。
「キーアちゃんが見つかったから教えてあげないとねぇ」
「リース、連絡だ」
 セリーナとナディムが他の捜索者にも知らせるようにとリースを促した。
「は、はい」
 リースは情報管理を行っているルカルカにキーア発見を伝える事にした。